ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第4戦「もてぎスーパー耐久5Hours Race」は7日、栃木県のモビリティーリゾートもてぎで決勝を行い、ポールポジション(PP)からスタートしたST-XのDAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月)が5時間を走って総合優勝を飾った。
決勝は午後0時30分にセーフティーカー(SC)先導でローリングラップが始まった。上空には雲が広がり、日差しもやわらかくなったが、それでもまだまだ蒸し暑い。
4台が参加し総合優勝を争うST-Xクラスは、ポールシッター81号車DAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月)の藤波が後続をリードしながらレースが始まる。2位には33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(ジェフリー・リー/太田格之進/チェン・ディーン/リアン・ジャトン)のディーンが、3位には31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)の永井が、4位には23号車TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)のDAISUKEがつける。
30周目にはトップ81号車藤波は、2位33号車ディーンとの差を47秒と大量リードを築く。その後ろ31号車永井との差はさらに23秒、さらに9秒離れて23号車DAISUKEが続く。
35周目、33号車ディーンがまっさきにピットイン、ドライバーをリーに交代。38周目にはトップの81号車藤波がピットインし、今田に交代。38周目には4位の23号車DAISUKEが、39周目には3位の31号車永井が、Aドライバーの最低乗車時間が経過したため、それぞれ元嶋と小高に交代した。
全車1回目のピットインを終えると、40周目には81号車今田がトップのまま。68秒差で33号車リー、さらに16秒差で31号車小高、その背後には4.4秒差で23号車元嶋が迫る。
45周目、ペースの上がらない2位リーを、小高と元嶋が相次いでとらえ、リーは4位までドロップ。さらに元嶋は小高をパスして2位に浮上した。
ここから2位の23号車元嶋はトップ81号車今田より1周2~3秒速いラップを刻みタイム差を削り始める。73周目にはその差が10秒余りとなったところで、今田がピットイン。ドライバーを坂口に交代したが、ピット作業に手間取りタイムをロスした。
75周目には今田のピットインでトップに立っていた23号車元嶋がピットイン、中山に交代、76周には31号車小高もピットイン、小山に交代した。
これでトップに立ったのは23号車中山。ピット作業のトラブルで81号車坂口が2位に落ち、77周目にはその差3秒で続く。その後ろ、さらに3位の小山が58秒差。71周目にドライバーをリーからシャトンに交代した33号車は4位だが、ラップダウンとなった。
78周目トップ23号車中山に、2位81号車坂口が迫る。81周目、ついにこの2台はテールトゥノーズとなる。このバトルは数周にわたって続くが、中山のコーナー立ち上がりの蹴り出しがよく、コーナーで追いついても、ストレートで背後につけない。
ところがこの2台のバトルが90周目に入ったとき、なんとトップ23号車にFCY中の速度違反による、ドライビングスルーペナルティー(Dスルー)が科される。23号車が92周目にペナルティーを消化すると、81号車坂口は難なくトップに浮上した。23号車中山は2位のままだが、93周目にはその差は18秒と開いた。
23号車中山は111周目に、81号車坂口は112周目に、31号車小山は113周目にピットイン。それぞれドライバーをアンカーの元嶋、藤波、嵯峨に交代する。113周目、トップ藤波と2位元嶋の差は18秒だ。
ここから2位23号車元嶋はトップ81号車藤波との差を削り始める。115周目には16秒、116周目には15秒と徐々に迫る。
31号車嵯峨が118周目を終了したストレートで車内火災が発生し、ストップ。ここで場内に雨が落ち始めたが、すぐにやみすう勢に影響はなかった。
125周目、トップ81号車藤波と2位23号車元嶋の差はついに10秒を切った。しかしここからタイヤを温存していた藤波がスパート。126周目から133周目あたりまでは10秒前後の差でタイムは拮抗。134周目以降は逆に藤波が元嶋を突き放し、140周目にはその差を17秒まで広げた。
レースはこのまま5時間が経過、最終的には81号車藤波が23号車元嶋を21秒離し、147周を回って今季待望の初優勝を飾った。2位には23号車元嶋が入った。23号車にはレース後、2度のフルコースイエロー(FCY)中の速度違反で30秒x2のタイムが加算されたが、3位の33号車太田がラップダウンだったため、2位の順位は変わらなかった。
23号車は、Dスルーを含めて3度のFCY速度超過があったが、FCYボタンを押したときのシステム不良で設定以上に速度が出たようだ。
