2025年Forumula Beat(F-Be)地方選手権第2戦決勝は3月16日(日)に富士スピードウェイ13周で開催され、セーフティカー(SC)先導でスタート。4周目にグリーンフラッグでレースが開始されるとポールポジションの酒井翔太(ファーストガレージ FG108)がトップに立ちそのまま後続を突き放して走り切りトップチェッカー。優勝を飾った。
朝から雨が降り続く富士スピードウエイ。やや小ぶりになったとはいえたっぷりと水分をため込んだ路面はところどころ水まりも見られるヘビーウエットのコンデションで、SC先導によるレーススタートが宣言された。出走予定は10台だったが、10番グリッドにつくはずの富澤もぐら(松伏光運転代行ハンマーR疾風)がピットを離れることができずピットスタートとなった。富澤によるとセルモーターが回らずエンジンが始動できない状態だとのことだ。
12時30分、富澤を除く9台がSC先導でレーススタート。既報の通り予選が実施されなかったため、2025年度ランキングと2024年ランキングにより、ポールポジションの酒井を先頭に、
2位 ハンマー伊澤(アルカディア☆ハンマーR疾風)
3位 松本隆行(SHOUEI☆ミスト)今年より制定の60歳以上の「グランドジェントルマンクラス」1位
4位 梅本幸汰(ファーストガレージFG01)
5位 宇高希(テイク澤田製作所F108)
6位 KAMIKAZE(ファーストガレージ&RD4W)45歳以上の「ジェントルマンクラス」1位
7位 舩井俊仁(ファーストガレージ FG108)
8位 植田正幸(Rnsports制動屋KKZS)
9位 渡邊義人(エクシズWXRマークIII)
という並びで走行を開始、雨は相変わらず降り続けており気温5度と朝からほとんど上がらず吐く息は白く、冷え切った路面はレインタイヤの熱を奪い発動まで時間が必要だ。SCランは3周目まで行われるが3位を走行していた松本がアドバンコーナー立ち上がりでスピン、最下位で再スタートすることとなった。
4周目のコントロールラインからレース開始、その前に隊列を率いる酒井は最終コーナー立ち上がりから加速を開始すると後続を離すことに成功し、2位伊澤に1.410秒の差をつけている。一方3位梅本に対し4位宇高はしっかり追随、0.195秒差と絶妙のタイミングでコントロールラインを通過するとTGRコーナーに向けてチャンスを伺うが、ここは自重したか梅本の背後につける。宇高はコカ・コーラコーナーからの加速で梅本の右サイドに並びかけて100Rへ進入。しかしアウト側の梅本のコーナリングスピードが速く宇高の頭を抑える。続くアドバンコーナーでも宇高は梅本のインを突いて並んで立ち上がるが、ここも梅本がポジションを守る。さらに13コーナーで梅本が濡れた路面に足を取られたかラインがワイドになりコースオフしそうになるが宇高の前で踏みとどまる。後方ではKAMIKAZEと舩井のジェントルマンクラス同士のバトルが勃発。舩井がGR SupraコーナーでKAMIKAZEのインを差して5位の座を奪い取る。しかし続くパナソニックオートモーティブコーナーで勢い余った舩井がコースアウト。KAMIKAZEが再び5位へ戻す。
レインタイヤが蹴り上げるウォータースクリーンが高く上がり後続の視界を奪う。トップ酒井は一人だけ良好な視界を得てギャップを拡大。4周目だけで2位伊澤に5.490秒の差を築いて戻ってくる。3位梅本は宇高とのバトルの間に伊澤に逃げられて4.144秒差。その宇高は0.226秒差と依然梅本をつけ狙っている。以下1.995秒差で5位KAMIKAZE、0.584秒差で6位舩井と続いている。
梅本対宇高のバトルは5周目も続き、TGRコーナーでインから宇高が並び、サイド・バイ・サイドで通過、宇高が左にスイッチしてコカ・コーラコーナーで梅本のインを奪い3位にポジションアップ。しかし梅本はあきらめずにアドバンコーナーでインから宇高をオーバーテイク。3位を取り戻したかに見えたが宇高がクロスラインで並びかけて立ち上がる。両者譲らず続く300Rへと加速。インに梅本、アウトに宇高と並んでターンすると、出口で梅本が姿勢を乱してスピンモードに。梅本は360度回転してそのまま走りだすが、その間に宇高を逃がしKAMIKAZEにも抜かれて5位までドロップする。酒井はこの周も伊澤より3秒以上速い2分1秒895でその差を8.619秒まで拡大。3位を確保した宇高はそこから5.438秒差とトップ3台がバラける展開に。以下KAMIKAZE~梅本~舩井の順に。
6周目、いったんスピンで5位に落ちた梅本が挽回を開始。0.450秒差でKAMIKAZEを追うと、アドバンコーナーへのブレーキングでオーバーテイク、4位に浮上する。チームメイトであり元々のスピード差を認識してかKAMIKAZEもここは抵抗せずにポジションを明け渡す。酒井はこの周も2分1秒796と伊澤を3秒以上上回るペースで11.632秒差、さらに7周目14.776秒、8周目16.360秒と差を拡げて完全に一人旅になると9位を走る渡邊を周回遅れにする。
順位が動かなくなった中で苦しそうなのが2位を走る伊澤で、6周目に5.446秒まで開いた3位宇高との差が7周目4.483秒差となると9周目には一気に2秒近く差を詰められて2.608秒差、トップスピードはあるものの、第3セクターで宇高より0.9秒近く遅く、11周目には0.604秒差まで間合いを削られてしまう。このタイミングでスタートできなかった富澤が修復なってコースインする。チームによるとたまたま積載車に搭載してあった別の車両からセルモーターを移植して対応したとのことだ。
伊澤のスリップストリーム圏内に入った宇高は一気に接近するとテール・ツー・ノーズ状態で追走。パナソニックオートモーティブコーナーでは伊澤のインを突いて前に出て立ち上がる。しかしストレートスピードで勝る伊澤はアウト側から並走、コントロールライン上では宇高に0.012秒先行してファイナルラップへ。梅本もそこから1.430秒差と近づいている。
ファイナルラップ、酒井は2位伊澤に22秒の大差。激しいのは2位争いで、TGRコーナーでは伊澤が前でターンイン。しかしイン側の宇高も譲らずサイド・バイ・サイドで第2コーナーを通過。コカ・コーラコーナーではインサイドの伊澤が前で進入するもアウトからクロスラインを取った宇高がオーバーテイクに成功する。ややスピードが鈍った伊澤に今度は梅本が襲いかかる。100Rで大外刈りから伊澤に並びかけて出口で前に出てこちらもオーバーテイク完了。伊澤は一気に4位までポジションダウン。
2位争いをよそに一人旅を満喫した酒井は11周目にはこのレースのファステストラップである2分0秒905をマーク。最終的に2位以下に25秒以上の差をつけて悠々フィニッシュ、優勝した。2位宇高は昨年から誓っていた「トップグループを食う」という目標の一人だった伊澤に競り勝ち、4周目のスピンから立ち直った梅本が3位表彰台を獲得。伊澤4位に続いて5位でジェントルマンクラス優勝のKAMIKAZE、6位で同クラス2位の舩井というトップ6となった。
F-Be第3戦の決勝は 本日の最終レースとして午後4時10分スタート予定。昨年の衝撃的なデビュー戦以来「レインでは手が付けられないほど速い」と言われる酒井がポールポジションからスタートする。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro NOINE