SUPER GT

【吉本大樹レースレポート SGT第2戦(鈴鹿)】 18-19 April, 2009

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【吉本大樹レースレポート SGT第2戦(鈴鹿)】 18-19 April, 2009
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【Result】

FP : 1st
QF : 2nd
SL : 4th
Final : 7th

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【Report/Free Practice~Qualify】
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■ 紫電、フリープラクティスはトップタイム&予選4番手

今年より土曜日、日曜日での2day開催となったスーパーGTシリーズ。このレースのわずか2週間前に参戦が決定した吉本は金曜日午後にサーキットへと入りチームと合流、翌日からの走行に向け綿密な打ち合わせを行った。そして翌日、土曜日の鈴鹿サーキット上空には朝の時点で大きな雲が広がったものの雨粒が落ちることはなく、8:25から行われたフリープラクティスはドライコンディションの中で行われた。

今年から金曜日の走行が無くなった事もあり、予選までの調整を行うには唯一のセッションとなった土曜日のフリープラクティス。この貴重な走行時間を有効に使うため、ピットロードシグナルがグリーンに変わると同時に各マシンは一斉にコースへと入っていく。紫電はまず加藤選手がステアリングを握りピットアウト。そしてセンサー類等のチェックを行い一旦ピットイン、その後再度コースへと戻り、予選、決勝に向けたセッティングを開始していく。

セッション序盤、加藤選手はピットインアウトを繰り返しながらマシンを調整、タイミングモニター上位につける2分7秒台のタイムでラップを重ね、この時点でダイシンアドバンフェラーリ(81号車)、ハンコックポルシェ(33号車)に次ぐ3番手につけピットへと戻る。更に加藤選手はその後NEWタイヤで計測3周のアタックラップを行い、2'05"407のトップタイムをマーク。そしてその後セッションが残り15分となったところで吉本とドライバーチェンジを行い「レースを意識したペース」でのマシンの感触をチェック。2分7秒~8秒台でのラップを重ね、このセッションを終了した。

その後ピットウォーク等を挟み、雲も消え気温も上昇し始めた11:20から行われた公式予選1回目。予選開始と同時にステアリングを握った吉本は基準タイムのクリア、そしてマシンフィーリングの確認のため3周の計測を予定しコースへと入って行くが、直後に130RコーナーでGT300クラスのマシンがスピン~コース脇にストップ。ここで赤旗が提示されたためセッションは10分程中断される事に。その後セッションが再開され再度コースへと入った吉本は、予選通過基準タイムを6番手でクリアすると、ここでピットへ戻りマシンを加藤選手に託す。

GT300クラスの占有走行の時間帯でNEWタイヤを装着した加藤選手は3周計測を予定しアタックラップへと向かう。ところがこのタイミングでコースアウトしたマシンがいたため、ここでこのセッション2回目の赤旗が提示される事に。その後セッションは残り7分で再開され、2周計測へとプランを変更する事になってしまった加藤選手。それでも加藤選手はその計測2周目で2'05"094をマーク、セッション終了間際で見事トップタイムを奪って見せる。このトップタイムはその直後にアタックを行ったハンコックポルシェ(33号車)に塗り替えられてしまったものの、予選はここで終了し、紫電はこの予選1回目を2番手で通過、スーパーラップに駒を進めることとなった。

その後約2時間半のインターバルをおき14:30から行われたスーパーラップ。このスーパーラップでは予選1回目の上位8台が出走、決勝でのPPから8番グリッドまでを賭け各車1周のタイムアタックが行われる。予選1回目を2番手で通過した紫電の出走順は8台中の7番目。この日はフリー走行からまずまずのペースを刻んできただけに、PP奪取への期待も高まる中でのアタックとなった。このスーパーラップでステアリングを握ったのは加藤選手。その加藤選手は1周のみのアタックに向けアウトラップでタイヤに熱を入れていく。しかしレースを見越して固めのコンパウンドを選んだこともあり、「タイヤと路面がマッチせず熱が入りづらかった・・・。」という加藤選手がマークしたタイムは2'05"757。最終結果は予選1回目からは2つポジションを落とす4番手となり、翌日の決勝を4番グリッドからスタートすることとなった。

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【Report/Final】
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■ 紫電まさかのトラブルでピットスタートに
■ 最後尾から一時2番手まで追い上げも、最後は7位チェッカー

予選日から一夜明けた日曜日。前日予選で4番グリッドを確保した紫電は、この日午前中に行われたフリープラクティスでも時間一杯まで調整を重ね、最後は「感触はだいぶ良くなった(吉本)」という状態で決勝のスタートを迎えることとなった。

そして迎えた決勝のスタート進行。各チームがグリッド整列までの数周で最後のマシンチェックを行っていくなか、今回の決勝スタートドライバーを任された吉本もこのわずかな間にマシンのフィーリングをチェックし、ピットで最後のセッティング変更を行っていく。そしてその後作業が完了し、いよいよグリッドに向けピットを出ようとしたその時、ここでまさかのトラブルが紫電を襲う。通常エンジンの始動はドライバーがコックピット内のスターターボタンを押す事でエンジンが始動する。しかし、しばしの静寂の後無線からは「スターターが回らない・・・」という吉本の声が。続々と他のマシンがグリッドへと向かう中、ピットロードに1台取り残されていく紫電。その場で幾度かエンジン始動を試みてはみるもののエンジンには一向に火が入らない。結局一度ピットロードまで出されたマシンは一旦そのままピットに押し戻される事になってしまった。

