Japan Touring Car Championship

NAKAJIMA RACING JTCC FUJI REPORT

■シリーズ名:全日本ツーリングカー選手権
■大会名:  第15/第16戦・第13回インターTEC
■サーキット:富士スピードウェイ
■レース距離:4.470km×21周×2レース
■予選:   11月1日 晴・観衆:  8300人(主催者発表)
■決勝:   11月2日 晴・観衆:4万3000人(主催者発表)

シリーズ優勝を賭けた最終戦
PIAA NAKAJIMA ACCORDはチームタイトルを見事獲得!
黒澤琢弥選手もドライバーズポイント2位に輝く!!

「一旦はドライバーズランキングが3位へと後退したものの前大会で2レース連勝と
いう快挙を成し遂げてポイントリーダーへ返り咲いたPIAA NAKAJIMA ACCORDの黒澤琢
弥選手と、カストロール無限アコードの中子修を擁するTEAM無限HONDAは、前大会終
了時点で186点のチームポイントを獲得。対するチームポイント2位のNISMO(ニッサ
ン・モータースポーツインターナショナル)は165点だが、ドライバーズポイント2位
の本山選手と同5位の星野選手の最終戦における戦績如何によってはそれが逆転する
可能性も充分にある・・」。
 1997年全日本ツーリングカー選手権シリーズは、そんな"ホンダ 対 日産"と
いう文字通りメーカー対決の様相を呈したまま、いよいよその最終決戦を第15/第16
戦において繰り広げることとなった。
 前日の公開練習日と同様に晴れ渡った土曜の午前10時50分、予定通り第15戦のス
ターティンググリッドを決めるための予選が開始。無用なタイヤ消耗を防ぐため今回
もトップチームの多くが後半にタイムアタックする展開となり、黒澤琢弥選手をコッ
クピットに収めたPIAA NAKAJIMA ACCORDもピットでコースインのタイミングを推し量
る。この前半で最も速いラップタイムをマークしたのは、TEAM無限HONDAの3台目マシ
ンとして今大会用に投入されたKOOL ACCORDを駆る服部選手。前年ドライバーズチャ
ンピオンの意地をかけてか、1回目アタックでコースレコードを更新する速さを見せ
つける。
 そしてライバルの多くがコースインし、また僚友の中子選手もピットアウトしたし
ばらく後、PIAA NAKAJIMA ACCORDが満を持してコースへ向かう。しかしその直後の11
時12分、光貞選手のマシンがコースアウトして激しくクラッシュするというアクシデ
ントが発生。選手の救助と大破したマシンを回収するため、予選は一時中断されてし
まう。これによって黒澤選手はタイムアタックできないままピットに戻らざるを得な
いこととなる。
コースクリアが確認された後の11時46分、7分間の残り時間とともに予選再開が告げ
られる。
わずかな時間しかない各マシンは、一時中断解除の合図とともに一斉にコースイン。
PIAA NAKAJIMA ACCORDもアタックを開始するが、前大会での活躍によって課せられた
70kgウエイト搭載義務がたたってか、前日の公開練習時と同じくラップタイムが上が
らず苦戦。4周した時点で予選終了となり、シリーズタイトル獲得のための貴重な予
選を13位という不本意な結果で終わることとなってしまう。しかしチームメイトの中
子選手は、60kgウエイトハンディを負いながらも終了間際にトップの服部選手に次ぐ
タイムをマークして2位へ浮上。タイトルの行方に最も影響力を持つはずの本山選手
(ウエイトハンディ60kg)も奮わず、7位でマシンを降りることとなった。
午後2時30分からは、第16戦用の予選が行なわれた。ここでもその速さを誇示したの
は服部選手で、予選終了を告げるチェッカーフラッグを受けたその周回でトップタイ
ムを叩き出す。
2位にはアコードドライバー最年少の道上龍選手(JACCS MC ACCORD)。 PIAA 
NAKAJIMA ACCORDはここでもタイムが伸び悩んだままとなるが、黒澤選手の懸命なア
タックによって第15戦用予選より多少良い9位。中子選手も今ひとつ冴えない5位と
なった。
 秋晴れの下、日曜午後1時25分過ぎに第15戦決勝が開催。そのスタートはやはりウ
エイトハンディのない服部選手が手堅く制する。オープニングラップこそ予選3位の
道上選手が2番手に進出するが、3番手の中子選手が2周目には2番手位置を取り返
す。そして6周目には先行していた服部選手と順位を入れ替え、その後は服部選手を
従えたままフィニッシュ。マシンセッティングが煮詰まらないままの後列スタートと
なったPIAA NAKAJIMA ACCORDは決勝においても苦戦を強いられたが、辛うじて予選順
位を守る13位となった。HONDA ACCORDのシリーズ優勝を阻む存在である本山選手も、
全般にわたってペースが上がらず7位でレースを終了。
 チームポイントはTEAM無限HONDAがNISMOに対して大きなアドバンテージを持つ結果
