2020年スーパーFJ日本一決定戦が12月6日(日)にツインリンクもてぎで開催された。
A、B両グループから計37台が出走した10周の決勝レースは スタート直後から最終ラップまでトップ争いをくり広げた56号車宮下源都(MYST・KK-S II・制動屋)と8号車岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)が接触、クラッシュし、それをかいくぐった99号車元嶋成弥(MYSTサクセスFIRSTMOLOING)が優勝を飾った。
当日の最終レースとなる決勝は午後3時にフォーメーションラップ開始。第1レグの頃より陽はかなり傾き、路面温度も低下し予選、第1レグを走ったタイヤのコンディションも気になる状態。第1レグの優勝タイムからAグループがアウト側の奇数列、Bグループがイン側偶数列となり、Aグループ1位の宮下がポールポジション、Bグループ1位の元嶋が2番グリッドにつき、その後方に37台が並ぶとレッドライトが消灯し全車クリーンスタートを切った。
ポールポジションから好スタートを決めた宮下は先頭で第1コーナーへ飛び込む。同様にスタートダッシュに成功したのが2列目4番グリッドから発進の岡本大地で、蹴り出し良く一気に3番グリッドの3号車石坂瑞基(アウティスタ テイク10V)の前に出ると、そのまま第1コーナー進入までに元嶋もオーバーテイクし2番手にジャンプアップ成功。元嶋は石坂にも前に出られてしまい4位にドロップ。
後方では5列目9番グリッドからスタートの10号車伊藤駿(ZAP重力の森10VED)が前を行く3台を第1~2コーナーで仕留めて6番手にアップする一方で、15列目~17列目からスタートした7号車本田千啓(オートルック☆モダン☆10V☆AGI)と2号車鹿谷遼平(KRS KKS-2)、48号車小谷諭司(NILZZぐんま東庄10VED)の3台が第1コーナーでクラッシュ、早々に戦線離脱した。
1周目を終えて宮下は岡本大地に0.659秒の差をつけてコントロールラインを通過、岡本大地の背後には石坂が0.388秒差で食らいつく。
続く2周目に岡本大地は2分4秒584のタイムで宮本との差を僅かに詰める一方で石坂を0.935秒差まで引き離す。その石坂の後方には元嶋が0.161秒とテール・ツー・ノーズ状態で3周目に入ると、S字コーナーで元嶋が石坂をかわして3位に上がり、この段階で宮本-岡本大地-元嶋の1-2-3体勢が出来上がる。
宮下は3周目、4周目と立て続けにファステストラップを出して岡本大地との間に1.324秒の差を築き、岡本大地と元嶋の間は0.765秒差、4位石坂も0.625秒差と膠着状態になる中、5番手スタートから順位を維持していた81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)が石坂に接近。5周目のダウンヒルストレートから90度コーナーにかけて並びかけるそぶりを見せると0.19秒差で6周目に突入する。
その6周目には元嶋が決勝のファステストラップとなる2分3秒873を出して岡本大地に接近、ここから上位3台はじわじわと間合いを詰め始め、息詰まる神経戦を展開。8周目終了時点で宮下と岡本は0.858秒差、そこから元嶋は0.474秒差と終盤に向けて緊張が高まっていく。
石坂と松澤の戦いは6周目以降石坂が松澤をじりじりと突き放し、0.526→0.591秒と離していく。
9周目、岡本大地は宮下との間合いを詰めるがダウンヒルストレートでスリップストリームに入るまでには至らず0.461秒差でいよいよ10周目、ファイナルラップに入る。
岡本大地は満を持したかの様にメインストレートで宮下の背後に迫りそのまま第1コーナーに進入、続く第2コーナーで宮下が僅かに失速したかに見えると岡本大地が右サイドに並びかけてアウトを取り、宮下がイン側のサイド・バイ・サイドで第3コーナー~第4コーナーを抜けるが、立ち上がりの加速で僅かに前に出た宮下の左リヤタイヤと岡本大地のフロントウイング右側が接触して宮本は左に飛ばされガードレールへクラッシュ。岡本大地もスライドしながらガードレールにノーズを当てるがクラッシュまでは至らず再スタートを切る。
