
F110 CUP第2戦決勝が3月9日(日)にモビリティリゾートもてぎで開催され、3番グリッドから発進の落合蓮音(HOJUST & EAGLE)が2周目にトップに立つと終盤のバトルを生き残って10周のレースを制し、フォーミュラカー参戦2年目にして初優勝を飾った。
前日の第1戦に続いて開催の第2戦、朝から晴れ間がひろがったモビリティリゾートもてぎでだが、前夜から朝方まで降った雪を除雪する作業のために、タイムスケジュールは約1時間のディレィで開始。その後休み時間の短縮などで時間を挽回し、当初午後1時20分開始予定だったF110第2戦は20分遅れの午後1時40分に開始された。朝の段階ではコースサイドに雪が残っている個所があったが、この頃にはそれもなくなり。気温も上昇。前日とは打って変わって日なたは暖かく感じるほどになった。
前日の予選により、ポールポジションは酒井翔太(ファーストガレージF110)、第1戦優勝の加納康雅(AKILAND F110)がフロントロウに並び、3番グリッド落合、4番グリッドに第1戦でスピンを喫してリタイヤの松井啓人(DOME F110)、5番グリッド中井陽斗(HELM GSTR F110)、6番グリッド鈴木悠太(ZAP SPEED F110)、以下12台の計18台がスターティンググリッドに並んだ。気温は11度、路面温度22度のドライコンディションだ。なおグリッドへの試走で菊池貴博(きくちおやこF110)がV字コーナーでコースアウト、グラベルストップ。DNSとなってしまう。菊池は今年TGR-DCの育成ドライバーでFIA-F4に参戦予定とのことだ。
菊池を除く17台がグリッドについて10周または30分のレースがスタート。フロントロウの酒井と加納が好スタート。後方では6番手スタートの鈴木が好ダッシュを決めて前を行く松井とピットウォールの間にマシンをねじ込んで加速する。酒井翔太がホールショットを奪い第1コーナーへターンイン。アウトから加納が抑えに行くがここは酒井翔太が制する。3位に落合に続いて鈴木が4位に進出。鈴木に競り負けた格好の松井は中井と7番手スタートの下野璃央(Dr.Dry F110)の先行を許して7位までポジションを落として第1コーナーへ。
加納は第3コーナーでアウト側から狙っていくが、ここは酒井翔太がポジションを守る。第4コーナーから第5コーナーと加納は酒井翔太にプレッシャーをかけ続け、酒井翔太がディフェンシブなラインを取ることからこの2台に落合が接近。三つ巴となってファーストアンダーブリッジへ。鈴木を間にして中井と下野も接近戦を繰り広げている。
S字の入り口で加納が酒井翔太とサイド・バイ・サイドに持ち込み、V字コーナーでアウトから仕掛けると立ち上がりで前に出てトップに立つ。ここで遅れた酒井翔太を今度は落合がヘアピン手前で仕留めて2位へ。さらにダウンヒルストレートでは鈴木が酒井翔太の右サイドから90度コーナーへブレーキング勝負を仕掛けるが、ここは酒井が守る。
オープニングラップを終えてトップ加納と2位落合の差は0.334秒、そこから0.455秒差で3位酒井翔太、0.190秒の差で4位鈴木が続く、以下中井、下野のトップ6でレースが展開する。
2周目に入ると4位鈴木が前を行く酒井翔太を第1コーナーでインから差しに行き、第2コーナーでオーバーテイクを完了。これで鈴木3位、酒井翔太4位だ。そして2位落合がトップ加納への追撃を開始。第4コーナーからの加速で加納のテールをロックオン、第5コーナーで仕留めるとトップでファーストアンダーブリッジを通過する。
スタートで7位まで落ちた松井だが、2周目に入ると前を行く下野を捕らえて追走。ダウンヒルストレートでサイド・バイ・サイドになると90度コーナーでイン側からオーバーテイク。6位に上がる。
トップに立った落合は加納との間合いを拡げて0.912秒として2周目を終了、3周目も0.988秒とギャップを保つ。後方ではいったん6位に上がった松井を下野が逆襲。メインストレートに戻ってきたところで松井をオーバーテイク、6位を取り戻す。松井はペースが上がらないのか8位の酒井涼からも0.107秒差で追い上げられ、第1コーナーでオーバーテイクを許す。
トップ落合は2位加納を1.040秒引き離し、加納から鈴木~酒井翔太~中井までの4台が0.4秒ぐらいの間合いで連なっている。そこから約2秒遅れて下野が続き、いったんは酒井涼にオーバーテイクを許した松井がダウンヒルストレートをサイド・バイ・サイドで走りインから先行して90度コーナーを回り、7位の座を取り戻す。
