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SGT:第6戦オートポリス 大荒れの展開を制し#8ARTA NSX-GTが待望の今季初優勝!!

GT500クラスのスタートシーン GT300クラスのスタートシーン

2021オートバックス スーパーGT第6戦「オートポリスGT300kmレース」の決勝が10月24日、大分県日田市のオートポリスで行われ、予選4番手からスタートした8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が今季待望のGT500クラス初優勝を挙げた。GT300クラスはポールポジションの31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)が終始レースをリードする完璧なレース運びで優勝した。

(天候:曇り コース:ドライ)

GT500クラス優勝は8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺) GT500クラス決勝2位は38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明) GT500クラス決勝3位は23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ) GT500クラストップでゴールする8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)

第6戦決勝は午後1時30分より、2周のフォーメーションラップに続いて65周で行われた。スタート時の気温は13℃、路面温度は19℃だ。

スタートでトップに立ったのはポールポジションの大湯都史樹(16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)。しかし日立アステモコーナー(第1ヘアピン)で早くも予選2番手の山下健太(14号車ENEOS X PRIME GR Supra)がインから16号車を抜いてトップに立つ。1周を終えての14号車のリードは1.169秒。しかし14号車は今週末を迎えるにあたり、今年3基目のエンジンを投入したため、このあと5秒のペナルティストップを消化しなければならない。それもあってか#16大湯も深追いはせず、自分のペースを守って周回を重ねる。3位には伊沢拓也(64号車Modulo NSX-GT)がつけた。

トップが5周目に入ったところでレースコントロールから14号車に対してペナルティストップの指示が出た。これに応じて#14山下は6周目にピットイン。ペナルティを消化して最後尾でコースに戻った。これにより#16大湯が再びトップに立った。

7周終了時点での14号車と16号車の差は32.619秒だ。

続いて37号車KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ)に対して7周目に5秒ストップの指示が。これに応じてフェネストラズは7周終わりでピットイン。続いて8周目には38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)に対しても同様の指示が出た。

立川は8周目にベルトラン・バゲット(17号車Astemo NSX-GT)と接触して右のカナードを失ったが、9周目の1コーナーでアウトからヘイッキ・コバライネン(39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra)をパスして5位に浮上。この周を終えてすぐにピットに入った。

ところがトップが10周目に入ったところで和田久(22号車アールキューズAMG GT3)が第2ヘアピンでコースアウト。コンクリートウォールに突っ込むアクシデントが発生した。これによりレースコントロールよりフルコースイエローが宣言され、トップが11周目に入ったところでセーフティーカー(SC)が入った。5秒ストップで順位を落とした3台のスープラには挽回のチャンスが生まれた格好だ。

隊列が13周を終えたところで順位整理が行われ、ここからピットレーンがオープンになり、SCは16周終わりでピットイン。17周目からレースは再開となった。

この時点で#14山下のビハインドは7.492秒、#38立川は7.775秒、フェネストラズは8.230秒だ。

しかしここでまさかの事態が勃発する。

ここまでトップを快走していた16号車が18周目の2コーナーに差し掛かったところで突如右のリヤタイヤが脱落したのだ。このため#16大湯は日立アステモコーナーでストップ。惜しくもここでレースを終えることになった。クルマを降り、がっくりと肩を落とす大湯。これで#64伊沢がトップに浮上した。2位は福住仁嶺(8号車ARTA NSX-GT)、3位にはロニー・クインタレッリ(23号車MOTUL AUTECH GT-R)が続く。

さらにその後方では第5コーナーでショーン・ウォーキンショー(35号車arto RC F GT3)と、そのインをつこうとした内田優大(48号車植毛ケーズフロンティアGT-R)が接触、48号車がスピンしてコース上にストップしてしまったため、21周目に早くも2度目のSCが入ることになった。

車両回収と順位整理ののち、SCは24周終わりでピットイン。レースは25周目から再開となった。これに合わせてピットに飛び込んだのが関口雄飛(36号車au TOM'S GR Supra)、ヘイッキ・コバライネン(39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra)、牧野任祐(1号車STANLEY NSX-GT)、佐々木大樹(24号車リアライズコーポレーションADVAN GT-R)、国本雄資(19号車WedsSport ADVAN GR Supra)、そしてサッシャ・フェネストラズ(37号車KeePer TOM'S GR Supra)だ。

給油とドライバー交代を終えた各車は#39中山雄一、#1山本尚貴、#19宮田莉朋、#36坪井翔、#24高星明誠の順でピットアウト。しかしすかさずピットアウト直後の1コーナーで高星が坪井と宮田を捉えて順位を上げた。さらに高星は山本を激しく追い上げる。

続いてベルトラン・バゲット(17号車Astemo NSX-GT)が25周終わりでピットイン。

26周目には福住仁嶺(8号車ARTA NSX-GT)、松下信治(12号車カルソニックIMPUL GT-R)、山下健太(14号車がピットイン。27周目にはロニー・クインタレッリ(23号車MOTUL AUTECH GT-R)がピットインした。

