富士スピードウェイを舞台に行われるFCR-VITAシリーズの最終第4戦決勝が12月21日に開催され、予選2番手からスタートの藤原大暉(ACE LINE'S VITA)がファイナルラップのフィニッシュラインまで展開したトップ争いに競り勝って優勝を飾り、2位フィニッシュの徳升広平(PassingMark VITA)がシリーズチャンピオンを獲得、4連覇を達成した。
朝から行われた予選に続いて決勝は午前10時コースイン開始。冬の富士スピードウェイには日が差し気温は9度まで上昇しているが、時々強い風が吹き体感温度はかなり低い。49台がグリッドに整列すると午前10時17分フォーメーションラップ開始。路面温度もあまり上がってきていないようで、タイヤの内圧をレースのどの段階に合わせるか、各陣営悩んでいたようだ。気になるチャンピオンの行方は徳升が2位以内ならば自動的に決定。3位以下の場合は斎藤愛未(Team M岡部自動車D.D.R VITA)と藤原の結果次第ということになる。
49台全車がクリーンスタート、10周または30分間の決勝が開始された。
蹴り出しがよかったのが2番グリッドから発進の藤原で、ポールシッター徳升の右サイドに並べかけてTGRコーナーにインから進入。サイド・バイ・サイドで第2コーナーを走り抜けると続くコカ・コーラコーナーで徳升が前に出てトップの座を守る。その後ろでは4番手スタートの落合蓮音(ホージャストレーシングVITA)が3番グリッドの奥住慈英(SEVEN x SEVEN WITH KFM)をTGRコーナー手前でオーバーテイク、3位に上がるも奥住がTGRコーナーの中で差し返してポジションを戻す。
徳升~藤原選手~奥住~落合がワンパックでトップグループを形成、5位以下をやや引き離して第3セクターへ。パナソニック・オートモーティブコーナーを立ち上がる所からの加速で奥住、落合選手が続けて藤原をかわして順位を上げてコントロールラインを通過。2位奥住~3位落合~4位藤原という順に変わるが、それぞれ0.025秒、0.051秒しか差はない。そしてオープニングラップの混戦を抜けて順位を上げたのが井本大雅(SEVEN x SEVEN WITH KFM)で8位から6位へアップ。逆転チャンピオンを狙う斎藤は6位から10位へとポジションを落としチャンピオンに赤信号がともるが、まだわからない。
5台が出走のジェントルマンクラスでは1周目を終えてイノウエケイイチ(ワコーズEDニルズ)が総合11位のクラストップ、山本龍(おさきにどうぞ☆VITA)が総合16位のクラス2番手、富田栄造(CPホールディングスニルズ)が総合35位のクラス3番手を走っている。
トップに立った徳升は順位を争う2位グループを引き離し3周目に1.6秒差。一方2位グループでは3周目に藤原が落合を攻略して3位に浮上する。4周目に藤原はここまでのファステストラップの1分58秒334を出して奥住に0.27秒差と接近、落合をはさんで5位永井歩夢(BBS VITA)、6位には下野璃央(Dr.Dry☆VITA)、7位に井本大雅(SEVEN x SEVEN WITH KFM)が上がってくると4周目のTGRコーナーで下野と井本が相次いで永井をオーバーテイク。これで下野5位、井本6位で永井は7位にドロップ。
5周目に入りストレートで奥住のスリップストリームから抜け出た藤原がコントロールライン上では0.036秒と僅かに前に出て2位に進出。トップ徳升から1.114秒差でレースは後半戦へ。
勢いに乗る藤原は6周目に1分58秒192とファステストラップを更新、徳升との間合いを0.626秒まで削り取る。3位奥住、4位落合はやや離されそれぞれ0.9秒、0.7秒の間合い。7周目も藤原は1分58秒118とこの日のファステストラップをマークして徳升を0.178秒差にロックオン。テール・ツー・ノーズ状態で8周目に突入すると左サイドから並びかけてTGRコーナーにアプローチ。インサイドを守った徳升が先行してターンインするが、ややオーバースピードかラインがアウトにはらみ、クロスラインでインサイドに切れ込んだ藤原が前に出てついにトップが交代する。しかし徳升は食い下がって逆転のチャンスを伺っている。0.242秒差で8周目を終えた両者はTGRコーナーで今度は徳升が藤原のスリップストリームを使ってTGRコーナーでのチャンスを伺うが、ここは藤原が守って0.3秒差でファイナルラップへ。後方では井本が下野を仕留めて5位に浮上している。
ファイナルラップ。TGRコーナーで徳升が再びチャンスを伺うがここは藤原が抑える。2台はバンパー・ツー・バンパーの車間で第2コーナーからコカ・コーラコーナーを抜けると、300Rで藤原が僅かに失速したのを見逃さずに徳升がアウト側からダンロップコーナーへのブレーキングで前に出てトップの座を奪い返す。しかし藤原は徳升のテールを逃がさず、両車はパナソニック・オートモーティブコーナーを立ち上がりフィニッシュラインに向けて加速競争。ぎりぎりまで徳升のスリップストリームを使った藤原が左サイドに躍り出て前に出るとトップでチェッカードフラッグの下を通過、優勝を勝ち取った。徳升は0.104秒及ばずの2位に終わったが、これで2024年のシリーズチャンピオンを確定させた。3位は奥住。ファイナルラップに接近戦となった4位グループはパナソニック・オートモーティブコーナーまでポジションを守っていた落合を立ち上がりで井本、下野が次々とオーバーテイク。井本4位、下野5位を獲得。落合選手は一瞬で6位に落ちるというFCR-VITAならではの厳しさを味わう結果になった。3台の間合いは僅か0.188秒だ。
ジェントルマンクラスはイノウエが総合12位でトップ、山本が総合16位クラス2番手、そして77歳の富田が総合32位クラス3番手で表彰台に立った。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Asako SHIMA