筑波・富士S-FJ選手権

第8戦筑波決勝 ダンシング・イン・ザ・レイン 赤旗再スタートに助けられた角間光起がポール・ツー・ウイン

優勝は角間光起(ELEVレーシング10V ED)

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第8戦決勝が10月29日(日)に筑波サーキット18周で開催され、赤旗で再スタートとなったレースで角間光起(ELEVレーシング10VED)がポールポジションからSCランのリスタートを決めるとトップを守り切って優勝。9月の筑波戦での初優勝から連勝となった。

 朝の予選から雨模様の筑波サーキット、予報では11時過ぎの決勝の前には雨が止むと言われていたが雨雲は上空に居座りコースを濡らし続けている。気温は予選時とほぼ同じ13.2度、路面温度は僅かに上がったものの17.7度。レインタイヤとはいえ発動には時間が必要そうなコンディションだ。既にシリーズチャンピオンは小村明生に決定、ランキング2位の武者利仁と揃って最終戦をスキップしたが、ランキング3位以下はまだ混戦だ。

決勝のスタートシーン

 11時23分にフォーメーションラップ開始、ポールポジションの角間を先頭に13台が少しでもタイヤを暖めるため左右にクルマを振ってグリッドに整列すると、レッドシグナルが消灯してレーススタート。

 ポールシッターの角間の蹴り出しがやや弱く、2番グリッドから発進の豊島里空斗(C.S.I.Racing ED)と3番手スタートの内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)が角間に並びかける。さらに予選で2番手タイムを出しながらペナルティで4番グリッドに降格していた村田将輝(湘工冷熱ZAPSPEED ED)の加速もよく、4ワイドに並んで第1コーナーへターンイン。抜け出しかけたのは内藤だが豊島と村田も譲らず第2コーナーへ並走。ここで最もイン側のラインを取っていた内藤が姿勢を乱してスピン。イン側に巻き込んでスポンジバリアにクラッシュしてしまう。豊島がトップを奪ってS字を通過、村田が続き角間は3番手にポジションダウンするが第1ヘアピンでアウトから村田を仕留めにかかる。村田はポジションを守って第1ヘアピンを通過するものの出口でアウトにはらみグリーンに半車身はみ出して失速して3位にダウン、角間2位へ。

 ここでセーフティカー(SC)の投入が宣言されて全コースイエローフラッグ。各車がスピードダウンする中バックストレートで第2のアクシデント、後方でマルチクラッシュが発生する。

 これに巻き込まれたのが後方スタートだった池田悠亮(ティーフラップウィンズ)、飯田有希(FER・D-BONDS)、紀平啓佑(ELEVレーシング制動屋S2)、さらに8番手スタートから出遅れた小田部憲幸(いえらいふ 設楽 ZAP ED)の4台。池田、飯田、紀平の3台はダメージが大きくその場でストップ、小田部はピットインする。この状況にただちに赤旗が提示されレースは中断。

 状況を整理するとSCラン掲示で全車がバックストレートで減速。前述の通り低い路面温度でタイヤが冷える事を嫌ってウエービングを始める中で減速が間に合わなかったのか、まず池田が紀平に追突。紀平が小田部のリヤに当り、池田の勢いは止まらず横向きにスライドしながら飯田のリヤに接触して飯田がコースアウトした。今回10年以上のブランクから復帰の池田と飯田、さらにレースデビューの紀平という3台が残念ながら戦列を去ることとなった。この3台のマシンの撤去を待って、レースはスタートからやり直しということになり、当初の予選グリッドから再開されることとなる。

 11時45分、SC先導でレース再開。クラッシュした内藤、池田、飯田、紀平の4台は出走できず8台がスタート時のグリッドにつく。クラッシュに巻き込まれて即座にピットインした小田部は赤旗前のSCランをこなしていないため周回遅れ扱いでピットスタートする。リヤウイングのステーにダメージがあるものの走行は可能。雨はかなり小降りになったが、コースは依然としてヘビーウエットの状態だ。

