ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第6戦「スーパー耐久レースin岡山」は27日、岡山国際サーキットでグループ1の決勝を行い、ST-Xクラスの33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(チェン・ディーン/太田格之進/オジェイダ・ジェイデン)が総合優勝を飾った。
決勝は午後1時30分にローリングラップが始まった。一時太陽も顔を出していたが、天候は下り坂でスタート時は曇り、過ごしやすい気候となった。6クラス32台がグリッドに着き1周を回ってスタートが切られた。
総合優勝を争うST-Xクラスは6台が参加。ポールポジション(PP)33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(チェン・ディーン/太田格之進/オジェイダ・ジェイデン)のジェイデンは、Aドライバーハンディーのため1周目にドライバースルーを消化、下位に沈む。トップには予選3位から31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)の小高が上がり、2位には予選6位から81号車DAISHIN GT-R GT3(大八木信行/青木孝行/大八木龍一郎)の大八木龍一郎がジャンプアップ。3位に1号車中升ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥)の鵜飼が4位に23号車TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)のDAISUKEが、5位に30号車Handwork Challenge SPK GT-R(DRAGON/佐々木大樹/荒川麟)のDRAGONが続く。
6周目には33号車のジェイデンがファステストラップを連発し、早くも6位に上がってきた。この間、31号車小高は2位の81号車大八木龍一郎を6秒7離し徐々に独走態勢に持ち込む。
ジェイデンはさらに前を走る30号車DRAGON、23号車DAISUKEも捉え、10周目には4位、15周目には3位まで順位を回復してきた。
25周目、トップ31号車小高は、81号車大八木をかわして2位まで上がってきたジェイデンとの差を16秒とするが、ここからジェイデンがその差を徐々に削り始める。3位の大八木龍一郎はさらに6秒後方、1号車の鵜飼とはさらに26秒差だ。
81号車大八木龍一郎は33周目にピットイン、2位まで上がっていた33号車ジェイデンも34周目にピットイン、ドライバーをそれぞれ、大八木信行、ディーンに交代。大八木信行は6位で、ディーンは3位に落ちただけで戦列に復帰した。
レースは1時間を経過。ここで上空から小雨が落ちてきたが、路面はドライで戦況に影響を与えるほどではない。ジェントルマンドライバー、1号車鵜飼、23号車DAISUKE、30号車DRAGONは規定の時間が過ぎたため38周目に同時ピットイン。それぞれ、アレジ、元嶋、佐々木に交代した。
トップはドライバー交代を行っていない31号車小高のままで、2位には86秒離れて33号車ディーン、3位にはさらに47秒離れて81号車大八木信行、さらに15秒離れて1号車アレジ、23号車元嶋と、30号車佐々木はラップダウンとなった。
45周目、ついに31号車小高がピットイン、ドライバーを永井に交代。永井はトップのまま復帰するが、2コーナーで33号車ディーンにパスされ2位に落ちる。46周目にはついにディーンがクラス最後尾からトップに立った。
47周目、23号車元嶋がピットイン、早くも中山に交代した。トップ33号車ディーンは2位31号車永井を5秒以上離すが、永井も食らいつきその差は開かない。3位は1号車アレジだが40秒以上後方だ。
レースは残り80分、雨脚が徐々に強くなってきた。69周目、81号車大八木信行がピットインしドライバーをアンカーの青木に交代した。71周目には23号車中山が再び元嶋に交代、72周目には33号車ディーンがピットイン、ドライバーを太田に交代した。
これで再びトップに立ったのは31号車永井、2位に5秒差で1号車アレジが続く。76周目アレジが、82周目永井がピットインして、ドライバーをそれぞれ蒲生、小山の最終ドライバーに交代した。雨はやみ、ウェットタイヤの出番はなさそうだ。
ここでトップに立ったのは33号車太田、18秒離れて31号車小山は2位で戦列に復帰。背後には1号車蒲生が2秒3差で迫ってきた。
83周目、2位31号車小山は、1号車蒲生にパスされ3位に落ちた。トップ33号車太田と2位蒲生との差は84周目で20秒となった。ここから蒲生は太田を追いたいところだが、その差は大きく差は縮まらない。小山と4位23号車元嶋との差は38秒だが、小山も粘りその差は縮まらない。
106周目、30号車荒川がレッドマンコーナーで他車と接触してコースアウト、81号車青木が5位に上がる。
レースは111周を走って、33号車が優勝、今季2勝目を飾った。2位には1号車が、3位には31号車が、4位には23号車が、5位には81号車が入った。
ランキングでは、4位に入った23号車が123ポイントとしトップのまま。優勝した33号車が110ポイントで2位に浮上し、その差は13ポイント。2位に入った1号車が104.5ポイントで3位、4位に101ポイントの31号車が続き、ここまでがチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎えることとなった。ただし、ST-Xクラスのチャンピオンシップは全7戦中6戦の有効ポイント制で争われる。ここまですべてのレースでポイントを獲得している23号車は、最終戦で加点しても今回獲得した10ポイントが消えるため、実質的にはトップ23号車と2位33号車は並んでいると見た方がいい。23号車、33号車とも最終戦で勝てば自力でのチャンピオンが決まる。1号車はポールトゥウィンなら自力チャンピオンだ。