このトラブルによりグリッドに向けてのピットロードクローズには間に合わなかったものの、ここからクルーは必死の修復作業を開始。レーススタートまでの30分間で何とかその作業を完了させると、レーススタート前には再度吉本がコックピットに乗り込み、最後尾からの追い上げを期しピットロード出口へとマシンを運んでいく。程なくして各マシンが隊列を整えた状態で最終コーナーを立ちあがってくると、ホームストレート上ではグリーンシグナルが点灯、ここからスーパーGTシリーズ第2戦決勝の戦いの幕が切って落とされた。

「出来る限り追い上げる」と言い残し最後尾21番手からのスタートを切った吉本大樹。すると吉本はその言葉通りスタート直後から怒涛の追い上げを開始する。オープニングラップで最後尾集団の後ろに追い付くと、まずはガイヤルド、ムルシェラゴといったマシンを次々とオーバーテイク。2周目に19番手、3周目で17番手、4周目には16番手に浮上し、そこからさらにペースを上げていく。その勢いはとどまるところを知らず、吉本はトップを行くマシンよりも早いラップを刻みながらオーバーテイクを繰り返し、6周目に14番手、7周目で13番手、9周目には11番手までポジションアップ。更に12周目の時点ではついにトップ10圏内にまで到達。するとこの走りを見たピットからは「今半分抜きました。あと半分残ってます。頑張って」という激励が飛ぶ。その激励に応えるかのように1周2秒~3秒早いペースで前を行くマシンとの差を詰めていった吉本は、ストレートで圧倒的なスピードを見せるポルシェをコーナーで追い詰め、16周目のデグナーコーナーで一気にインに飛び込みオーバーテイク。9番手にまでポジションをあげていく。

当初吉本に与えられたスティント予定は21周。しかしこの時点でも前を行くマシンとの差を一気に詰めていっていた吉本の走りにチームは作戦を変更、そのまま吉本をコース上に止まらせることに。すると吉本は21周目に2コーナー先で更に1台をオーバーテイク、これを見たスタンドの観客からの拍手を背に8番手までポジションを上げていく。このあたりから上位陣が続々とピットインを始めたこともあり、チームはラップタイムとライバル勢との位置関係を見ながら吉本にピットインのタイミングを指示していく。ハイペースで周回を重ねる吉本はこれら他車のピットインもあり更にポジションを上げていく事となり、22周目に6番手、24周目で5番手、25周目には3番手、そして27周目には見かけ上とはいえ何と2番手を走行。最後尾から怒涛の追い上げを見せ、29周目にピットイン、加藤選手に残りのレースを託すこととなった。

残り20周程でステアリングを受けた加藤選手がコースに戻った時点で紫電のポジションは6番手であったものの、すでにピットストップを終えタイヤの温まったダイシンアドバンフェラーリ(81号車)がすぐ背後に迫る。まだタイヤの冷えている紫電はストレートスピードで圧倒的に有利な81号車にかわされ7番手に落ちてしまう。しかし加藤選手は残り少ない周回でさらにポジションをあげるべく81号車のすぐ背後に着け、ハイペースでのアタックをかけていく。ダイシンアドバンフェラーリと加藤選手は2位~5位の集団よりも1秒以上速いペースで距離を縮めていくが、レースも終盤となった46周目、ここに最後の不運が待っていた。シケインで多重クラッシュが発生、これによりコース上にはSC(セーフティーカー)が入ることに。前を行くマシンとの差が詰まった加藤選手は、最後の数周でのポジションアップを期し再スタートを期待したが、レースはSC先導のもと残り周回数が消化されていき、結局レースは最後まで再開されず。最後の追い上げを見せるチャンスを与えられることなく無情にもレースはそのまま終了し、紫電は7位でこの第2戦を終えることとなった。

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【吉本大樹コメント】
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急遽ドライブすることになったとはいえ、紫電は過去に3度(ポッカ)1000kmでドライブしていますし、フリー走行から僕が集中するべきポイントはレースでした。

フリー走行、予選と加藤さんと共にレースの内容を考えセッティングを繰り返し、予選後に僕がスタートドライバーとしてレースを進めることを決定し、戦略としては面白い戦略を用意していたんですが、残念ながらトラブルに見舞われてしまいピットスタートとなってしまいました。なんとか優勝を!と一丸となっていたので残念ではありますが、もしこれがグリッドに着いたあとに出たトラブルだったらレースにすら参加できていなかったかもしれませんし、グリッドに着く前にトラブルが出て良かったと思わなければなりません。

ここで全ての戦略はゴロっと変わり、出来る事はとにかく追い上げること。スイッチが入りましたよ。レース中、マシンは最高の状態で、終始ハイペースで走らせる事ができました。紫電は圧倒的にストレートが遅い半面、S字などがある東側が速いのでそれを生かして7位までポジションアップさせられました。でも、もし最後にたとえ1周でも再スタートが切られていればあと1つポジションを上げられていたかもしれないのに!とか、1000kmの様な長いレースであれば表彰台にも届いたかもしれないのに!とも考えますが、たらればではレースは成立しませんもんね。ピットスタートだったことを考えれば良いレースが出来たと思います。

思い描いた結果を得る事はできませんでしたが、楽しいレースができました。今回ドライブさせてもらえた事に感謝します。応援して下さった皆さんありがとうございました!
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