SUPER GT

SGT:第5戦SUGO TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史組)が独走で今季初優勝を飾る (HONDA)

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小暮卓史(中央左)、道上龍(中央右)
TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史組)が独走で今季初優勝を飾る
シリーズポイント争いでもドライバー/チーム部門の首位に浮上

2008年7月27日(日) 決勝 会場:スポーツランドSUGO(3.704km) 天候:予選/曇り 決勝/小雨のち曇り 気温:24℃(14:00現在) 路面温度:27℃(14:00現在) 決勝レース:81周(300.024km) 観客:3万4800人(主催者発表)

 7月27日(日)、宮城県にあるスポーツランドSUGOにおいて2008 オートバックス SUPER GT第5戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。

 Honda NSX-GT勢は、#1 ARTA NSXがウエイトハンデ+5kg、#17 REAL NSXと#32 EPSON NSXがハンデ0という好条件でSUGOラウンドを迎えた。昨シーズンのSUGOラウンドでは、NSX-GTが表彰台を独占するなど相性のいいサーキットであり、後半戦に向けて勢いをつけることができるのか注目された。

 7月26日(土)に開催された公式予選において、NSX-GTは予選1回目の上位10台で決勝グリッドを争うスーパーラップに4台が出場した。

 スーパーラップにおいて、50kgのウエイトハンデを積む#18 道上龍/小暮卓史組(TAKATA童夢NSX)が唯一16秒台となる1分16秒697を記録して、今季2度目のポールポジションを獲得した。続く2番手に#17 金石勝智/金石年弘組(REAL NSX)、3番手に#1 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組(ARTA NSX)が続き、NSX-GTが1-3グリッドを独占した。#100 井出有治/細川慎弥組(RAYBRIG NSX)は7番手、#32 ロイック・デュバル/平中克幸組(EPSON NSX)は12番手から決勝スタートを迎えることとなった。

 27日(日)の決勝レースは、朝から小雨が降り、サーキット全体を薄い霧が覆うコンディションとなった。午前中に雨は止み、スタート前には路面が完全にドライとなるものの、霧は解消されずにスタート進行が心配されたが、午後2時15分に38台(GT500クラス16台)のマシンがローリングスタートを切った。

 ホールショットは#18 TAKATA童夢NSXの小暮選手、続いて#17 REAL NSXの金石年弘選手、#1 ARTA NSXのR.ファーマン選手が続き、NSX-GTが1-3態勢を築く。後方では、7位に#100 RAYBRIG NSXの井出選手、10位に#32 EPSON NSXのL.デュバル選手が続く。序盤から、2位の金石年弘選手と3位のR.ファーマン選手が激しいバトルを展開。8周目に金石年弘選手がGT300クラスのマシンと接触した影響で、R.ファーマン選手が2位に浮上するも、トップを快走する小暮選手は11周目時点で3秒370までリードを広げた。

 しかし、10周目には、R.ファーマン選手は再び小暮選手との差を0秒559に縮める。16周目、#17 REAL NSXに接触行為によるドライビングスルー・ペナルティの裁定が下され、ポジションを11位まで後退。トップの#18 TAKATA童夢NSXと#1 ARTA NSXの2台は、3位の#25 ECLIPSE ADVAN SC430を6秒以上離して、激しいトップ争いを繰り広げた。

 このサーキットは、パッシングポイントが少ないために苦心しながらGT300クラスのバックマーカーをパスしつつ、ポジション争いを繰り広げなければならない。トップを走る小暮選手は、50kgのウエイトハンデを積んでおり、5kgを積むR.ファーマン選手と比べてタイヤの負担が大きいものの、激しいプレッシャーに耐えて走り続けた。31周目の1コーナーでR.ファーマン選手がイン側に並ぶものの、小暮選手は譲らずにコーナーへ飛び込み、R.ファーマン選手が少しコースアウトをする場面もみられた。

 35周終了時に2位のR.ファーマン選手がドライバー交代のためにGT500勢の先陣をきってピットイン。30秒06のピット作業で伊沢選手に交代した。次周には小暮選手がピットイン。こちらは27秒6のピット作業で道上選手がコースに復帰した。2位の伊沢選手はすぐに道上選手の背後に追いつくが、 37周目のSPコーナーで縁石に乗り上げた影響で少しコースアウトを喫して、再び約3秒差が開いた。8位を走行していた#32 EPSON NSXのL.デュバル選手は、37周目の馬の背コーナーで#12 カルソニック IMPUL GT-Rに追突されてコースアウトを喫し、マシンのダメージが大きかったために無念のリタイアとなった。

