Formula Nippon

NAKAJIMA RACING FN SUZUKA REPORT

1997レースレポート
●シリーズ名:全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
●大会名:第10戦 鈴鹿(最終戦)
●距離:5.86403km×35周=205.241km
●予選:11月8日(土) 晴れ   観衆:1万4000人(主催者発表)
 決勝:11月9日(日) 晴れ   観衆:4万1000人(  〃  )

PIAA REYNARD 97D #64高木虎之介選手
全10戦スペシャルステージ進出!さらに決勝ではスタートに失敗するものの、鬼神
の追い上げを敢行し、20台をごぼう抜き!!国内最終レースを5位でフィニッシ
ュ!!

PIAA REYNARD 97D #64山西康司選手
予選9番手からスタート、終始ルーキーらしからぬ粘り強い走りを見せ、入賞目前の
7位完走でデビューイヤーを締めくくる!

 1997年度フォーミュラ・ニッポンは、ついにここ鈴鹿サーキットにおいて最終
戦を迎えることとなる。来季からティレル・レーシングのF1ドライバーとなること
が決定していることから、フォーミュラ・ニッポンが国内レース・ラストランとなる
高木虎之介選手、鈴鹿を得意とするフォーミュラ・ニッポン・ルーキー・ドライバー
の山西康司選手の両選手、そしてPIAA NAKAJIMA RACINGはレーシング・チームの本来
の姿である速さと強さを証明するため、有終の美を飾るべく鈴鹿へ臨んだ。
 公式予選に先駆けて行われる公式練習は、路面状況が悪いせいか、全体的にタイム
の伸びないセッションとなってしまう。その中で、高木、山西選手も、なかなかマシ
ンのバランスを取れずに、それぞれ12番手、18番手と出遅れる。この不本意なポ
ジション、というよりもタイムが予想以上に伸びなかったことから、不安が残ったま
ま午後の公式予選を迎える。
 しかし、この不安は杞憂に終わることになる。中嶋総監督を中心にPIAA NAKAJIMA 
RACINGの総合力で午前中の不振の原因を解析、公式予選スタート直前に、車の大幅な
再セットアップを施し、ニュータイヤを投入する前の状態の各ドライバーの中で、高
木選手は当然のようにトップタイムを叩き出すことに成功。他ドライバーの出方を待
つ。一度、高木選手がトップタイムをマークすると、つられたようにすでにチャンピ
オンを決めているP.D.L.ロサ選手(SHIONOGI NOVA)、黒澤琢弥選手(IMPUL)らのトップ
ランカーも好タイムをマークしていくという白熱した公式予選が展開、そして残り1
4分の時点で高木選手はニュータイヤを投入し、レイナード97Dを駆る中ではダン
トツのタイム1'43.012のタイムをマークすることに成功。フリー走行での不振を考え
れば上出来の暫定2位に滑り込むことになる。これにより、高木選手は、フォーミュ
ラ・ニッポンドライバーの中でただ1人、全10戦において、スペシャル・ステージ
(S.S)進出という、「速さの証」を見せた。一方、チームメイトの山西選手は公式予
選の前半こそ、最終的なセットアップを出すのに戸惑ったものの、ニュータイヤを装
着すると一気にタイムを上げて、予選9番手ポジションを獲得し、一発の速さを見せ
ることには非凡なところを見せた。
 トップ6によって争われるスペシャル・ステージ(S.S)で5番目のコースインとな
る高木選手は、黒澤選手のマークしたタイムを更新することが出来ずに、ポジション
を1つ落として3番手グリッドからのスタートが決定。ポールポジションには、シー
ズン中盤戦から安定した速さを見せるロサ選手、続いて黒澤選手、高木選手がトップ
スリーを占め、以下、影山正彦選手(IMPUL)、金石勝智選手(FUNAI SUPER AGURI)、山
本勝巳選手(NAVI CONNECTOIN)と続いた。
 明けて決勝日。午前中に行われる30分間のフリー走行で決勝用セッティングの最
終確認作業を経て、午後1時30分に定刻どおりレース進行が開始されると、鈴鹿
