全日本F3000

CABIN:F3000鈴鹿プレスリリース

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1991年全日本F3000選手権              1991年5月29日
RACE INFORMATION              キャビン・レーシングチーム事務局
   第5戦「ミリオンカードカップレース ROUND2鈴鹿」
       A HAPPY BIRTHDAY
       右京2勝目でポイントランキング首位へ
       星野一義 予選A組2位 決勝 リタイヤ
       片山右京 予選B組1位 決勝 優勝
 チェッカー旗が振られたとき、片山右京はコクピットの中から両腕を高々と
突き上げた。右京は、開幕戦の優勝以来常に上位にありながら、なかなか思い
通りの結果を残すことができなかった。まるでその鬱憤を晴らすかのような派
手なアクションであった。
 1991年全日本F3000選手権・第5戦「ミリオンカードカップレース
ROUND2 鈴鹿」が、5月25日(土)26日(日)三重県・鈴鹿サーキット
で開催された。キャビン・レーシングチームは、このレースに星野一義、片山
右京の陣容で参戦した。
<体制>
 キャビン・レーシングチームwithインパル
  ドライバー:星野一義
  監督   :金子 豊
  マシン  :ローラT90-50/無限(Tカー ローラT91-50/無限)
 キャビン・レーシングチームwithヒーローズ
  ドライバー:片山右京
  監督   :田中 弘
  マシン  :ローラT90-50/DFV(Tカー ローラT91-50/DFV)
<マシン>
 星野はローラT90-50/無限、片山はローラT90-50/DFVを用
いる。星野車、片山車とも、前回のレースでの破損を修復しての出走。どちら
も基本仕様に変更はない。
<公式予選>
 公式予選A組第1回目、朝からの雨は上がろうとしていたが、コースはウェ
ット状態。星野はレインタイヤで走行を開始する。コースは徐々に乾き、セッ
ション終盤にはスリックタイヤを用いる選手も現れたが、星野はレインからカ
ットスリックを使うに留め、第1回の予選は13番手で終えた。
 公式予選B組1回目、片山はレインタイヤで走り始め、その後カットスリッ
クに交換。セッション後半には1セット目のスリックタイヤで走行した。結果
は1分47秒720で、第1回目のベストタイムである。
 公式予選第2回目を前に、コースはドライコンディションとなった。A組星
野はコースインのタイミングを測って、初めてスリックタイヤでのタイムアタ
ックを行い、1分48秒683を記録。さらに2セット目のスリックタイヤで
星野は記録を1分48秒159まで短縮してA組2位につけた。
 2回目のセッションを迎えた片山はライバルたちの動向をピットに待機して
眺めるが、1回目のベストタイムが更新されそうにないと見るや、2セット目
のタイヤを装着してコースイン。自己の記録をさらに更新する1分47秒69
8をたたき出してポールポジション争いに決着をつけた。片山は、こうして開
幕戦に続く、全日本F3000選手権通算2回目のポールポジションにつくことと
なった。
星野 一義:1分48秒159 A組2位
「マシンの修復後、テストをしていなかったので不安はあった。フロント部が
浮くような感触があって、調整が必要だった。タイムアタックでは、コースコ
ンディションを考慮して、タイミングを選んでいたんだ。午後に2回のアタッ
クを集中させたのは計算どおり。ただ、勝負をかけた2回目のアタックは満足
いかない。ヘアピンで遅いクルマにひっかかって、外側から大廻りしなければ
ならなかった。あれがなければ、と思うと残念だ」
片山 右京:1分47秒698 B組1位(ポールポジション)
「ここは、練習中から絶対の自信があったんです。だから、ポールはとれるも
のと思っていました。2セット目でアタックしたとき、デグナーとバックスト
レッチで遅いクルマにひっかかった。あれがなければ、もっとタイムは良かっ
たはず。このところ、ぼくのミスで結果が出せませんでしたから、ここではや
りますよ。とにかくチームにはまだまだ余力があります。決勝は、ぼくと星野
選手、それに小河選手や松本選手も関わっての接戦になりますよ、きっと」
<決勝レース>
 一時はウェット・コンディションが予想されたが、決勝を迎えた鈴鹿サーキ
ットの天候は晴だった。決勝スタートが近づくにつれ気温が上昇し、それに伴
って路面温度も上がっていった。各チームとも決勝でのタイヤ選定に、頭を悩
ませることとなった。
 フォーメーションラップが終わり、いざスタート、となった時にスターティ
ング・グリッド上でマルティニ選手がエンジンをストールさせたため、スター
トはやり直しとなった。レギュレーションによりマルティニ選手は最後尾スタ
ートとなり、1周減算され34周となったレースのスタートが切られた。ポー
ルポジションの片山は先頭で第1コーナーに飛び込む。
 2列目内側にいた星野は、外側のマルティニ選手が最後尾スタートとなった
ため難なく3位の座を手にいれ、上位を狙う高ポジションにつけた。しかし、
