Japanese F3

ANABUKIレーシングチーム リリース Rd.5-2

           ANABUKIレーシングチーム
    1995年 全日本F3選手権シリーズ第5戦 レースレポート
<決勝レース>
 日曜日は朝から雨が降り続け、路面は完全なウェット・コンディション。ドライ・
コンディションでしか走っていないF3エントラントのために、15分間のフリー・セ
ッションがもうけられました。
 その15分間に各マシンはミゾのないスリック・タイヤからミゾのあるレイン用へ履
きかえ、セッティングも底がなるべく水につかないよう車高を上げるなど、ドライ・
コンディションとは大きく変えるのです。
 何度かのピットイン、アウトを繰り返し、ほぼ満足できるセッティングを得てフリ
ー走行を終えた本山選手は、自信をもってスターティング・グリッドに臨みました。
 見ると、斜め前にいるロサ選手のグリッドでは、スタート直前にもかかわらず、ま
だメカニックが慌ただしく作業を続けています。
「何かトラブルでもあるのかな? いやいや気の毒に」と思う反面、つい頬が緩んで
しまうのは人情というものでしょうか。
 スタート5分前の表示が出され、ようやく作業を終えたロサ選手のマシンを先頭に
フォーメーションラップが始まりました。
 雨が上がる気配は一向になく、逆にますます強さを増しています。
 コース上のどこに水が溜まっているかをチェックしながら、本山選手はこれはいつ
も以上にスタートが勝負だな、と気を引き締めました。
 隊列がスターティング・グリッドに戻り、信号は赤から青へ。
 アクセルを強く踏み込んでエンジンの回転数を上げていた本山選手のマシンが、激
しいホイール・スピンをおこしているのが遠目にもわかりました。
 完全に出遅れてしまった本山選手は、辛うじて3番手で1コーナーに進入しました
が、自分を抜いて前に出た脇坂寿一選手のマシンから飛んでくる水しぶきで前は何も
見えません。ロサ選手がスタート前の混乱がウソのように快調に走っていることだけ
は、グランドスタンド前を通るたびに、コントロールタワー横の電光掲示板で確認で
きました。
「早く脇坂選手を抜き返して追いかけないと、ペドロにどんどん離されてしまう」
 不思議と気持ちは落ちついていましたが、視界を遮る水煙と、マシンがどちらに向
いてしまうかわからない路面状況で走るのは、まったくラクじゃありません。
 敵と闘う以前に、僅かなミスも犯さないよう、自分との闘いなのです。
 前の車を抜くチャンスも少なく、抜けるとしてもドライ・コンディションの何倍も
の気を使わなければなりません。
 しかも水煙の前にいる脇坂選手はなかなか手ごわく、スキを見せないのでした。
 レースも半分近く過ぎようかという7周目、シケインの進入でラインを外した脇坂
選手のイン側に飛び込み、本山選手はようやく2番手に復帰しました。
 しかしロサ選手はその10秒先で、誰の水しぶきも浴びることなく、ゆうゆうとトッ
プを独走。
 結局レースは、そのままロサ選手が3勝目のチェッカーを受け、本山選手は2位に
終わったのでした。
◇本山 哲選手のコメント◇
 フリー走行ではまずまずだったマシンが、決勝レースでは思ったよりも良くなくて
アンダー・ステアとオーバー・ステアが入れ代わりに襲ってくる状態でした。
 前が何も見えない状態で脇坂選手をパスするのは難しくて、予想以上に手間取って
しまい、抜いた時にはロサ選手ははるか前方にいて、追いつくのはすでに不可能でし
た。
 でも何より、スタートで出遅れてしまったのが致命的でした..。
◇松本恵二監督のコメント◇
 レース中のマシン状態について本人はあれこれ言っているが、そんなことは今回の
結果にあまり関係ない。
 雨のレースでトップを走るのと誰かの後ろを走るのとでは、ラップタイムに1秒以
上のハンデが出るのは当たり前。
 スタートのミス、それが今回の結果の全てだ!
 3勝目を挙げたロサ選手と本山選手とのポイント差は8点。
 ロサ選手とのポイント差が致命的・決定的にならないよう、次戦は是が非でも勝た
なければなりません。
 第6戦は6月18日、岡山県のTIサーキットで行われます。


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