 ほぼ全車がピットインを終えた50周目時点で、トップに#18 TAKATA童夢NSXの道上選手、2位に#1 ARTA NSXの伊沢選手、7位に#100 RAYBRIG NSXの細川選手、11位に#17 REAL NSXの金石勝智選手が走行する。

 トップ争いは、再び伊沢選手が道上選手の背後に追いつき、#18 TAKATA童夢NSXと#1 ARTA NSXの2台が3位以下を大きく引き離してテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げる展開となった。伊沢選手は、たびたび道上選手に並びかけるものの、抜けない展開が続く。そして、62周目の最終コーナーで伊沢選手が道上選手のアウト側に並んだが、オーバーランを喫してタイヤバリアにマシンの左フロント部分が接触。左フロントを大破させたために無念のピットインリタイアとなった。

 これで、2番手以降に14秒以上の大差をつけて独走態勢となった道上選手は、安定した走りで81周を走りきり、見事にNSX-GTの今季初優勝を飾った。#18 TAKATA童夢NSXにとっては昨年の第7戦もてぎラウンド以来の勝利となり、今シーズンは第3戦富士(3位)、第4戦マレーシア(3位)に続き、この勝利で3戦連続表彰台を獲得した。NSX-GT勢は#100 RAYBRIG NSXが5位、#17 REAL NSXが9位で完走した。

 この結果、ドライバー部門のシリーズチャンピオン争いにおいて#18 TAKATA童夢NSXの道上龍選手/小暮卓史選手が、計53ポイントでランキングトップに浮上。チーム部門でも、童夢レーシングチームが計60ポイントでランキングトップとなった。

コメント
白井裕|NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
 「今シーズンの初勝利は本当にうれしいですね。今回は、スタートからゴールまでNSX-GTが主導権を握る展開となりました。18号車のウエイトハンデが50kgもあるので、ドライ路面だと厳しい展開になると予想していましたが、路面温度が上がらなかった影響や、小暮選手と道上選手のがんばりが功を奏して、ライバルを大きく引き離すレース展開ができました。1号車の伊沢選手は残念な結果となりましたが、この経験をもとに成長してくれればと思います。また、次戦の鈴鹿1000kmは速さに加えて耐久性が求められるレースですが、Hondaのホームコースでもありますので、必ず優勝してNSX-GTの2 連勝を飾りたいと思います。SUGOに駆けつけてくれた皆様のご声援、ありがとうございました」
道上龍選手(優勝、#18 TAKATA童夢NSX)
 「優勝できてホッとしています。担当した後半のスティントでは、マレーシア・ラウンドに続いて、伊沢選手に後ろから迫られる展開となりました。1号車とのウエイトハンデの差が45kgもあって不利な状況でしたが、トップの座を守るべく走りきりました。タイヤもドライだと厳しいとの予想がありましたが、前半戦で小暮ががんばってトップを守ってくれたので、ドライでも最後までいけると確信していました。62周目の最終コーナーでは、GT300クラスのマシンをパスしようとアウト側からパスしにいったときに、伊沢選手のマシンがさらにアウト側に並んできて驚きました。SUGOの最終コーナーは、アウト側にタイヤかすが散乱するので、あのラインからパスするのは厳しいと思います。次の鈴鹿1000kmは、ウエイトハンデをさらに積まれてしまうので、確実にポイントを稼げるようにがんばりたいと思います」
小暮卓史選手(優勝、#18 TAKATA童夢NSX)
 「スタート直後のペースはよかったのですが、ウエイトハンデの影響があってバックマーカーをパスするような状況になると、1号車に追いつかれてしまいました。何度かホームストレートでスリップストリームに入られて、1コーナーのブレーキングで抑える展開が続きましたが、トップのまま道上選手にバトンを渡すことができてよかったと思います。このウエイトを積んでも速く走れたのは、チームスタッフのおかげだと思います。ファーマン選手は、クリーンなバトルをしてくれました。道上さんに交代してからは、1号車のバトルをドキドキしながら観ていました。でも、道上さんなら何とか守りきってくれると思っていました。この優勝でシリーズポイント争いに大きなリードを築けたと思いますが、残りのレースではチャンスを確実につかんでチャンピオンを目指したいと思います」

Text & Photo: HONDA



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