サーキットは、いよいよ高木虎之介選手のフォーミュラ・ニッポン・ラストランの時
を迎えた。
 しかし、シグナルレッドからグリーンに変わった瞬間、4万を越える観衆の悲鳴を
誘うアクシデントが発生する。予選3番手からスタートの高木選手が、まさかのエン
ジンストールでスタートできなくなってしまったのだ。その後、全車がスタートした
後で、オフィシャルからの押し掛けでようやくスタートすることができた高木選手は、
最後尾となる25番手からの追い上げを余儀なくされてしまう。そして、ドラマはこ
こから始まった。このスタートミスが高木選手の闘争心に火をつけ、鬼神の追い上げ
の敢行となったのだ。3周目に最後尾の車両に追いつくと、次々と先行した車をパス
し、5周目、シケインの進入で95年度国際F3000チャンピオンのV.ソスピリ選
手(SUPER NOVA)をパスすると20番手につけ、14周目にヘアピンカーブの立ち上が
りでA.ポルドリーニ選手をパスすると、15番手にまでにポジションアップ。周回を
重ねる度に数台の車をオーバーテイクしていくというパフォーマンスは、当然、グラ
ンドスタンド前に設置された大型モニターにも映し出され、スタンドに詰めかけたフ
ァンのみでなく、チーム関係者からの喝采を浴びながらの走行となる。一方のチーム
メイトの山西康司選手は、序盤の燃料満載のマシンが重い状態では、なかなかペース
を上げられない走行となってしまったものの粘り強い走行を見せ、7周目から10周
目にかけ、前方走行のM.グーセン選手を激しく追い上げ、その走行が相手のミスを誘
ったのか10周目にはM.グーセン選手は130Rコーナーにおいて、自らコントロールを
失いコースアウトしてしまう。
 その後も、まだまだ、高木選手の快進撃は続く。24周目にR.ファーマン選手をか
わすと、その時点までに15台抜きの10番手にポジションをアップさせる。そして
残り周回数が少なくなってきても追撃の手をゆるめず、スタート直後の5周目あたり
から発生し始めたエンジンのミスファイアを抱えて、決して万全の状態ではないマシ
ンを巧みに操り、チェッカーフラッグ振られるまでの残り2周で、M.クルム(CERUMO)
選手をパスすると、なんと「20台抜き」という偉業を果たし、5位入賞でフォーミ
ュラ・ニッポンのラストランを締めくくった。こうして、ファンだけでなく、レース
関係者の記憶にも残るレースを演じた高木選手に、ゴール時にはスタンドから惜しみ
ない拍手が送られた。この「20台抜き」という記録は、1992年にR.チーヴァー
選手が同様のトラブルで23台抜きを演じた記録に次ぐ記録である。また山西選手も、
その後順調に周回を重ね、入賞目前の7位フィニッシュでデビューイヤーを締めくく
り、来期につながる走りを見せた。
 なお、レースはポールポジションからスタートし、終始安定した走行でロサ選手が
優勝、黒澤選手、影山正彦選手(IMPUL)がそれぞれ終始単独走行でゴールした。



■PIAA NAKAJIMA RACING総監督:中嶋 悟のコメント
『高木選手は、今シーズンを象徴する様なスタートなってしまいましたが、その後の
追い上げは、すばらしいパフォーマンスでした。また山西選手は、デビューイヤーの
最後のレースを7位完走で締めくくてくれて安心できる内容でした。
 今シーズンは何とかタイトルを手にし、高木選手をF1にステップアップさせよう
とチーム一丸となり全力を尽くしてきましたが、残念ながらタイトル獲得はなりませ
んでした。
 その一方で高木選手の優勝1回、フォーミュラニッポンドライバーの中でただ1人、
全10戦スペシャル・ステージ進出、ポールポジション4回獲得(最多タイ)、山西選
手の開幕デビュー戦5位入賞、スペシャルステージ2回進出という好成績を挙げるこ
とが出来ました。スポンサーの皆様を始め、ファンの皆様のお力添えに対して、改め
てお礼を申し上げたいと思います。また、来シーズンに向けて、引き続き暖かいご支
援、ご声援をお願いいたします。』


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