目指すチームはトムス
短期間でトップカテゴリーにまで辿り着いたB-MAXレーシングだが、チームづくりはまだ道半ばだ。
二人三脚でチーム運営をする組田と宮田は、口を揃えて「目指すのはトムス」と言う。トムスは別格だと。だから、チームをスタートさせたときから、トムスに追いつけ追い越せを目標にやってきたという。
組田は、かつてトムスの強さはどこにあるのかをレース関係者に聞いて回ったことがある。そこで見い出した強さの秘訣は、チームスタッフの定着率が高いこと、同じメンバーでやり続けることだった。
そこで、長期間一緒に働ける環境づくりを目指し、ある時からチーム運営のコアな部分は社員で行う路線に切り替え、社員を一人ずつ増やしていった。
チーム発足から11年で確実に目指す形には近づいている。あとは結果だ。
まずは1勝が目標
チームの目標を尋ねると、組田はこう答えた。
「目標は、スーパーフォーミュラでチャンピオンを取り、名実ともに日本一になることです。F3までは達成してきましたので、スーパーフォーミュラでチャンピオンを取るまでは続けたいと思っています」
「ただ、1勝もしていないのにチャンピオンなんて口にするのはおこがましい。まずは1勝です。今シーズンの残り2戦で何とか達成したいと思います」
B-MAXレーシングがまた一歩階段を上がることができるのか、10月17日の第6戦(もてぎ)、10月31日の最終戦(鈴鹿)に注目だ。
情熱を注ぐドライバー育成
B-MAXレーシングは、これまで全日本F3、SFライツで何人ものドライバーをサポートしてきた。
今シーズンSFライツで走る名取鉄平もその一人だ。名取は昨シーズンでホンダの育成枠を外れることになった。ただ、組田は育て方次第で伸びると見て声をかけた。組田は「彼がチャンピオンを獲って、どこかのメーカーに声をかけられたら僕の目標は達成です」と言う。
この組田の取り組みを、何のためにやっているのかと訝しがる関係者もいる。しかし、組田は意に介す様子はまったくない。「これは僕のパッション(情熱)です。それに尽きます」と言い切る。そして、可能であれば、自動車メーカーの育成プログラムにも関わりたいという。
組田のドライバー育成に対する拘りは、自らが若くして経営者になったとき、周りの人たちの助けで成長できた実体験が影響しているように思える。若者の可能性を信じ、手を差し伸べることが、相手と自分の人生において、また社会にとって財産になることを信じている。そして、組田にとってはそれが至上の喜びであり、情熱を注ぐに値することなのだ。
B-MAXへの期待
初回に、B-MAXレーシングは「特異な存在」と書いた。
そう感じるのは、メーカー色の薄いチームであること、外国人ドライバーを積極的に起用すること、海外のチームとジョイントすること、多くのカテゴリーに参戦していることなど、外から見えることだけではない。
それは、オーナーである組田のキャラクターによるところが大きいが、閉鎖的になりがちなレース界にあって、オープンな空気を醸し出しているところからくるものだと思う。これはB-MAXレーシングの大きな魅力である。
ぜひ、新しい風として、レース界、特にスーパーフォーミュラに刺激を与え、たとえ小さくてもファンのために変革を起こしてくれることを期待したい。
最後に、今回ファクトリーにお邪魔をし、組田、宮田両氏には貴重な時間を割いて話を聞かせていただいた。また丁寧な応対をいただいたことに深く感謝を申し上げたい。
(了)
Text: Shigeru KITAMICHIPhoto: Katsuhiko KOBAYASHI
Shigeru KITAMICHI
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