Formula Nippon

FN:第3戦もてぎ 小暮卓史選手が今シーズン初優勝、めまぐるしく路面状況が変化する中でポール・トゥ・ウインを飾る (HONDA)

fn090531001L.jpg 2009年5月31日(日) 決勝 会場:ツインリンクもてぎ(4.801km) 天候:予選/曇り 決勝/曇りのち雨 気温:18℃(14:30時点) 決勝レース:52周(249.652km) コースコンディション:決勝/ドライからウエット 観客:1万1000人(主催者発表)

 5月31日(日)、栃木県・ツインリンクもてぎにおいて2009年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦の決勝レースが開催された。

 30日(土)のノックアウト方式による公式予選は、午前中まで続いた小雨も止み、路面は完全にドライの状態で開始された。出場13台が11台に絞られる第1セッションにおいて、#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)が1分34秒264のトップタイムをマーク。#31 ロイック・デュバル選手(NAKAJIMA RACING)が2番手に続き、チームが前戦から好調を維持していることを見せつけた。

 第2セッションでは、前戦優勝のL.デュバル選手が意地をみせて1分34秒060のトップタイムをマーク。2番手には小暮選手が続き、NAKAJIMA RACINGの2台によるポールポジション争いのまま第3セッションを迎える。

 決勝グリッドを決める第3セッションでは、出場選手中、ただ一人1分33秒台をマークした小暮選手がポールポジションを獲得。2番手にはL.デュバル選手。3番手には地元栃木県出身の#10 塚越広大選手(HFDP RACING)が今シーズンのルーキーとして初めて3番手に入る健闘をみせ、Honda勢が予選トップ3を占める結果となった。#41 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は10番手。#40 リチャード・ライアン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は12番手スタートとなった。

 31日(日)に行われた決勝レースは、午前中のフリー走行時は曇りだったがスタート直前に雨が降り始め、チームとしてドライかウエットかの判断が難しい中でのスタートとなった。 全車がスリックタイヤを選択してグリッドに並んだが、フォーメーションラップ中に細かい雨が降り始め、伊沢選手がスピンを喫し、そのままエンジンがストールしてリタイアとなった。

 路面はハーフウエットの状態で午後2時34分に決勝スタートが切られた。好スタートを切ったのは、ポールポジションスタートの小暮選手、さらに2 コーナーで3番手スタートの塚越選手が、L.デュバル選手のアウト側からパスして2番手に浮上した。直後の3コーナーでL.デュバル選手が4番手のマシンと接触してスピン。無念のリタイアとなった。

 細かい雨は降るものの、路面コンディションはハーフウエット状態から悪化することはなく、各ドライバーはマシン・コントロールに苦慮しながらも周回を重ねていく。

 3周目のV字コーナーで、塚越選手が小暮選手をパスしてトップに浮上。塚越選手は悪コンディションの中でも勢いのある走りを見せ、8周目には1分37秒466のファステストラップを記録した。

 8周終了時点で、塚越選手はトップを快走し、小暮選手をパスして2番手を走るアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)との差を約7秒まで広げる。続く3番手に小暮選手、R.ライアン選手は10番手を走行する。

 10周目あたりから雨の量が増え、路面はウエット状態になった。そのため、各車のラップタイムは1分40秒後半まで落ち込み、このタイミングで次々とピットインを敢行するマシンが現れ始めた。

 12周終了時に、トップの塚越選手がピットイン。レインタイヤに換えてコースに復帰した。塚越選手はトップのポジションをキープすることができたが、次周の90度コーナーでコースアウト。すぐに復帰してトップの座を守るものの、2番手とのアドバンテージは約1秒に縮まってしまう。

 トップ争いは、塚越選手と2番手を走行するA.ロッテラー選手がテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げる。17周目の3コーナーで、トップを走る塚越選手が2回目のコースアウトを喫し、コースに復帰するが3番手に後退してしまう。

 このタイミングで2番手に浮上した小暮選手が、トップのマシンに接近し、18周目には約1秒差までに詰め寄った。さらに20周目のV字コーナーで仕掛けた小暮選手は、次のヘアピンカーブでトップに浮上し、一気に引き離しにかかる。