いったん1秒以上まで開いたトップ落合と2位加納のギャップだが、ここから加納がリカバリーを開始、まず5周目に1分59秒342とこのレースのファステストラップを叩き出し、間合いを0.638秒とすると続く6周目も落合より0.261秒速いラップタイムで0.377秒までギャップを削り取る。前日の第1戦ではスリックタイヤ選択というギャンブルのおかげとはいえ終盤に怒涛の追い上げを見せた加納だけに目が離せない。
7周目に入り落合と加納はテール・ツー・ノーズ状態で第3~第4コーナーを通過、これに鈴木も追いつき三つ巴の様相に。ヘアピンでは3台がワンパックで旋回。そこから1車長の差で酒井翔太と中井が4位争いを展開している。ダウンヒルストレートでは加納と鈴木がポジションを争いサイド・バイ・サイド、加納に抑えられた鈴木はマシンの右半分がグリーンにはみ出した状態になりながら駆け降りるといったん引いて加納の背後へ。このバトルの間に落合は間合いをひろげ、コントロールライン上で加納に0.516秒差とする。いったん引いた鈴木だが0.321秒差で加納のスキを狙っており、そこから0.379秒差で酒井翔太、0.214秒差で中井と2位グループはワンパックで8周目へ。加納は鈴木からのプレッシャーに耐えながら落合との間合いを再び詰め始め、8周目を終えて0.125秒差と再びテール・ツー・ノーズ状態。3位鈴木0.230秒差、4位酒井翔太0.469秒差、5位中井0.175秒差とそれそれ一触即発の位置関係で9周目に突入する。
迎えた9周目、まず加納が第1コーナーでアウトから落合を仕留めにかかるが、ここはイン側の落合が守る。加納は第3コーナーでもアウトから落合に襲い掛かり、グラベルにはみ出しそうになりながらもオーバーテイクに成功。前を押さえられた落合に今度は鈴木がインから並びかけて第4コーナーからの加速競争に持ち込む。そのすぐ後ろには酒井翔太と中井も続いている。5台はもつれあうように第5コーナーへとアプローチするが、ここで鈴木と酒井翔太が同時に進路を右にとろうとして接触しかける。それを回避した酒井翔太だったが中井と僅かに接触。これで姿勢を乱した酒井翔太がイン側のグリーンへと乗り入れコントロールを失うとそのまま滑っていき、ブレーキングからターンインしている4台の前に飛び出す格好に。幸いなことに1台も接触することなく酒井翔太はアウト側のグラベルに飛び出して行ったが、この混乱の中で落合がトップを奪い返し、さらに鈴木も加納の前に出る。
鈴木はこことばかりに落合を攻めるが、落合も冷静にブロック。そこへ加納が接近してくるとV字コーナーで鈴木のインから差しに行く。2台は勢い余ってアウト側の縁石ぎりぎりまでワイドになり、加納はグラベルに飛び出し鈴木は失速、その隙に中井が2台を抜き去って2位へ。加納はコースに復帰するが8位あたりまでポジションを落とす。後方では松井が下野を再度攻略。これで松井4位、下野5位、酒井涼6位というオーダーに。
ファイナルラップ。トップ落合は2位中井に1.467秒のリード、3位鈴木も中井と1.797秒の差。4位松井はそこから2秒以上離れてており、5位下野は1秒の差で、その背後0.122秒差につけた酒井涼が第1コーナーで下野をオーバーテイク、5位酒井涼、6位下野の順に。さらに第4コーナーからの加速で黒沢和真(HRDP★ハンマーR/F110)が下野に並びかけて第5コーナーまでに前に出て6位を奪い取る。後方のバトルをよそに落合はトップの座を守り切りトップチェッカー。右手を高く上げながらフィニッシュラインを通過した。2位は鈴木のプレッシャーをはねのけた中井、酒井翔太との接触でフロントウイングが傾いたままでの走行だった。3位フィニッシュは鈴木だが、フィニッシュ直後の裁定で競技結果に30秒加算のペナルティが課されて13位に降着となった。これにより3位は松井、4位酒井涼、5位黒沢、6位下野というトップ6となった。
落合はこれがフォーミュラでのレースキャリア初の優勝。前日の第1戦でポールスタートから勝利を逃して悔しがっていた16歳は、翌日早くも雪辱を果たした形だ。
F110 CUP Round2は5月10~11日、スポーツランドSUGOで行われる。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhisa NOINE
Mizue NOINE