SUPER GT | SUZUKA 1000km

SGT:第5戦鈴鹿決勝 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル組)が今シーズン2勝目、ポイントランキングで2位に浮上 (HONDA)

2011年8月21日(日)・決勝  会場:鈴鹿サーキット(5.807km)  天候:雨  気温:26℃(15:00現在) 路面温度:27℃(15:00現在)  コースコンディション:ウエット  観客:2万7000人

gt110821003L.jpg  8月21日(日)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて、2011 オートバックス SUPER GT第5戦「第40回インターナショナル ポッカGT サマースペシャル」の決勝レースが行われました。

 昨日に続き、気圧の谷が通過する影響で西日本は変わりやすい空模様となり、鈴鹿周辺は朝から時折り強く雨が降るあいにくの天気となりました。 にもかかわらず、毎年恒例の本イベントを観戦しようと各地より数多くのファンが鈴鹿サーキットに詰めかけ、正面ゲート前には朝8時の開門を待つファンのみなさんが長蛇の列を作ったほか、昼休みの時間帯を利用して行われるピットウオークにはGTマシンやドライバーの姿をカメラに収めようとするファンのみなさんが数多く参加されました。

 昨日行われた公式予選では、#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)が2番手でフロントローを獲得。さらに#1 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル組)は3番手、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)は6番手、#8 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志組)は13番手、#32 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴組)は14番手でそれぞれ予選を通過し、500kmで競われる本日の決勝レースに挑むことになりました。

 朝から雨模様となった本日、午前10時から45分間にわたってフリー走行が行われました。ここでトップに立ったのは#100 RAYBRIG HSV-010に乗る山本選手。昨日は予選3回目にデグナー・コーナーでアクシデントにあい、マシンのフロント部分に大きなダメージを負ってしまいましたが、チームの懸命な作業により今朝4時には修復が完了し、そのおよそ6時間後に行われたフリー走行でトップタイムを記録する快挙を成し遂げました。

 また、#32 EPSON HSV-010は2番手、#1 ウイダー HSV-010は4番手、#8 ARTA HSV-010は8番手、#17 KEIHIN HSV-010は10番手となり、いずれも決勝での上位進出に期待が高まりました。

 スターティングドライバーは、#17 KEIHIN HSV-010が金石選手、#1 ウイダー HSV-010はL.デュバル選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、#8 ARTA HSV-010は武藤選手、#32 EPSON HSV-010は道上選手が務めます。

 午後3時15分に1周のフォーメーションラップを実施。その後、ローリングスタートにより決勝の火ぶたは切って落とされました。この段階ではまだ小雨が降り続け、ウエットコンディションでの戦いとなりましたが、その後は、路面が乾き始めたかと思うと雨脚が強まり、そうかと思えばまた雨が止んで路面が乾いていくというサイクルをチェッカードフラッグが振り下ろされるまでの間に2度ほど繰り返し、そのたびにレースの流れは大きく変わりました。

 今回は決勝レース中に2度のピットインが義務づけられました。また、レース距離は500km、87周ですが、もしも87周に達しないうちに午後6時30分を迎えた場合には、その直後にレースリーダーがフィニッシュラインを越えたところでレースを終了するという規定も設定されていました。

 5台のHSV-010 GTはいずれも無事にスタートを切り、#17 KEIHIN HSV-010は2番手、#1 ウイダー HSV-010は4番手、#100 RAYBRIG HSV-010は7番手、#8 ARTA HSV-010は13番手、#32 EPSON HSV-010は14番手でオープニングラップを終えます。このあと、#17 KEIHIN HSV-010はリズムに乗りきれず、9ラップ目には9番手まで後退してしまいます。一方、スタート時に選択したウエットタイヤがコンディションと見事にマッチした#32 EPSON HSV-010の道上選手は次々とライバルたちをオーバーテイク、10周目には5番手まで浮上しました。しかし、その直後の最終コーナーで路面の濡れた部分に乗り上げてコントロールを失い、スポンジバリアに接触してしまいます。この影響で13番手となりましたが、幸いにもマシンに大きなダメージはなく、そのままレースに復帰し、追い上げを再開しました。

