シリーズの中で天王山のひとつといわれるセパンラウンド。車両と機材を5月半ば過ぎに送り出し、気持ちを入れ替えて、このあたりで初戦から二戦続いたよくない流れを断ち切り、何とか流れを変えたい第三戦は、エントラントとしては初めての海外戦ということで、手探りで臨んだレースとなりました。
June 15th Qualifying
- 天候:曇り 路面状況はドライ
- 気温 33℃ 路面温度 40℃
- 観客数:41,000 人(GTA 発表、夜間コンサート 入場者 11,000 人含む)
灼熱のマレーシアの名にふさわしく高温多湿のセパンサーキット。曇り空ながら、時折、焼けつくような日差しが照りつける予選日となりました。13時(現地時間)からの公式練習時にもすでに気温は最高気温に達しており、タイヤの様子を見ながら安岡選手からスタート。6Lap目で加納選手に交代しましたが、フロントアップライトのトラブルが発生。早々に公式練習の走行を中止しピットインすることとなりました。記録としては3Lap目に安岡選手が出した2’07.892がベストタイムとなって公開練習の順位は21位。
このアップライトのトラブルのため、チームは予選出走中止を余儀なくされ、急きょ修復にかかることになりました。トラブルはアップライトのほかスターターにも発生しており、明日の決勝に間に合うかどうかまったく予断を許さない状況となっていました。
なお300クラス予選の結果は下記のとおりとなりました。
- P1 #55 ARTA CR-Z 高木真一/小林崇志
- P2 #16 MUGEN CR-Z GT 武藤英樹/中山友貴
- P3 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 山野哲也 / 佐々木孝太
June 16th Race Day
- 天候:晴れ 路面状況はドライ
- 気温 33℃ 路面温度 39℃
- 観客数:67,000 人(GTA 発表、夜間コンサート 入場者 11,000 人含む)
決勝日の朝になると、アップライトとスターターの修復は間に合ったものの、今度はメイン電源が入らないという致命的なトラブルが発生。メイン電源はブラックボックスの中にあってチームでは手の出しようがない部分であるだけに、エンジンを始動させることもできず、11時(現地時間)のフリー走行に車両を送り出すこともできないまま時間だけが過ぎていく状態でした。しかし、 偶然にも他チームで同じユニットを使用しているという情報を得て、伝手を頼ってユニットをお借りすることができることになり、状況が好転。
ユニットの手直しなど紆余曲折を乗り越え、決勝3時間前にやっとエンジンがかかったため、急きょ大会競技委員長に嘆願書を出すという形で決勝に参加することを許されました。
決勝のスタートは定刻16時。スタート位置は、 もちろん最後尾となっていましたが、 電源ユニットにいささかの不安を残していたチームは、ウォームアップ走行後、 もう一度車両をピットに戻し、チェック後に1分ほど遅れてコースイン。
セパン決勝のスターティングドライバーは、 ここまで二戦の流れをかえるべく作戦を変更して、安岡選手からのスタート。安岡選手はスタート直後から2分09秒台と安定かつ好調な走行を続け、13Lap目にはファステストタイムの2’09.265を記録し、順位を22位に上げました。さらに 21Lap目には20位に浮上、走行は常に安定していました。
27Lapでピットインしてタイヤ交換とドライバー交代をし、加納選手のドライビングとなりました。 なんとしても車両を完走させたいチームは、 無用のアクシデントを避けるため500クラス車両をうまく通過させることに細心、加納選手は2~3度はタイムを落としました。
しかし終盤、高温多湿という過酷な条件下でペースを落とす車両が続出する中、加納選手は最後までトラブルやアクシデントに見舞われることもなく、2分11秒台中心に走行するなど好調を維持し、じっくりと安定した走行を続けました。
そして、最終的には3Lap後れの48周、20位でチェッカーを受けることができました。
応援してくださったスポンサーの方々には、ようやく完走のご報告ができましたことを心からお礼申し上げますとともに、7月にスポーツランド菅生で開催される次戦菅生ラウンドにおきましても、変わらぬ応援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
- P1 #55 ARTA CR-Z 高木真一/小林崇志
- P2 #16 MUGEN CR-Z GT 武藤英樹/中山友貴
- P3 #11 GAINER DIXCEL SLS 平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム
- P20 #50 Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / 安岡秀徒
- チーム代表 伊藤宗治
- セパンラウンドが終了し、一途にGT-Aおよび大会組織委員会、協力していただいた各チーム、サンダーアジアレーシング、その他関係部署、ドライバー、そしてメカニックに感謝しています。今回のレースを振り返ると、自分のレース史上で最も過酷な状況であったが故に、最もいいレースだったと思っています。エンジンを始動させるところまでもっていけただけでも奇跡としか言いようのない状況でした。そんな中で、車両が安定して走行でき、満足のいくタイムで走れたこと、そして完走までもって行けたことは、まことに奇跡であったと思います。Arnage Racing はチームの結成からずっと幾度かの「奇跡」に助けられてきましたが、今回ばかりは自分の生きてきた中でも最大の「奇跡」に救ってもらいました。感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました。このセパンラウンドの、非常に意味のある完走を次戦からのレースにつなげていきたいと思います。どうぞ今後とも、応援をよろしくお願いします。
- ドライバー 加納政樹
- チームのために何としてもゴールまでもたせることだけをひたすら考えながら走りました。決勝でコースに出てみると車両は非常にいい状態で、とてもドライブし易く、自分がどこまで走れるか試したくなるほどだったので、1Lapのみチャレンジさせてもらって、 終盤44Lapのところで2’10.119のタイムが出ました。レースは、安岡君がいい感じで走ってくれたので自分はすごく助かりました。せっかくもらったステアリングだから絶対最後までもたせてやろうという気持ちで走りました。あのすごいトラブルからドライバー二人が最後までステアリングを握って走りきることができる状態にまで車を持っていった関係各位とチームに感謝します。今回のレースの感じから、普通にスタートが切れる状態であればそこそこうまく走れるのではないかと次の菅生からの展開に期待しています。
- ドライバー 安岡秀徒
- 今回のセパンですが、スタートから、非常に乗っていて楽しかったです。車はトラブルを抱えながらも、決勝になってみると速い Lap ができて面白いようにドライブできました。タイヤもたれなくてセットアップもよかったと思います。決勝になるまでほとんど走れていなくてドライバー交代の練習もできていなかったので、ぶっつけ本番になってしまい、いろいろ焦る場面はあったものの、今回は完走が目標だったので、とりあえず加納さんにステアリングを渡せてよかったです。次の菅生ラウンドでも、トラブルが出ないとは思っていませんし、むしろどんなトラブルが出てそれを乗り越えて走れるか楽しみです。
第4戦菅生ラウンドは7月27日~28日にスポーツランド菅生(宮城県) にて開催されます。引き続きの応援、宜しくお願いします。
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