2025年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第4戦決勝が6月29日(日)に富士スピードウエイで開催され、スタート直後のクラッシュでセーフティカー(SC)が出るという展開のレースで箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SII)が終始リード。一度もトップを脅かされることなく12周を走り切り優勝した。
午前8時からの予選に続いて決勝は定刻午前11時に21台でフォーメーションラップ開始。気温29度で日差しは夏のものだ。フロントロウにポールシッターの箕輪、予選2番手の津田光輝(ファーストガレージ制動屋S2)が並び、セカンドロウに酒井翔太(ファーストガレージ制動屋S2)とYOSHIDA KODAI(T's TECHNO RF)、3列目に石井大雅(ファーストガレージ制動屋SII)、中村ブンスーム(ファーストガレージKKSII)というグリッド順。なお予選14番手のタイムを出した板倉慎哉(AMORE with Racing F)は五十嵐文太郎(Drago CORSE)との接触によって降格。最後尾からのスタートとなった。富士には毎年参戦してコンスタントな成績を残し、過去には優勝争いも演じている板倉だけに追い上げが期待される。
ポールシッター箕浦が好スタートを切ってホールショットを奪いTGRコーナーで進入したのに対し、2番グリッドの津田はやや加速が弱くTGRコーナー進入でアウト側から酒井の先行を許す。津田以上にスタートが悪かったのが4番グリッドのYOSHIDAでクラッチミートを失敗したか一瞬出遅れて後続車に飲み込まれる。スタートがよかったのが7番グリッドの五十嵐で、ストレートエンドまでにYOSHIDAを抜くとコカ・コーラコーナーで6番手スタートの中村ブンスーム(ファーストガレージKKSII)のインを差して5位にポジションアップ。YOSHIDAは7位まで順位を落とした。
各車がTGRコーナーに殺到する中でクラッシュが発生。14番手スタートからやや出遅れた山本龍(おさきにどうぞ☆KKS-II)に19番手スタートの水谷誠(HC桶川MRPYTTZAPED)が追突、スピンした山本に水谷が再度接触、山本は再スタートを切ったものの水谷はコーナーの脇にストップ。ただちにSC投入が宣言される。
オープニングラップを終えてSCを先導に箕浦~酒井~津田~石井~五十嵐~中村というトップ6。水谷の車両が移動され2周目にSCインとなり3周目からレース再開。箕浦はSCランの先頭が初めてだったということもあり、SCが離れた後も極端な隊列のけん制は行わず、ゆっくりと最終パナソニックオートモビルコーナーの立ち上がりから加速を開始。2位以下もこれに追随してレースはリスタートした。
2位酒井は箕浦に0.124秒差とテール・ツー・ノーズ状態でコントロールラインを通過、TGRコーナーに向けてアウト側から並びかけようとするが箕浦がインを守る。逆に津田が酒井のインを突く形になり、サイド・バイ・サイドでTGRコーナーを通過すると、4位石井がクロスラインからこの2台のさらにイン側から仕掛けて、第2コーナーではアウト側酒井、真ん中津田、イン側石井というファーストガレージ勢の3台がスリーワイドで旋回する。ここは津田が一歩引いて酒井~石井~津田の順になるが、続くコカ・コーラコーナー進入で津田が石井を仕留めて3位を取り戻す。この2位争いの背後につけているのが五十嵐で、アドバンコーナー入り口で石井のインから差しに行き並走。ここは石井が守ったがダンロップコーナーでアウトから五十嵐が被せるとオーバーテイクに成功。4位にポジションアップ。5位に落ちた石井の後方に今度はスタート失敗で順位を落としていたYOSHIDAがリスタートで中村をかわして迫ってくる。
3周目を終えてトップ箕浦はバトルを続ける2位以下に1.035秒の差をつけてコントロールラインを通過。2位酒井と3位津田は0.012秒のサイド・バイ・サイドでストレートを駆け抜けると津田が前に出てインからTGRコーナーへターンイン、2位のポジションを奪い返す。4位を争う石井と五十嵐も0.058秒差で並走、こちらはストレートエンドまでに五十嵐が前に出る。これで箕浦~津田~酒井~五十嵐~石井~YOSHIDAの順に。