 12周目の段階で、Honda勢では#1 ウイダー HSV-010の4番手がトップ。続いて#17 KEIHIN HSV-010が8番手、#100 RAYBRIG HSV-010が9番手、#8 ARTA HSV-010が12番手、#32 EPSON HSV-010が13番手というオーダーです。ここから#32 EPSON HSV-010は群を抜くスピードを発揮し、17周目には8番手までポジションを上げました。

 続く18周目からGT500クラスの各チームは1巡目のピットストップを順に行っていきます。Honda勢では#17 KEIHIN HSV-010が19周目、#100 RAYBRIG HSV-010が20周目、#8 ARTA HSV-010は21周目、#1 ウイダー HSV-010と#32 EPSON HSV-010はともに25周目にピットストップを実施。この頃になるといくぶんか路面が乾いてきたため、どのマシンもそれまでより溝の浅いレインタイヤを装着してコースに復帰していきました。

 5台のHSV-010 GTが1回目のピットストップを終えた25周目、#1 ウイダー HSV-010は4番手、#32 EPSON HSV-010は6番手、#100 RAYBRIG HSV-010は9番手、#17 KEIHIN HSV-010は11番手、#8 ARTA HSV-010は13番手となっていました。

 26周目、11番手争いを演じていた#17 KEIHIN HSV-010の塚越選手はライバルと接触。これによってマシンのフロントにダメージを負ってしまいました。残念ながら、#17 KEIHIN HSV-010が接触したのは黄旗が提示されている区間だったことから20秒間のペナルティストップを科せられ、33周目には15番手となります。

 同じ頃、残る4台のHSV-010 GTはいずれも好調なペースで周回を重ねていました。中でも、#1 ウイダー HSV-010の小暮選手はトップグループでもっとも速いラップタイムを記録しながら追い上げ、39周目には2番手に浮上。さらに43周目には先頭を走るライバルをダンロップ・コーナーで追い抜き、トップに浮上しました。

 これと前後して、4番手を走行していた#100 RAYBRIG HSV-010の山本選手がヘアピンコーナー先の200Rでコントロールを失い、バリアに接触してしまいます。これで#100 RAYBRIG HSV-010はリタイアとなりましたが、ダメージを負ったマシンを回収するためにセーフティカーが導入されました。セーフティカーは43周目から46周目までレースカーの集団を先導。この時点では#1 ウイダー HSV-010が1番手、#32 EPSON HSV-010は8番手、#8 ARTA HSV-010は9番手、#17 KEIHIN HSV-010は13番手につけていました。

 路面はさらに乾き、4台のHSV-010 GTは引き続きライバルをしのぐペースで周回していきます。54周目に入ったところで2巡目のピットストップが始まりました。Honda勢では、#8 ARTA HSV-010が55周目、#32 EPSON HSV-010は57周目、#1 ウイダー HSV-010は62周目、#17 KEIHIN HSV-010は67周目にピットストップを行い、コースに復帰していきます。

 この頃、路面は引き続き乾いていきましたが、また雨が降り始める恐れもあったため、4台のHSV-010 GTはいずれも浅溝のレインタイヤを装着して走行を再開しました。

 路面が乾くにつれてさらにペースは上がっていき、レインタイヤよりもスリックタイヤの方が速く走れるコンディションとなりました。このため、GT500クラスの中にもスリックタイヤを装着するギャンブルを打ち、追い上げを図ろうとするチームも出てきました。この作戦を選択したライバルの1台は、62周目には10位を走行していたものの、64周目を過ぎるとHSV-010 GTよりも1ラップあたり3~4秒も速いペースで周回を重ねるようになり、急激に順位を上げていきます。そして80周目にはついに2位まで浮上。トップを走行する#1 ウイダー HSV-010との差は約12秒となりました。

 その後もライバルは1周あたり3~4秒のペースでギャップを縮めていき、このままでは87周を終える前に、#1 ウイダー HSV-010と順位を入れ替わる可能性も浮上してきました。そうした中、#1 ウイダー HSV-010に乗るL.デュバル選手は必死の力走を続けましたが、84周目には両車の差は1.8秒となってしまいます。