11台が参加したST-Zクラスは52号車埼玉GB GR Supra GT4(山崎学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太)の吉田のリードで始まるが、9周目には予選2位・34号車TECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき)の大草がトップに立つ。3位には26号車raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(大塚隆一郎/富田竜一郎/篠原拓朗/荒聖治)の富田がつけていたが、9周目には20号車NANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(田中優暉/大木一輝/平峰一貴)の大木にパスされ4位に落ちた。
20号車大木はさらに前を走る52号車吉田を捉え、トップ34号車大木を追う。28周目にはその差を2秒まで縮めた。
2位の20号車大木は35周目にピットイン、ドライバーを田中に交代した。トップは34号車大草のままで、2位には21号車Hitotsuyama Mercedes-AMG GT4(山脇大輔/ショーン・ウォーキンショー/ジェームス・プル/川端伸太朗)のウォーキンショーが11秒差で上がってきた。52号車吉田は3位に、26号車富田が4位で続いている。
45周目、トップを走る34号車大草がピットイン、ドライバーを加納に交代した。これで21号車ウォーキンショーがトップに浮上した。
21号車ウォーキンショーは48周目にピットイン、ドライバーをブルに交代。各車1回目のピットが終わると、34号車加納がトップに浮上。2位には11秒差で21号車ブルが続く。3位には555号車REVISION AMG GT4(徳藤一貴/たしろじゅん/永田郷)のたしろが上がってきたが、さらに26秒後方だ。
67周目には2位を走る21号車ブルがピットイン、山脇に交代し、ポジションをキープして戦列に復帰した。
各車2回目のピットインを行い最終ドライバーに交代すると、トップには21号車の山脇が浮上、2位は34号車平安山が、3位には555号車後藤が、4位には52号車野中が続く。
レース終盤、トップ21号車山脇と34号車平安山は接近戦だ。92周目には平安山が山脇をパスしてトップに立つ。その後ろ555号車後藤は33秒差、さらに4位52号車野中は23秒差だ。
しかし、3位の555号車後藤はトラブルかペースが上がらず、4位52号車野中が急接近。チェッカー直前には野中が背後まで迫る。ここで後藤は1コーナーでコースアウト。難なく野中が3位に浮上した。
優勝は105周を回って34号車、2位には21号車が入り、3位は52号車となった。しかし21号車にはレース後の車検で技術規則違反が見つかり失格。52号車が繰り上がって2位、3位には20号車が入った。
52号車はポイントを125まで伸ばし、ランキング2位の22号車が82ポイントにとどまったため、最終戦を待たずして52号車が今シーズンのチャンピオンを決めた。
ST-TCRクラスは4台が参加。PP・97号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(遠藤光博/中野信治/辻本始温)の辻本のリードで始まるが、98号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(KIZUNA/リジョンウ/山本聖渚)の山本が辻本をパスしてトップに浮上。徐々にその差を広げ始まる。24号車HYUNDAI(チェジョンウォン/加藤正将)のジョンウォンは大きく離れて3位、4位には430号車エヴァRT初号機Audi RS3 LMS(藤原能成/加賀美綾佑/田ヶ原章蔵)の加賀美が続く。
29周目、97号車辻本がピットに入りドライバーを中野に交代すると、トップに浮上。さらに67周目に中野から引き継いだ遠藤がポジションを守り切り、104周を回って優勝した。2位には98号車が入った。
今回初参戦の24号車はジョンウォンから加藤、再びジョンウォンにつなぎ、3位に入った。
ランキングでは、2位に入った89号車が90ポイントととし、トップのまま。優勝した97号車が80.5とポイントを伸ばしその差は9.5ポイント。この2台のチームメートがチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎える。
ST-1クラスは1台のみ参加の2号車シンティアムアップルKTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)が、総合で16位に入り優勝した。
ST-2クラスは8台が参加。PP・6号車新菱オートDXL夢住まい館EVO10(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄)の冨枡がトップで始まるが、2位・95号車SPOONリジカラCIVIC(山田英二/小出峻/ピストン・西沢/三井優介)が背後につける。3位・743号車Honda R&D Challenge FL5(石垣博基/尾藤成/木立純一)の木立は大きく遅れた。
6号車は冨枡から41周目に大橋、63周目に菊池とドライバーをつなぎ、後続を振り切って101周を回って優勝した。1周目にAドライバーハンディーのドライブスルーを消化し、下位に沈んでいた225号車KTMS GR YARIS(一條拳吾/奥本隼士/小林利徠斗)が、小林、奥本、一條とつなぎ、徐々に順位アップ。2位まで浮上してレースを終えた。3位には743号車が入った。
ランキングでは2位に入った225号車が115ポイントでトップを堅持。4位に終わった13号車が105ポイントの2位にとどまったためその差を9.5と広げた。3位には72号車が86.5ポイントでつけ、この3台がチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎える。
2台が参加した開発クラスのST-Qは、32号車ORC ROOKIE GR Yaris DAT concept(MORIZO/豊田大輔/佐々木雅弘/小倉康宏)が総合24位で優勝。271号車Honda CIVIC TYPE R CNF-R(大津弘樹/佐藤蓮)が総合27位で2位に入った。
次戦第7戦はいよいよ最終戦。舞台を富士スピードウェイに移し、11月17日に全クラスが参加して4時間レースが行われる。ST-Zクラス以外のチャンピオン争いに注目だ。
Text: Yoshinori OHNISHIPhoto: Keiichiro TAKESHITA