この混乱で3番手にいた元嶋がトップに浮上、松澤を振り切った石坂とは1秒以上の差があり、そのギャップを維持したままでファイナルラップを走り抜け優勝、2012年に兄元嶋佑弥が同じもてぎで獲得したスーパーFJ日本一の座を勝ち取った。
2位には石坂が入り、2012年の0周リタイヤだったもてぎでの日本一決定戦の雪辱を果たした。
3位は松澤、もてぎをホームとする選手としてはトップ、フォーミュラ参戦初年度を表彰台で締めくくった。
(決勝後のコメント)
- 優勝 99号車元嶋成弥(MYSTサクセスFIRSTMOLOING)
- 「(岡本選手との接戦が続いたが?)運もあったが、あきらめず食らいついていった。最後トップがシフトミスか何かして岡本選手と並んだので、自分もこれはいけると思って右に寄ってついて行ったら2人がクラッシュした。諦めずあのポジションに居たことがよかったと思う。本当に嬉しい。マシンもタイヤも調子よくて、チームのスタッフがきれいにセッティングしてくれて、トラブルも直してくれて感謝している」
- 2位 3号車石坂瑞基(アウティスタ テイク10V)
- 「(中盤松澤選手が迫っていたが?)一瞬シフトミスした周回があって、それで一気にスリップストリームが効く間合いに入られてしまった。きつかったが、そこを押さえてまた離す事ができて楽にはなった。前を必死に追いかけていたが前の3台は速くてジリジリ離される展開で、こちらもいっぱいいっぱいだった、そこが悔しい。最後岡本選手と宮下選手がぶつかってしまって、ラッキーで2位に上がったが実力で行けば4番手で終わっていたので、そこはこれから改善できるところを探したいと思う。今週いきなり練習なしで予選からのドライブだった上にタイヤのグリップも別物で、結構大変だった。そんな中で最大限やれることはやれたと思う」
- 3位 81号車松澤亮佑(群馬トヨペットリノアED)
- 「スタートを無難に決めたが周りのマシンとペースが変わらず、付かず離れずという感じで向うのペースになりつつあった。それでも落ち着いて最後まで走れて、運も味方につけて3位になれたことは素直に嬉しい」
- 4位 10号車伊藤駿(ZAP重力の森10VED)
- 「運があっての4位という感じだが、今回は満足なレースができたと思う。前をいくマシンが速くて、そこに食らいついて行きたかったという思いはあるが、予選の結果や前日の練習の様子から見たら、よいリザルトだ」
- 5位 61号車61号車佐藤巧望(MYST・KK-S II・制動屋)
- 「最初はタイヤのパフォーマンスに苦戦して、結構ズルズルだったので慣れるまでに時間かかった。第1レグで2番手を走れていて、自分ではある程度ペースもあると思っていたので、1台1台抜くことに集中した。前の車を抜いて7番手に上がった時に、その前の車とはだいぶ離れてしまっていたので、ちょっとそこで諦めてしまった。(タイヤがズルズルというのは予選や第1レグと比べて感触が違ったということ?)そんな感じです。全体的にタレちゃったって感じでそこからペースも速い訳ではなかったので淡々と走る事になってしまった。スタートでもっと(上位に)上がりたかった」
- 6位 18号車西村和真(WEST 19J)
- 「スタートを失敗して2台に抜かれた。その後のペースも良くなく、バランスが悪いままで苦労しながら走った。防戦一方の流れで内容も良くないレースだった。ベストラップが2分5秒0で、後ろのクルマが4秒7なので、それをミスなく抑えられた事はよかった」
(ファイナルラップの接触について)
これにて2020年シーズンのスーパーFJレースは完了。優勝した元嶋をはじめ各選手の来年の去就はまだ分からないが、F4へのステップアップを模索する者、引き続きスーパーFJ参戦継続を考えている者など様々。コロナ禍のダメージを乗り越えて各カテゴリーで活躍する事を願って止まない。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI