Formula Nippon

FN:第2戦オートポリス 難しいコースコンディションの中、塚越広大選手が3位表彰台を獲得 (HONDA)

  • 2011年6月5日(日)決勝
  • 会場:オートポリス(4.674km) | 天候:予選/晴れ 決勝/雨のち曇り | 気温:19.0℃(14:30時点) | 路面温度:23.0℃(14:30時点) | 決勝レース:54周(252.396km) | コースコンディション:決勝/ウエットのちドライ | 観客:1万3030人(主催者発表)
山本尚貴選手は5位、伊沢拓也選手は6位で入賞を果たす

fn110605004L.jpg  6月5日(日)、大分県・オートポリスにおいて、2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦の決勝レースが開催されました。

 去る5月14、15日に鈴鹿サーキットで行われた開幕戦では、6名のHondaドライバーがいずれも高いパフォーマンスを発揮しました。ポールポジションを獲得した#16 山本尚貴選手(TEAM 無限)は、スタート直後のアクシデントで戦列を離れましたが、予選2番手の#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)が2位表彰台を獲得し、#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が4位、#41 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が7位と、いずれも力強くレースを戦い、第2戦以降に期待をつなぎました。

 第2戦オートポリス・ラウンドの公式予選が行われた6月4日(土)、サーキットのある阿蘇周辺は午後3時の段階で気温が25℃まで上昇する好天に恵まれました。今回の公式予選は計3回のセッションのノックアウト方式で、全16台が出走する第1セッションでは上位12台に第2セッションに進出する権利が与えられ、第2セッションでトップ8に入ったドライバーが最終セッションに挑みます。

 第1セッションでは、塚越選手が1分31秒357のトップタイムを記録。小暮選手は4番手、伊沢選手は6番手、山本選手は9番手、そして今季よりフォーミュラ・ニッポンに参戦しているルーキーの#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)は12番手となり、第2セッションへの進出を果たしました。なお、もうひとりのルーキーである#10 小林崇志選手(HP REAL RACING)は15番手となり、残念ながら第2セッション進出はなりませんでした。

 続く第2セッションでは塚越選手が1分31秒141で再びトップに立ったほか、小暮選手は5番手、山本選手は7番手となって第3セッションへの出走権を獲得。伊沢選手と中嶋選手はそれぞれ9番手と10番手になり、ここで決勝グリッドが確定しました。

 上位8番手までのグリッドを決める第3セッションでは、1分30秒845と、予選を通じて唯一の1分30秒台を記録した塚越選手がまたしてもトップタイムを記録し、小暮選手が3番手と健闘したほか、山本選手も6番手に食い込みました。

 この結果、塚越選手がフォーミュラ・ニッポン参戦3年目にして初のポールポジションを獲得しました。以下、小暮選手は3番グリッド、山本選手は6番グリッド、伊沢選手は9番グリッド、中嶋選手は10番グリッド、小林選手は15番グリッドから、54周で競われる翌日の決勝レースに挑むことが確定しました。

 決勝レースが行われた5日(日)、オートポリス周辺は朝から雨が降っており、午前9時に始まったフリー走行もウエットコンディションとなりました。その後、雨脚は徐々に弱まり、決勝レース直前に行われた8分間のウオームアップ走行時には、雨はほとんど上がりました。とはいえ、この時点でもまだコースがまだ湿っていたほか、スタート直前にもうひと降りあったため、全車ウエットタイヤを装着してスタートに臨みました。ただし、小林選手のみは駆動系トラブルの修復作業を行っていたため、コース上のグリッドではなくピットからのスタートとなりました。

 午後2時30分、1周のフォーメーションラップ後にスタートが切られました。ポールポジションの塚越選手は序盤に2台に抜かれたものの、すぐに抜き返す激しい展開で、2コーナーまでには首位の座を確かなものとし、2番手に浮上した小暮選手に2.5秒の差をつけてオープニングラップを終えました。さらに山本選手は4番手、伊沢選手は9番手、小林選手は13番手、中嶋選手は14番手となって1周目を走りきりました。

 このとき、中嶋選手とライバル2台の計3台がピットに戻ってウエットタイヤをドライタイヤに交換。さらに、2周目が終わった時点で3台のライバルが同様にピットストップを行い、ドライタイヤへ交換をしました。これを見て3周目には塚越選手、山本選手、小林選手らがドライタイヤに交換し、続く4周目終了時点には伊沢選手もドライタイヤの装着を終えました。ただし、塚越選手に代わって首位に立った小暮選手は、ピットストップを行う直前の3周目走行中にコントロールを失ってコースアウト、上位入賞の好機を逃してしまいました。

