2025オートバックス スーパーGT第2戦「富士GT3時間レース」の決勝が5月4日、静岡県小山町の富士スピードウェイで行われ、GT300クラスは6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メルヒ・ムンタン)がチーム設立5年目にして念願の初勝利を挙げた。
レース後の会見でロベルト・メリ・ムンタンは「映画のような展開」とレースを振り返った。予選ではエンジンのブースト圧が上がらないというトラブルに見舞われ、最後列の27位からのスタートを強いられた6号車の勝利を予想したものは誰一人いなかっただろう。
その第2戦決勝は午後2時11分にパレードラップを開始。続いて1周のフォーメーションラップを行い、3時間の長いレースがスタートした。
序盤からトップを快走していたのはポールポジションを獲得した777号車D'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)。スタートドライバーの藤井が山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)の追撃を受けつつもトップを守り切って32周目に最初の給油を行うと、その後も順調に周回を重ねていた。
ところが55周目を終えようとしていた777号車は突如左リヤタイヤのバーストに見舞われ、予定外のピットインを強いられることになる。
ここでチームはドライバー交代と2回目の給油を行うことにし、チャーリー・ファグがステアリングを握ってピットを離れた。
しかしこの時点でレースはまだ半ばを超えたあたり。そこからどんなに燃費走行に徹しようとも最後まで持ち堪えることはできず、777号車は99周目に3度目の給油を行わざるを得なかった。
代わってトップに立ったのは予選2位の61号車。後半を担当した井口が順調に周回を重ねていく。
さらにその背後から猛然と追い上げてきたのが6号車だった。
予選27位とグリッド最後列からスタートした6号車は、スタートドライバーのメリ・ムンタンが凄まじい勢いで追い上げを開始。0号車VENTENY Lamborghini GT3のタイヤバースト、666号車seven × seven PORSCHE GT3Rのスピン、52号車Green Brave GR Supra GTのリヤウィング破損などにも助けられて3周終了時点で15番手にジャンプアップすると、その後も62号車HELM MOTORSPORTS GT-R、11号車GAINER TANAX Z、26号車ANEST IWATA RC F GT3を次々に捉えて5周終了時点で12番手と一気に順位を上げてきた。
その後も7周目に87号車METALIVE S Lamborghini GT3を抜いて11番手、8周目に65号車LEON PYRAMID AMGを抜いて10番手、10周目に60号車Syntium LMcorsa LC500 GTを抜いて9番手12周目に56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rを抜いて8番手、13周目には4号車グッドスマイル初音ミクAMGをも捉えて7番手とぐんぐん順位を上げた。
その後、62号車のスピンアウトでFCYが宣言された際、45車PONOS FERRARI 296と65号車が早めのピットインでアンダーカットを狙ったことで労せずして6番手に上がると、23周目には2号車HYPER WATER INGING GR86 GTを捉えて5番手に。この辺りから上位陣のピットストぷが相次いだこともあり、メリ・ムンタンは32周目に3番手でピットイン。片山義章に交代する。
片山は1分38秒前半〜39秒前半の安定したペースで周回を重ね、70周目に暫定トップでピットイン、再びメリ・ムンタンに交代する。
3番手でコースに復帰したメリ・ムンタンは前の2台との差を詰めながら周回を重ね、777号車のピットインで2番手に浮上すると、その後も61号車との差を詰めていく。
そして迎えたファイナルラップ。6号車に2秒562の差をつけて走行していた61号車だったが、ダンロップコーナー手前で突如白煙を噴き上げてまさかのストップ。そのままレースを終えてしまった。
その結果、6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メルヒ・ムンタン)がトップでチェッカーを受け、2021年のチーム発足から5年目にして念願の初勝利をものにした。
2位は777号車D'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)。
それに続いて7号車CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太)が3番目にチェッカーを受けたが、レース後にピット作業違反として10秒のタイム加算を受けることに。
これにより2号車HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響/卜部和久)が繰り上げで3位入賞果たす結果となった。
Text:Kazuhisa SUEHIRO