ここで#24高星は第1ヘアピンで#23松田次生を捉えて前に出たが、松田はすぐに高星を抜き返して順位を取り戻した。

続いて28周目に千代勝正(3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R),立川祐路(38号車
ZENT CERUMO GR Supra)がピットイン。トップの伊沢拓也(64号車Modulo NSX-GT)は29周目にピットに入った。

後半を担当した#64大津弘樹はそのまま#8野尻智紀を押さえてトップでピットアウトしたが、冷えたタイヤでは抗う術もなく、1コーナーで野尻にインをつかれて2位に後退、続いて#39中山、#1山本も相次いで大津を捉えて2位、3位に浮上した。

しかし#64大津はタイヤに熱が入ってから32周終わりのホームストレートで1山本を攻略、続いて33周目の第2ヘアピンで中山をも捉えて2位を奪い返し、そのままトップを走る野尻のテールに食らいついた。

コースの至る所で並びかけようとした大津だったが、野尻は巧みに大津を押さえ込み、38周を終えた時点で1.339秒と僅かに差を広げてきた。

その後も野尻は着実にリードを広げ、41周終了時点で大津に6.458秒、45周終了時点では12.312秒、50周終了時点では26.440秒もの大差をつけた。

その後方では45周目の1コーナーで#23松田が#1山本を抜いて4位に浮上、#39中山のテールに食らいつく。

2位の大津はペースが上がらず、50周終了時点で3位#39中山との差が2.49秒、51周では1.236秒に縮まった。これにより2位争いは#64大津、#39中山、#23松田の3台に。52周目には#1山本、#38石浦宏明も追いついてきた。

#39中山は53周目の第2ヘアピンで#64大津のインをついて2位に浮上、#23松田、#1山本、#38石浦も相次いで大津を捉え、64号車はこの周で一気に6位に後退した。大津はその後もジリジリと順位を落とし、最後は12位という残念な結果に終わった。

その後#38石浦は55周目の1コーナーで#1山本を捉えて4位、2コーナーでは#23松田をも捉えて3位、続いてこの周終わりのホームストレートでは#39中山をも抜き去って一気に2位に上がってきた。しかしトップの#8野尻とは56周終了時点で34.086秒の大差がついてしまっていた。

続いて58周目の第2ヘアピンで#23松田が#39中山のインをついて3位に浮上する。残りは7周だ。

一方#1山本は63周目の第2ヘアピンで#3平手晃平の先行を許して6位に後退。さらに#3平手はファイナルラップの1コーナーでクロスラインを取って#39中山をも抜き去って4位でチェッカーを受けた。

こうした後続のバトルをよそに、トップの#8野尻はその後もトップを快走。最後は2位の#38石浦に28.548秒差をつけてフィニッシュ、8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が待望の今季初優勝をものにした。

2位はエンジン交換による5秒のペナルティストップにも関わらず着実に順位を上げてきた38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)が入り、23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が3位で表彰台に上がった。

GT300クラス優勝は31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴) GT300クラス決勝2位は96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南) GT300クラス決勝3位は61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝) GT300クラストップでゴールする31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

GT300クラスはポールポジションの中山友貴(31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)がスタートからトップを快走、山内英輝(61号車SUBARU BRZ R&D SPORT)が2位につける。なお予選19番手の4号車グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝/片岡龍也)はレコノサンスラップでミッショントラブルが見つかったためにガレージに戻されていたが、修復が間に合い、片岡がピットスタートで最後尾から戦列に加わった。

22号車が8周目にクラッシュしたことにより最初のSCが入り、続いて18周目には35号車と48号車のアクシデントにより2度目のSCが入った。

トップの#31中山は29周目にピットイン、#61山内は30周目にピットインして給油とドライバー交代を行った。すると31周目に阪口晴南(96号車K-tunes RC F GT3)がアウトラップの#61井口を捉えて順位を上げた。この時点では6位だが、31嵯峨の前の4台はまだピット作業を終えていないため、実質的には2位のポジションだ。

その後39周目に青木孝行(360号車RUNUP RIVAUX GT-R)、40周目に安田裕信(11号車GAINER TANAX GT-R)がピットインしたことで、GT300クラスは全車がドライバー交代を終了、ここで再び31号車がトップに立った。2位には96号車が続き、61号車が3位だ。

しかしそこへ熊本県出身の吉田広樹の駆る52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTが61号車SUBARU BRZ R&D SPORTに追いつき、45周目にはテール・トゥ・ノーズの状態となる、前を走る#61井口も福岡県の出身と、お互いに譲れないホームレースだ。この戦いはその後も延々と続いたが、井口は最後まで吉田の先行を許さなかった。

トップの#31嵯峨はその後も阪口に付け入る隙を与えず、最後は10.946秒の差をつけて31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)が今季初優勝。2019年にFRレイアウトのプリウスPHVを投入してから苦しい戦いを続けていたaprにとっては、2016年の第4戦SUGO以来の待ちに待った初優勝だ。

2位は96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)、3位には61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が入った。

次戦の舞台は今季2度目の開催となる栃木県のツインリンクもてぎ。11月7日決勝だ。

GT500クラスの表彰式 GT300クラスの表彰式

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI


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