 5周目の段階で、Honda勢のトップは中嶋選手の5番手。早めのピットストップが功を奏した形となりました。結果的にタイヤ交換のタイミングが影響した塚越選手、山本選手、伊沢選手、小林選手は7-10-11-12番手に順位を下げて周回を続けていきます。しかし、ルーキーの中嶋選手は7周目1コーナーの滑りやすい路面に足下をすくわれてコースアウト、ここでリタイアを喫してしまいました。

 同じ周、塚越選手はライバルの1台をオーバーテイクして5番手に浮上します。勢いに乗る塚越選手は13周目にもライバルの1台を攻略して4番手となり、さらに21周目に直前を走る1台がピットストップを行い、これで3番手に浮上しました。この時点で2番手のドライバーとは18秒近い差がありましたが、残る周回数でじわじわとその差を詰め、レースが残り3周となったときにはテール・トゥ・ノーズの状態まで追い詰めます。

 しかし、決定的なチャンスはついに訪れず、塚越選手は3位でチェッカーフラッグを受け、表彰台に上りました。

 山本選手も粘り強く戦い続け、7周目には8番手、12周目には7番手まで順位を上げます。さらに、20周目、21周目、24周目にもライバルを攻略するなどしてポジションアップ、4番手となりましたが、47周目にポジションを奪われ、5位となってチェッカーを受けました。

 また、一時は11番手と順位を落とした伊沢選手も懸命の力走を見せて追い上げを図ったほか、レース終盤の44周目にはライバルの1台を抜き去り、6位入賞を飾りました。小林選手はルーキーとは思えない安定したペースでレースを走りきり、入賞まであと一歩の9位で完走を果たしています。

 ポイント争いでは、3位入賞の6点にポールポジション獲得による1点の計7点を加えた塚越選手が合計9点で4位につけているほか、伊沢選手が8点で5位、山本選手が5点で7位となりました。

 第3戦は、7月17日(日)に静岡県の富士スピードウェイで決勝が行われます。

コメント
坂井典次(Tenji Sakai)|「HR10E」開発責任者
「今大会では、結果的に早めにピットストップを行ったドライバーにとって有利な展開となりました。そうした中、Hondaとしては予選での速さを決勝の成績に結びつけることができず、残念な結果に終わったと考えています。ただし、我々としてはいくつかの収穫がありました。まず、ほとんどのドライバーが無給油で走りきった今日のレースは、マシンのパフォーマンスとともに燃費のいい悪いが成績を左右する重要な要因となりましたが、HR10Eはライバルに比べてパワーと燃費のバランスがよく、Hondaのドライバーが決勝時に他のマシンを追い上げていくひとつの原動力となりました。今後はレース中の戦略も見直すことで、さらに上位を目指していきたいと思います。また、東日本大震災の被災地である栃木県出身の塚越選手がポールポジションを獲得し、決勝でも果敢に走り続けた末に表彰台に上ったことはうれしかったですね。これが被災地のみなさんに元気を送ることになればと期待しています。次回の第3戦富士でも優勝を目指して取り組んでいきますので、引き続きファンのみなさんのご声援をよろしくお願いします」
塚越広大選手(3位 #41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「決勝レースは路面のコンディションがどうなるのか分からなかったので、まずはレインタイヤでスタートして様子を見る、という戦略をとりました。スタートでは慎重になり過ぎて2台のマシンに抜かれましたが、すぐに抜き返すことができました。また、3周後にピットインをしてスリックタイヤに交換してからも数台を抜くことができました。予選からずっとマシンの調子がとてもよかったので、今回の3位という結果には全く満足していません。ただ、予選で上位に入れば必ずチャンスは来ると思うので、今後もチーム一丸となってがんばります」
山本尚貴選手(5位 #16 TEAM 無限)
「レース直前に雨が止む難しい天候でしたので、タイヤ選択には非常に悩みました。結局レインタイヤを選択してレースに臨みましたが、コース上は思った以上に乾いていたので、もう少し早めにピットインしてスリックタイヤに交換していれば展開も違っていたかもしれません。また、その後のペースも決して悪くはなかったのですが、石浦選手とのバトルの際にタイヤがパンクしてしまったようで、後輪のバランスが狂ってしまいました。その結果、ペースを落としてしまい、それと同時に後続の状況や燃費のことなど、考えることがたくさんあるタフな状況になってしまいました。今大会では表彰台にも上がれず、結果には満足していませんが、そのようなさまざまなアクシデントがあった中で最後まで走りきれたのは、5位という結果以上に価値があったと思います」
Text & Photo: HONDA


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