 ところがこのあと、コースの一部で雨が降り始めたためにライバルは急速に勢いを失い、85周目には4.6秒差と、#1 ウイダー HSV-010は逆にライバルを突き放します。さらに、この周回を終えた直後に午後6時30分となったため、規定に従い、決勝レースは86周目が終わったところで終了となりました。このとき、#1 ウイダー HSV-010のL.デュバル選手はライバルを6.3秒リードしてチェッカードフラッグをかいくぐり、第3戦セパン大会に続く今シーズン2勝目を挙げました。

 Honda勢でこれに続いたのは#8 ARTA HSV-010の9位。そして#17 KEIHIN HSV-010は12位でフィニッシュし、タイヤ交換のためレース終盤にもう1度ピットストップを行った#32 EPSON HSV-010は13位で完走を果たしました。

 この結果、チャンピオン争いのドライバー部門では#1 ウイダー HSV-010に乗る小暮卓史/ロイック・デュバル組が20点を加算して44点とし、2位に浮上。#17 KEIHIN HSV-010に乗る金石年弘/塚越広大組は30点で5位、#100 RAYBRIG HSV-010に乗る伊沢拓也/山本尚貴組は23点で9位、#32 EPSON HSV-010に乗る道上龍/中山友貴組は12点で13位、#8 ARTA HSV-010に乗る武藤英紀/小林崇志組は7点で14位につけています。なお、チーム部門ではウイダー ホンダ レーシングがトップと16点差の2位に浮上しました。

 次戦は9月10~11日に富士スピードウェイで開催されます。

瀧敬之介|Honda GTプロジェクトリーダー
 「ほっとしました。マレーシアで優勝したときは、もっとゆったりした気分で見ていられましたが、今回は順位を上げるマシンがいる一方でアクシデントにあうマシンもあり、そのたびに何度も一喜一憂を味わいました。本当に浮き沈みの激しいレースだったと思います。特に、#32 EPSON HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010は、非常にいいペースで走行していただけに、アクシデントにあったことは残念でした。一方、小暮選手とデュバル選手が奮闘してくれたおかげで#1 ウイダー HSV-010は優勝を果たすことができました。今日の勝因は、レース中盤を受け持った小暮選手が安定して速いペースで周回して大きなマージンを築いたこと、そして難しいコンディションの中、デュバル選手がライバルに追い上げられたレース終盤にふんばってくれたことにありました。次戦でもライバルを上回る成績を挙げ、チャンピオン争いを有利に進めたいと思います。今後もHSV-010 GTへのご声援をどうぞよろしくお願いします」
小暮卓史選手(優勝 #1 ウイダー HSV-010)
 「すごいレース展開で久々に感動しました。最後に雨が降らなければ、2位になってしまう可能性もある状況で優勝することができて、本当にうれしく思います。トップを走行中のシケインで、後ろから衝撃を受けてスピンをしたときは、何が起きたかわからず頭が真っ白になりました。このため、キープしていた7秒のマージンを失ってしまったので、すぐに気を取り直して追い上げ、再びトップに立ってからもデュバル選手にバトンタッチをするまで攻め続けました。次回の富士スピードウェイですが、私たちのマシンはよいパフォーマンスを見せていますし、ハンディウエイトが多少重くても影響が少ないサーキットですので、多くのポイントを稼ぐために勝負をしていきたいと思います」
ロイック・デュバル選手(優勝 #1 ウイダー HSV-010)
 「本当に難しいレースでした。路面のコンディション変化が大きく、最後まで集中を保ち続ける必要がありました。スタートはよかったのですが、2位争いの中でタイムロスをして順位を落としたため、遅れを取り戻すのに数ラップかかりました。2回目のスティントでは、乾き始めた路面状況を考えてタイヤ選択に悩みました。我々のドライタイヤは高めの路面温度を想定したハードコンパウンドのタイプしか用意していなかったので、浅溝のウエットタイヤを選択しました。レース終盤で、ドライタイヤを選択したライバルが後ろに迫ってきたときは心配しましたが、最後に恵みの雨が降ってくれたので逃げきることができました。この優勝は本当にうれしいです。早く帰国して、生まれて1カ月の子どもにこの喜びを伝えたいです」
Text & Photo: HONDA


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