11台が参加したST-Zクラスは、PPから序盤レースをリードした20号車NANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(田中優暉/平峰一貴/大木一輝)と34号車TECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき)との争いとなった。
中盤過ぎには、20号車にFCY中の速度超過でDスルーが科される。終盤は、34号車をパスしてきた25号車raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 (植松忠雄/松田次生/佐藤公哉/名取鉄平)がトップに浮上。そのまま逃げ切り、TEAM ZEROONEとして優勝を飾った。2位には34号車が、3位には20号車が入った。
3台が参加したST-TCRクラスは、97号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(遠藤光博/中野信治/桝本隆介)と98号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(KIZUNA/リジョンウ/山本聖渚)に相次いでトラブルが発生。430号車Audi Team SHOW APEX(藤原能成/霜野誠友/田ヶ原章蔵)が優勝した。2位には98号車が入り、97号車はリタイアとなった。
1台のみ参加のST-1クラスは2号車シンティアムアップルKTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)が優勝、総合でも4位に入った。
4台が参加したST-3クラスは、PPから2位以下を大きくリードしてトップを快走していた15号車岡部自動車Z34(前嶋秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥)が、開始150分頃、折り返し地点の68周目にストップ。優勝は15号車僚友の16号車岡部自動車Z34(小松一臣/田中徹/田中哲也/甲野将哉)が飾り、2位にはAドライバーハンディーで30秒のピットストップを科されていた38号車TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS(小村明生/庄司雄磨/石森聖生)が、3位には39号車エアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/眞田拓海)が入った。
7台が参加したST-4クラスは、序盤から予選2位の3号車ENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河諒)がトップを快走。終盤、トップに浮上した884号車SHADE RACING(影山正彦/国本雄資/山田真之亮/鶴田哲平)を2位に落ちた3号車が追い上げる展開となる。
3号車菅波が、トップ884号車国本についに追いつき、テールトゥノーズの争いとなるが、127周のヘアピンで立ち上がりの鈍った国本を菅波が捉え、ついにトップに浮上、128周を回って優勝した。2位に落ちた884号車は、ガス欠でゴールラインを横切ることができず。スーパー耐久はチェッカーを受けなければ順位認定とならないため(チェッカー優先ルール)、リタイアでノーポイント。リーダから陥落した。
2位には黄旗無視でDスルーを受けた41号車エアバスターWINMAX GR86 EXEDY(石井宏尚/冨林勇佑/尾崎俊介)が、3位にはPPながらAドライバーハンディーでDスルーを行った66号車odula TONE MOTUL ROADSTER RF(猪股京介/徳升広平/大野尊久/伊藤裕仁)が入った。
14台が参加し最大勢力となったST-5クラスは、PPの88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平)、110号車ACCESS COURAGE VITZ(松田利之/和田慎吾/武藤壮太/AKITA)、17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦)などが代わる代わるトップに立つが、終盤は88号車が独走。そのまま優勝を飾った。2位には17号車が、終盤110号車がトラブルで後退したため、3位には4号車THE BRIDE FIT(太田侑弥/新井薫/瀬戸貴巨/伊藤裕士)が入った。88号車は今季2勝目を飾りポイントリーダーに立った。
3台参加の開発クラスST-Qは、271号車Honda CIVIC TYPE R CNF-R(大津弘樹/三井優介/桂伸一)がエンジンかからず出遅れ、92号車はGR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/関口雄飛)ピットスタートとなる。しかしスピードに勝る62号車は早々にトップに立つと、総合9位でそのままゴール。2位にはノートラブルで完走した61号車Team SDA Engineering(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史)が、3位には271号車が入った。
第5戦は鈴鹿サーキットに舞台を移し、9月28、29日に「SUZUKA S耐」が行われる
Text: Yoshinori OHNISHIPhoto: Kazuhiro NOINE