トップを行く箕浦のペースは速く、4周目には1分51秒683とここまでの最速ラップを刻み2位に上がった津田に1.424秒の差をつける。津田は箕浦を追うより0.318秒差で離れない酒井への防戦に追われている状況。前を追えないのは4位の五十嵐も同様で、5位に落ちた石井が0.250秒差と再逆転のチャンスを狙っている。さらに6位争いもYOSHIDAに対して中村をかわして7位に上がった切替悠喜(ファーストガレージRSDS2)が0.068秒差とテール・ツー・ノーズ状態で迫り、5周目のTGRコーナーでインを突くとオーバーテイクに成功、6位にアップする。
ジェントルマンクラスではリスタート時点でトップだった古里拓(FLEETレヴレーシングガレージ)が4周目に順位を落とし、クラストップは総合14位の秋山健也(スーパーウインズKKS2)。秋山のマシンは昨年のKKS2投入以来真っ白なボディだったが、今回トレードマークともいえるブルーの面積が増えた。クラス2位は畠山退三(Hobby Base& zap-ED)で秋山の1.448秒後方につける。クラス3位は富士がホームである野村大樹(WRS NOMURA KK-SII)で、こちらも畠山に0.095秒差とテール・ツー・ノーズ状態だ。古里はとこかでミスがあったようで、一気に順位を落とした。
6周目、石井のプレッシャーにさらされながらも五十嵐が酒井へのアタックを開始。100Rで酒井のテールに食らいつくとアドバンコーナーでインから仕掛けてオーバーテイクに成功、酒井はややラインがワイドになり五十嵐の先行を許した。これで五十嵐3位、酒井4位。6周目も箕浦は最速ラップを1分51秒665まで更新。2位津田に1.686秒の差。津田は1.013秒差と3位からのプレッシャーから解放されたが箕浦のペースにはついていけないか。
その後の箕浦は手綱をゆるめることなく走行。2位津田とは9周目2.004秒差。10周目2.216秒とじわじわと引き離していく。3位以下も8周目に5位石井1分51秒513、9周目に3位五十嵐51秒508、10周目に4位酒井51秒471とそれぞれ最速タイムをマークするが、箕浦と津田も51秒台で走っておりおおきな順位変動はない状態。
箕浦は最終的に2位津田に2.469秒の差をつけてレースを走り切り優勝。ポール・ツー・ウインの完勝で富士デビューを飾った。2位津田は序盤で落とした順位を取り戻したものの、トップ箕浦を脅かすところまでは接近できずに終わった。その津田に一時0.6秒差まで近づいた五十嵐だったが、最後の数ラップは酒井と五十嵐がそれぞれ0.3秒差で続く表彰台争いになり、防戦に追われたか0.789秒差で3位、そこから0.371秒差で4位酒井、0.362秒差で石井。石井はファイナルラップに1分51秒068と予選のポールタイムを上回るファステストラップを叩き出した。6位は切替が入賞した。
デビュー戦の林零仁(KK-SII)は13番手からスタートで17位までポジションを落としたが徐々に順位を取り返し、13位でフィニッシュし、上位のペナルティで12位に繰り上がって初レースを終えた。また最後尾スタートとなった板倉は持ち前の速さを見せてオープニングラップで7台抜き、14位まで進出するとその後も順位を上げて11位フィニッシュ。こちらも上位のペナルティで繰り上がり10位という結果になった。
6台が出場のジェントルマンクラスは総合13位の秋山がクラス優勝、総合14位の野村がクラス2位でチームを率いる和田孝夫表を喜ばせた。クラス3位はスタート直後の接触で最下位まで落ちながら総合17位まで挽回した山本となった。
レース終了時点で気温30度という厳しいコンディションになり、各選手は汗だくでポディウムに戻ってきたが、そんな中でも16歳の箕輪は溌剌とした表情で表彰台に上がった。今年鈴鹿/岡山シリーズでS-FJにデビューし、開幕戦鈴鹿で9位、第2戦岡山で5位を獲得しているが、初の表彰台が優勝ということになった。
S-FJ筑波/富士第5戦は7月27日に舞台を筑波サーキットに戻して行われる。シリーズも後半戦。ファーストガレージ勢優位の勢力図に風穴を開けるのは誰だ。
Text: Junichi SEKINEPhot: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE















