2020年スーパーFJ日本一決定戦が12月6日(日)にツインリンクもてぎで開催された。
ABグループに分けての公式予選が行われ、Aグループは56号車宮下源都(MYST・KK-S II・制動屋)、Bグループは99号車元嶋成弥(MYSTサクセスFIRSTMOLOING)がポールポジションを獲得した。
前日の雨は上がり晴れ上がったものの、北関東に位置するツインリンクもてぎの朝の気温は氷点下まで下がり、霜が降りた路面はなかなか乾かない状態。
加えて本大会に供給されるヨコハマのスリックタイヤが新スペックという事で、多くの選手が前日練習でタイヤを理解するはずが雨で果たせず、手探りで予選に挑む事になった。晴天だった金曜日の練習で早めに新タイヤを試す事ができたチームによると、従来のタイヤより発動が早く、ラップタイムも1秒速かったという事で、どんなタイムが出るか注目だったが、予選の時点では生憎のコンディションとなってしまった。
《Aグループ予選》
8時45分にAグループ19台の予選が開始、コースはあちこちにウエットパッチが残っており、路面温度も低い状態。直前に行われたJAF-F4の予選の様子を見て数台がレインタイヤを選択しているが、ほとんどの車両はスリックタイヤでコースインした。
序盤は各車タイヤの発動を待つために周回を続け、路面コンディションも徐々改善し、20分の予選が残り10分となった辺りで、10号車筑波チャンピオンの伊藤駿(ZAP重力の森10VED)が2分10秒400をマークしトップに立つと各車本格的なタイムアタックを開始。
まずは宮下が2分9秒109で最初に2分9秒台に入れると伊藤駿、13号車杉本涼(ZAP SPEED 10V ED)、61号車佐藤巧望(MYST・KK-S II・制動屋)が10秒台で続く。
宮下は2分8秒373から8秒046とタイムを刻みトップを維持し続けるが、2番手以下は何度も入れかわり、38号車上野大哲(SACCESS RACING ES)と佐藤の二人が交互にタイムを出し合い、ここに3号車石坂瑞基(アウティスタ テイク10V)も迫る。
チェッカーフラッグが降られた計測最終周に宮下は2分7秒589を出し0.786秒差でAグループのポールポジションが確定、上野対佐藤のフロントロウ争いは上野が2分8秒375で勝ち佐藤は0.133秒及ばず3番グリッド。最後の最後に81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)が2分8秒813で石坂の上を行きセカンドロウを確保した。
(予選後のコメント)
- ポールポジション 56号車宮下源都(MYST・KKS-SII・制動屋) 2分7秒589
- 「路面が濡れている部分が多かったので慎重にいった。新仕様のタイヤについては今日初めて履いた、グリップすると周りで言っていたが、確かにこの路面状態でも思ったよりグリップがあった。第1レグに向けてポイントはスタートだ。周回数が少ない(6周)ので、スタートで出遅れると展開が辛くなると思う」
- 2位 38号車上野大哲(SACCESS RACING ES) 2分8秒375 トップとの差0秒786
- 「コースインするのがちょっと遅くて、宮下選手の方が1周多くアタック出来ている、その1周分が足りなかったかな、という印象。新しいタイヤは全く試せていなくて、レースウィークに入ってからの練習では全然タイムが出なくて、他の車に対し1秒2秒落ちのだったのだが、何とか今日の予選に合わせ込む事が出来た」
- 3位 61号車佐藤巧望(MYST・KK-S II・制動屋) 2分8秒508 トップとの差0秒919
- 「(路面が濡れていたので)まずはコースアウトしないように試し試し走り始めて最後のラップで決めに行こうと思っていた。本当はあと1周したかったがその前にチェッカーが出てしまった。もう1周走っていれば2番手も狙えたと思う。ただスタート地点のイン側はまだ濡れているので(乾いて来ているレコードライン側の)3番スタートでよかったかもしれない。第1レグに向けてはスタートが肝心だと思うので、これを決めて行けば、前の宮下選手はスタートに苦手意識があるみたいなので、チャンスがあるかもしれない」
《Bグループ予選》
Bグループ18台の予選は9時20分開始。全車スリックタイヤでコースインした。コースコンディションはかなり改善したが路面温度は6度と引き続き低温。
コースイン直後のビクトリーコーナーで71号車地頭所光(ゼンカイレーシング遊技闘速ED)がスピン、これに8号車岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)が接触、いきなり赤旗が提示され各車仕切り直し。優勝候補の一角の岡本大地はピットに入り破損したノーズセクションの交換作業を始める。
9時30分に残り時間17分から予選再開。Aグループよりコンディションが良く、各車ウォームアップからすぐに2分9秒台に入れると、残り10分の時点で19号車鶴岡秀麿(KRSゼンカイレーシング)が2分7秒489をマークしてトップに。元嶋が0.111秒差、18号車西村和真(WEST 19J)が0.637秒差で続く。
このタイミングで応急処置を終えた岡本大地がコースインする。
続く周回で元嶋が2分6秒244でトップに立ち、西村も2分6秒898で2番手浮上。更に15号車小松響(Rn-Sports・OKABE・KKS II)が2分7秒045で鶴岡を上回り3番手。元嶋は残り6分で2分5秒917と5秒台に入れる
残り5分で岡本大地が最初の計測周を終えて2分7秒965をマーク、大きなダメージは残っていないのか次の周回で2分6秒370で5番手に上がってくる。
残り1分で元嶋2分5秒108に続いて岡本大地が2分5秒361で2番手まで上がり、西村、小松と続く。
チェッカーフラッグ後の最後の計測で岡本大地が遂に2分4秒882を出しトップ確定かと思われたが、最後に計測を終えた元嶋が2分4秒855を叩き出し再逆転、0.027秒差でBグループのポールポジションを決めた。セカンドロウには西村、小松が続いた。
(予選後のコメント)
- ポールポジション 99号車元嶋成弥(MYSTサクセスFIRSTMOLOING) 2分4秒855
- 「マシンの感触もタイヤもよかった。練習することができず初めてのタイヤだがフィーリングが全然違っていて、コーナーでも踏めていけた。第1レグは岡本選手との一騎打ちになると思う、彼は絶対に上がってくると思うので、そこは何とか押さえてトップでゴールしたい」
- 2位 8号車岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ) 2分4秒822 トップとの差0秒027
- 「最終コーナーで1台スピンして止まっていて、内側から抜けようとしたが動いて来て当たってしまった。ダメージ的にはフロントノーズと左前サスペンションのアームやロッドが曲がってしまったが、時間が無かったのでフロントウイングだけ直してもらって走った。とりあえず予選を終えられて先の事を考えられない状態だがタイムを出せてよかった。(新仕様のタイヤの印象は?)まったく違う、熱の入りが先週までよりかなり早くピークも高い感じだ。今の路面コンディションで4秒が出るのだから、かなりいいタイヤだと思う」
- 3位 18号車西村和真(WEST 19J) 2分5秒079 トップとの差0秒224
- 「タイヤの熱の入り方と路面の状況から、終盤が勝負だなと思っていて、最後にちゃんとタイムが出せるように走ったがアタックで少しミスが出てしまい伸びしろが少なかった、そこだけは失敗だった。第1レグに向けては、6周しかないのでスタートをうまく決められればいいなと思っている。(新仕様のタイヤの感触は?)金曜日の練習で1回入れて試したが、今までのものと比べてグリップは高い気がする。劇的に変化しているかは このマシン(WEST 19J)が自分だけなので、比較しずらい」
- 4位 15号車小松響(Rn-Sports・OKABE・KKS II) 2分5秒648 との差0秒793
- 「(タイヤが速くなっていると言われているが?)今日初めて履いたが、まだ雨が残っている部分もあり、大きく差があるかは感じられなかったが、自分の感覚より速いタイムが出ていた。グリップを体感できるまでに至らなかったが、そこそこいいタイムが出たな、という印象。第1レグに向けては、今の予選がうまくいかなかったので、まずトップについて行って、簡単に抜けるような相手ではないがスキを狙って勝負かけて、決勝に向けていいグリッドを確保したい」
今回はワンデーレースで、この後11時25分からAグループ、12時5分からBグループの第1レグが6周で行われる。
Text: Junnichi SEKINEPhoto: Motorsports Forum