となり、この時点でTEAM無限HONDAがチームタイトルに王手をかける展開となった。一
方のドライバーズポイントは、それまで3位だった中子選手が有効ポイントを累計107
点として一気にトップに立った。同100点に止まる結果となったPIAA NAKAJIMA ACCORD
の黒澤選手が再びランキングトップになるためには、続く第16戦での優勝が絶対条件
となった。
 第15戦暫定表彰式と10分間のマシン整備時間を経て、今季シリーズ最後の決勝レー
スがスタート。ここで巧みに首位の座を奪ったのは、予選2位の道上選手。ポールシ
ッターの服部選手は前戦入賞による20kgのウエイトハンディが影響したのかやや出遅
れ2番手となるが、その直後には星野/本山の両NISMO選手が続くというステディな
オーダーが形成される。TEAM無限HONDAの中子選手は6番手、黒澤選手はスタート直後
の混乱に翻弄され13番手に後退。
 これ以降のレースの流れは、服部選手が常にキーマンとなって展開された。5周目、
シフトミスしたのか服部選手が一瞬ペースダウン。これを機に星野/本山両選手とも
が前に出て、服部選手は4番手へと後退。しかしすぐにペースを取り戻した服部選手
は、まず直前にいる本山選手に猛チャージを仕掛け続ける。この2台のバトルはコー
ス各所で展開されたが、この間にトップの道上選手と2番手の星野選手はそれぞれが
単独で先行する一方、ジリジリと差を詰めてきた中子選手がついに服部選手対本山選
手のバトルの直後に到達するという局面に突入。ここからは、誰もが一瞬たりとも
レースから目が離せない攻防が続くことになる。
 好調にトップを快走する道上選手に、不運な局面が発生したのは12周目だった。前
輪左タイヤがパンクするという事態に陥り、優勝はおろか完走すら実現できないまま
戦線から離脱しなければならくなったのである。トップには道上選手の脱落に乗じて
星野選手が立ち、依然後方の3台で続けられているバトルを尻目にしてレースをリー
ドする。
 本山選手に執拗に絡らむ服部選手の援護を受けて周回を続けていた中子選手は、
サーキットにいる誰もが固唾を飲んで注視するバトルに決着を付けるかのように、15
周目のヘアピンに進入するタイミングで本山選手のイン側を攻略。が、ここで中子選
手と本山選手は接触してしまい、本山選手のマシンは車体に損傷が発生、そして中子
選手も5番手にポジションダウンする。
 プロフェッショナルスポーツとの視点から見て今回のレースが後味の悪いものとな
ったアクシデントは、この接触の翌周に起きてしまった。星野選手に続く2位入賞に
も手が届く位置にいながら、また黒澤選手と同様に優勝すればドライバーズタイトル
の獲得が可能でありながらマシンにダメージを負ってしまった本山選手はピットイン
せずにペースダウンしたまま周回して、本山選手との接触後もコースに復帰してレー
シングラップを続行した中子選手のマシンに自車をぶつけるという蛮行に及んだので
ある。中子選手のマシンは大きく姿勢を乱してコースアウト、そしてスポンジバリア
に車体側面から衝突してクラッシュ。本山選手はピットへ戻りそのままリタイヤした。
 レースは星野選手が後方で発生したアクシデントを後目にトップをキープして優勝。
自らが予選首位となりながらも、レースでは速いディフェンダーとして巧妙にレース
の流れをコントロールした服部選手が2位に入賞。スタートで順位後退しながらも16
周目には自力で6番手にまで駒を進めたPIAA NAKAJIMA ACCORDの黒澤選手は、後半の
上位マシン脱落によって4位入賞を達成した。
 波乱に満ちた最終戦によって1997年全日本ツーリングカー選手権は、ドライ
バーズチャンピオンに中子修選手が決定し、黒澤選手がそれに次ぐ2位と1-2体制
での完全勝利を達成、そして両選手が属するTEAM無限HONDAが見事チームタイトルを
獲得してシリーズを終えた。

■PIAA NAKAJIMA ACCORD担当ディレクター:藤井一三のコメント
『70kgのウエイトハンディをどう克服するかが最終戦に向けた大きな課題となり、実
現可能な策はすべて講じたつもりでした。しかし最良のセットアップ手法が見つけ出
せないままでのレース出場となり、予選/決勝とも不本意な結果になってしまいまし
た。速いマシンを作るプロとしては有終の美を飾れなかったのはもちろん残念ですが、
それ以上に黒澤選手がシリーズチャンピオンの栄誉を勝ち取れなかったことを残念に
思います。しかし今季参戦の最大目標であったチームタイトル獲得に多少でもお役に
立て、黒澤選手も同チームの先輩格である中子選手に次ぐ2位のドライバーズポイン
トを取れました。現場でご指導いただいた本田技術研究所の方々や本田技研工業のご
関係者はもとより、ご支援くださったすべての皆様に、そしてファンの皆様にこのよ
うな形でシリーズを終えることができましたことを厚く御礼申し上げます。本当にあ
りがとうございました。』


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