2周目の第2コーナーで後方内側から攻めかかってきたヴァイドラー選手と接
触。星野は大きくマシンのバランスを崩すが見事に立て直す。このアクシデン
トで星野はヴァイドラー選手とハーバート選手の先行を許し、右サイドポンツ
ーンにも損傷を受けてしまった。
 序盤、1分52秒台前半のペースで飛ばす片山は、周回毎に2位の小河選手
との差をじわじわと開く。一方、5位に後退した星野は猛然とペースを上げ、
6周目の1コーナーで4位のハーバート選手をかわし、3位のバイドラー選手
を追撃する。4位に上がった時点で5秒以上あった差は7周目には4秒7、9
周目には3秒6と詰めていった。そして11周目、星野のラップタイムは1分
51秒288まで上がり、バイドラー選手の後方1秒7の位置まで迫っていっ
た。
 ところが12周目、星野は勢い余ってS字でオーバーランしてしまう。この
アクシデントで、星野はフロントウィングを破損。フロントのダウンフォース
が得られなくなって、星野はペースダウンを余儀なくされた。
 13周目、片山と小河選手の差は4秒2。星野はこの周ピットインしてフロ
ントウィングに応急処置を加え戦線に復帰する。しかし、応急処置では状態は
改善されず、次の周に再び星野はピットイン、ノーズコーンの交換を行なった。
順位は大きく落としていたが、星野は勝負をあきらめることなくコースに復帰、
追撃を開始する。だが、その矢先、デグナーでスピンアウト、リヤウィングと
右リヤサスペンションを壊してしまい、無念のリタイヤに追い込まれてしまっ
た。
 トップを快走し続ける片山は、29周目に一旦は小河選手に2秒7まで、そ
の差を詰め寄られるが、1分51秒台前半にペースを上げてその差を開き、3
秒917の間隔としてそのままポール・トゥ・フィニッシュを飾った。全日本
F3000選手権レースで通算2勝目を挙げて片山は、再び選手権ポイント争いの
首位に立った。3日後に控えた28歳の誕生日に華を添える勝利であった。
星野 一義:16周 リタイヤ
「隣のマルティニ選手がスタートでいなくなったのいで、これはいけるぞ、と
思っていた。路面温度が上がっていたから、序盤はタイヤをいたわってペース
を落としていた。イン側からバイドラーが来たのは見えたけれど、こっちもレ
ースだからね、引く訳にはいかないよ。ああいう形で接触してリズムが狂って
しまったのが残念だ。レースはフェアに行かなくちゃね。今回の事はレースの
結果でお返しするよ。まだ王座を渡すわけにはいかない。右京君とは同じチー
ムだけれど、いい意味のライバルだと思って戦うつもりだよ」
金子 豊監督
「マシンの修復が終わったのが木曜日で、マシンの調整をする余裕がなかった。
その分ハンディがあったな。ノーズを交換したとき、ウィングの角度が不足し
ていたので、もう一度ピットインしてダウンフォースを増やした。これでよし、
と思ったらスピンアウトしてしまった。今日は序盤でリズムが狂わせられてし
まったから、星野がかわいそうだった。でも、シリーズは11戦でその中の8
戦有効ポイントでしょう。残りのレース全部でポイント取ればいいんだ。決し
ていい結果ではなかったけれど、これをバネにチームの士気はむしろ上がって
いるよ。シリーズ後半戦を見ていてください」
片山 右京: 1時間03分38秒746 優勝
「とにかく、鈴鹿には自信があったんですよ。絶対勝てると信じてた。ただ予
選の結果を見る限り、もっと混戦になってしまうかと思った。でも、案外楽に
抜け出せましてね。気温が上がったので、タイヤを消耗させてしまうことが一
番の心配だった。タイヤチョイスは、結局みんなと同じソフトタイヤを選択し
ました。みんなと一緒ならいいかな、と思って。とにかく、ミスをしない事だ
けを心がけました。小河さんとの間隔が縮まったら、ペースを上げてまた広げ
て、というレースが出来ましたね。決して楽ではなかったけれど、開幕戦に比
べたら精神的に余裕があったかな。3日後に誕生日が来て28になります。年
をとることは意識しますよ。だからこそ今年はチャンピオンをとらなくっちゃ」
田中 弘監督
「テストのときから右京の走りが良かったので、いけるとは思っていました。
彼も鈴鹿が好きだと言っているしね。予定通りのレースですね。トラクション
重視でソフトタイヤ履かせて、ギヤリングも含めて逃げられるセッティングに
マシンを仕上げました。ウチのエンジンは、トルク特性からマシンが重いとき
に、力を発揮するんです。右京は、スタート直後でガソリンの量が多くマシン
がまだ重いときに、うまくそのエンジン特性を活かしたね。次の課題は、鈴鹿
以外のサーキットで勝つことだな。菅生からは新しい吸気系システムを装着し
たエンジンも出すつもりだし、ローラT91もテストでいい感じに仕上がってき
たら使おうかと思っている。新しい物をどんどん出すことも、チームの総合力
の一つなんです。これで再びポイントリーダーになったけども、それより5戦
中二つ勝てた事が大きいね」
**CABIN Racing Team事務局/寺倉茂雄**


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