リスタートシーン

 SCランは3周行われ、通算5周目からレースが再開された。1回目のスタートを失敗した角間は再びポールポジションから出直し。ローリングスタートの恩恵があり今度はクリーンにスタート、後方では3番手スタートの村田が豊島の背後に迫るとプレッシャーをかけるが豊島は動ぜずポジションを守る。リスタートをうまく決めてポジションを上げたのが5番手スタートの中澤凌(ZAP FOCS 10VED)で、コントロールラインからの加速がよく前を行くチームメイトの黒川史哉(ZAP SPEED 黒川)に対し右サイドから並びかけると前に出て第1コーナーに進入。経験の差を見せつけて4位に上がる。

 5周目を終えてトップ角間は2位豊島に0.599秒の差。3位村田は0.693秒差、中澤も0.464秒差とほぼ等間隔。黒川がそこからやや遅れて1.5秒以上離されている。

 角間はここからじわじわと豊島を引き離し、6周目0.839秒、8周目1.215秒とギャップを拡げて行く。豊島のペースが悪いわけではなく、3位村田との間合いも7周目0.957秒と僅かずつ広がっていく。4位以降も順位変動はなく、中澤~黒川~松原将也(ZAPアルミック10VED)とZAP SPEEDのえんじ色のマシンが続いているが、上位3台のペースにはついていけず、それぞれ前に対して2秒、2秒、4秒の差がついている。

 10周目、角間のペースは依然好調で豊島とのギャップを1.503秒まで拡大。レインコンディションの中でも初優勝を飾った前戦のようにトップに立ってからのペースの速さが際立っている。

 ところが11周目、角間は1分6秒549と前の周より1秒以上遅いタイムでコントロールラインを通過、豊島との差が一気に1.086秒に縮まる。後で角間に聞いたところ、雨量が減ってきて路面を選んでいてミスをしたようである。ただ豊島もミスがあったのかこの周1分6秒132で、5秒台の村田に0.457秒までギャップを詰められている。

 このミスで目が覚めたか角間は再びペースを上げ、12周目には1分5秒322とこのレースのファステストラップを叩き出し、豊島との差を1.520秒に戻す。角間を追いたい豊島だが背後に村田が0.49秒差でつけ、隙あらばオーバーテイクを仕掛けるそぶりを見せていて、ディフェンシブにならざるを得ない。

 角間はその後も豊島との差を14周目1.915秒、15周目2.566秒、16周目3.182秒とコンマ5秒ずつ突き放し独走状態に。一方豊島と村田の間合いは0.5秒前後で張りつめた2位争いが展開。16周目には0.286秒差とテール・ツー・ノーズ状態でコントロールラインを通過。村田はノーズを差し込むチャンスを窺うが、豊島もしっかりブロックしている。

 ファイナルラップ。村田は勝負を仕掛けてメインストレートで豊島に並びかけると第1コーナー勝負を挑むが、ここも豊島がポジションを守る。その後も村田はゆさぶりをかけ続けたが豊島動ぜず後半セクションへ。

 トップ角間は安定したペースで2位に4.264秒の大差をつけてフィニッシュ。連勝の意味か2本指を高々と掲げてチェッカードフラッグの下を通過した。豊島対村田のバトルは最終コーナーまで続いたが豊島が2位を守り切ってフィニッシュ。村田は最終コーナーで勝負に出たがアウト側の縁石で姿勢を乱してスピン、そのままの状態でフィニッシュラインを通過した直後にピット側のコンクリートウォールにサイドからクラッシュ。それでも0.428秒差の3位でフィニッシュした。以下4位中澤、5位黒川、6位松原の順でフィニッシュした。

 表彰台の前にマシンを止めた角間は初優勝の前回と違って落ちついた態度で優勝カップを受け取り、目の前でカメラを構える前田代表に掲げて見せ、暫定表彰式後はシャンパンを前田代表の頭に振りかけるはしゃぎぶりだった。

決勝2位は豊島里空斗(C.S.I Racing ED)

決勝3位は村田将輝(湘工冷熱ZAP SPEED ED)

決勝4位は中澤凌(ZAP FOCS 10V ED)

決勝5位は黒川史哉(ZAP SPEED黒川)

決勝6位は松原将也(ZAPアルミック10V ED)

マスタークラス優勝は秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)

表彰式

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権はこれで終了。小村、武者に続くランキング3位は中澤、筑波で連勝の角間が4位に上がり5位に小田部、6位村田という結果に終わった。

 しかしまだS-FJのシーズンは終わらない。12月9-10日にモビリティリゾートもてぎで開催される日本一決定戦に参戦する選手はこれから大一番に向けた準備を始める。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA


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