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SGT:第4戦もてぎ決勝 王者山本貫禄の走り! #1STANLEY NSX-GTが待望の今季初勝利

GT500クラスのスタートシーン GT300クラスのスタートシーン

2021オートバックス スーパーGT第4戦「もてぎGT300kmレース」の決勝が7月18日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、GT500クラスは山本尚貴/牧野任祐組(1号車・STANLEY NSX-GT)、GT300クラスは加藤寛規/阪口良平組(2号車・muta Racing Lotus MC)が、いずれも僅差でライバルを退け、今季初勝利を飾った。

第4戦決勝は午後1時10分に2周のフォーメーションラップを開始。午後1時16分にスタートした。スタート時の気温は33℃、路面温度は51℃ 。強い夏の日射しの下、63周の暑く熱い戦いが始まった。

ところがこの暑さの影響からか、GT300クラスではエンジン始動に手間取るチームが相次いだ。ポールシッターの#11安田裕信(GAINER TANAX GT-R)もその1台だったが、11号車はなんとか始動に成功、順位を落とすことなくパレードに加わった。#35ジュリアーノ・アレジ(arto RC F GT3)は大きく遅れて動き出したが、#50加納政樹(ARNAGE AMG GT3)はエンジンを始動することができず、オフィシャルの手を借りてピットに押し戻されることになった。

 

GT500クラス優勝は山本尚貴/牧野任祐組(STANLEY NSX-GT)

GT500クラス決勝2位は国本雄資/宮田莉朋組(WedsSport ADVAN GR Supra)

GT500クラス決勝3位は関口雄飛/坪井翔組(au TOM\'S GR Supra)

ポールシッターの#1牧野任祐(STANLEY NSX-GT)は1コーナーで並びかけてくる#19国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)を退けてトップでコントロールラインに戻ってきた。

その後方では#36関口雄飛(au TOM'S GR Supra)が3位に浮上。#37阪口晴南(KeePer TOM'S GR Supra)が4位で続き、予選3番手の#16笹原右京(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)は5位に後退してしまった。

#1牧野は2周を終えて2位の#19国本に1'516秒の差をつける。19号車の後方には#36関口、#37阪口、#16笹原、#64伊沢拓也(Modulo NSX-GT)、そして#3千代勝正(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)が1秒以内の差で続く。

しかし2位の#19国本は3周目に#1牧野を上回る1'41.459を記録、トップとの差を1.349秒と僅かに詰めると、5周目には1'41.419とファステストラップを塗り替え、1.270秒差に迫ってきた。

そしてついに7周目の5コーナーで#19国本はアウトから#1牧野に並びかけ、続く130Rでトップに躍り出た。

次々に現れる周回遅れを軽快に左右に車体を振ってかき分けていく19号車は、8周目に1.112秒、9周目には1.799秒、10周目には1.915秒、11周目には2.475秒と着実にリードを広げていき、18周終了時点でその差は5.798秒に広がった。

なかなかペースの上がらない#1牧野はガス欠のリスクがなくなる最小限のラップとして事前に想定した24周目にピットイン。山本尚貴に後半を託す。

一方、トップを快走していた#19国本は28周目まで引っ張ってようやくピットへ。ところがここで右フロントタイヤの交換に手間取ってしまい、再び1号車の先行を許すことになった。

19号車の後半を担当した宮田莉朋は猛然と#1山本を追い上げ、37周終了時には僅か0.251秒後方にまで迫るが、山本は老獪に宮田のアタックをかわしてタイヤを使わせる作戦にでた。

さらに42周目、#35ショーン・ウォーキンショー(arto RC F GT3)の車両火災によりこの日最初のFCYが宣言されると、ペースダウンによって内圧の下がったタイヤをうまく使って僅かに宮田を引き離すことにも成功。44周目のビクトリーコーナーで#64大津弘樹(Modulo NSX-GT)が周回遅れと接触してコースオフしたために2度目のFCYが宣言されたことで、#1山本のリードは3.062秒にまで広がった。

その後も懸命に#1山本を追い上げる#19宮田だったが、ハイペースで飛ばしてきた19号車のタイヤにはすでにオーバーテイクするだけの余力はなく、山本尚貴/牧野任祐組(1号車・STANLEY NSX-GT)は3.221秒差で国本雄資/宮田莉朋組(19号車・WedsSport ADVAN GR Supra)を押さえ切り、待望の今季初勝利をものにした。チーム国光の優勝はシリーズチャンピオンを決めた昨年11月の第8戦富士以来だ。