 15周目あたりから雨脚が弱まったために、路面は次第に乾き始める。小暮選手は、1分53秒台の好ペースで走行し、23周終了時点で2番手のマシンに8秒101差となった。

 4番手まで後退していた塚越選手は、路面がドライに変化する状況で真っ先にピットイン。スリックタイヤに変更してコースに復帰した。この作戦は成功し、塚越選手のラップタイムは1分41秒まで上昇。次周から各車もスリックタイヤに変更したが、28周終了時に塚越選手は、トップの小暮選手に2秒586 差の2番手に浮上した。

 30周目、マシンのクラッシュが発生したためにセーフティカーが入る。このために、各車のタイム差は無くなり、トップに小暮選手、2番手に塚越選手、R.ライアン選手が7番手を走行する。

 33周終了時にセーフティカーがピットに戻り、34周目から再スタートが切られた。小暮選手と塚越選手は順調にポジションを守り、1-2番手を走行する。

 直後に雨脚が再び強くなり始め、トップの小暮選手はラップタイムが1分43秒まで落ち込んだために37周終了時点でピットインを敢行。レインタイヤに履き替えてコースに復帰した。しかし、雨脚が弱くなると予想した塚越選手は唯一、ドライタイヤでの走行を選択して走行を重ねた。そのため、トップの塚越選手と2番手の小暮選手のタイム差は、40周終了時で24秒462。ラップタイムは塚越選手が1分57秒台、小暮選手が1分53秒台を記録。残り12周で路面状況の変化も含め、この2台の行方に注目が集まった。

 塚越選手は、44周目に1分54秒台にタイムを落としたものの、ウエットコンディションで粘る走りを続ける。2番手の小暮選手は1分53秒台で徐々に塚越選手とのタイム差を縮め、46周終了時で8秒859に接近した。

 路面はウエットコンディションのまま回復することなく、小暮選手は48周目に塚越選手と0秒660まで接近し、テール・トゥ・ノーズの状態となった。何度か接近戦を演じたのち、V字コーナーで塚越選手をパスして再びトップに浮上した。

 小暮選手は、このままトップで52周のチェッカーフラッグを受け、フォーミュラ・ニッポン通算5勝目をツインリンクもてぎで飾った。塚越選手は次周に3番手にポジションを落とし、最終ラップの90度コーナーで4番手となったが、最後まで集中力を切らさずに走り続けた。R.ライアン選手は7位で完走を果たした。

 この結果、シリーズポイント争いで計12ポイントとなった小暮選手はランキング3位に浮上。L.デュバル選手はランキング2位をキープした。塚越選手はルーキー最上位の5位をキープしている。

コメント
坂井典次(Tenji Sakai)|HR09E開発責任者
「今回、もてぎに向けてエンジンマッピングなどを見直し、万全の態勢で臨みましたので、予選トップ3の獲得に貢献でき、うれしく思います。決勝においては小暮選手がとても難しいコンディションにもかかわらず、終始安定した走りで、予選からのいい流れを途切れさせることなく優勝してくれてよかったと思っています。また塚越選手もルーキーながら、路面コンディションをよく読み、監督、エンジニアとのコミュニケーションをした上で、最後まできっちりと走らせたことは、今後につながる経験だと思います。次戦の富士は第1戦で勝ちを逃しています。またエンジンサーキットと言われていますので、富士用にマッピングなどを見直し、エンジンはベストの状態で迎えたいと思っています。次戦もご声援をお願いします」
小暮卓史選手(優勝 #32 NAKAJIMA RACING)
「前回の鈴鹿は悔しい結果でしたので、今回は最高の形でレースを終えることができ、本当にうれしく思っています。天候の影響で自分がこれまでに経験したことがないほど、タイヤ交換が多い展開でしたが、ベストの戦略をとってくれたチームに感謝しています。また自分としても、最後まで自分の走りを続けることができたと思っています。今日は雨の中ご声援いただき、ありがとうございました」

Text & Photo: HONDA



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