2位に終わった#19国本/宮田組に続いて関口雄飛/坪井翔組(36号車・au TOM'S GR Supra)が3位に入った。

GT300クラス優勝は加藤寛規/阪口良平組(muta Racing Lotus MC)

GT300クラス決勝2位は平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)

GT300クラス決勝3位は吉田広樹/川合孝汰組(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)

GT300クラスも最初から最後まで緊迫したバトルが展開されることになった。

レース序盤はポールシッターの#11安田裕信(GAINER TANAX GT-R)がそのままスタートからトップで快走。#244堤優威(たかのこの湯GR Supra GT)が2位で追う展開に。

その後方では#56藤波清斗(リアライズ 日産自動車大学校GT-R)、#52川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)、#4片岡龍也(グッドスマイル初音ミクAMG)、#88元嶋佑弥(JLOCランボルギーニGT3)が僅差の3位争いを展開した。

さらにその後方では予選15番手スタートの#7荒聖治(Studie PLUS BMW)が3周目に10位、6周目に9位、10周目に8位と着実に順位を上げていたが、7号車はトラブルに見舞われて24周目にピットイン。ここで大きく後退することになった。

トップ争いを展開していた#11安田と#244堤は25周目に揃ってピットイン、それぞれ#11平中克幸、#244三宅淳詞に交代してコースに復帰するが、28周目にドライバー交代を行った#52埼玉トヨペットGB GR Supra GTが2台の間に割って入る格好でコースに戻ってきた。さらにその前方には20周目にドライバー交代を済ませた#4谷口信輝(グッドスマイル初音ミクAMG)もいた。

すかさず5コーナーで#52吉田広樹を抜き去る#244三宅だったが、#52吉田も33周目の90度コーナーで244号車を抜き返し、#4谷口を追い上げにかかる。

こうして後続のクルマが熾烈なバトルを展開している間に、今季初勝利に向けて順調に周回を重ねていたかに見えた#11GAINER TANAX GT-Rだったが、35号車の車両火災によって宣言されたFCYにより、思わぬ伏兵に足元を掬われることになる。

それは予選17番手からスタートしていた#2加藤寛規/阪口良平組(2号車・muta Racing Lotus MC)だった。

2号車はいつもどおり加藤がスタートを担当し、最初のスティントを規定ギリギリまで引っ張る作戦でレースを進めていた。しかしコース上で車両火災が生じているとの一報が入ると、加藤はすかさず当初の予定を1周前倒しして38周目にピットに飛び込み、タイヤ無交換で阪口をコースに送り出した。

これにより2号車のタイムロスは最小限にとどまり、阪口はまんまと#11平中の前でコースインしたばかりか、10秒以上のリードをも得ることになった。

当然ペースではタイヤ交換を済ませた11号車に分があり、48周終了時点で2号車のリードはわずか0.904秒にまで縮まったが、ここまで追い上げてきたことで#11平中はタイヤを使い果たしてしまい、2号車を攻略することができなくなっていた。これに対し、阪口は昨年からADVICSとともに開発を進めてきたABSの性能を存分に発揮、制動距離の短縮だけでなく走行中の姿勢制御にまでこのシステムを生かして、巧みに11号車を抑え込みながら周回を重ねていく。

さらに45周目に#4谷口を捉えて3位に浮上した#52吉田が2台に追いついてきたことで、平中は52号車を押さえ込むことで手いっぱいの状況となってしまい、万事休す。

加藤寛規/阪口良平組(2号車・muta Racing Lotus MC)が最後までトップを守り切って待望の今季初優勝を達成。加藤にとっては昨年8月の第2戦富士以来の勝利。そして46歳のベテランの阪口にとってはこれが待ちに待ったスーパーGT初優勝となった。2位の平中克幸/安田裕信組(11号車・GAINER TANAX GT-R)との差はフィニッシュの時点で1.576秒だった。

そして3位の吉田広樹/川合孝汰組(52号車・埼玉トヨペットGB GR Supra GT)と2位の11号車との差はわずか0.2143秒だった。

次戦の舞台は三重県の鈴鹿サーキット。当初は5月末に予定されていた第3戦決勝を8月22日に開催する。

GT500クラスの表彰式 GT500クラス表彰式でのウィナー GT300クラスの表彰式 GT300クラス表彰式でのウィナー

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI


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