SUPER GT

第8戦もてぎ アルナージュレーシング、完走ポイント3を獲得(Arnage)

 SUPER GT Rd.8は、11月5日〜6日にツインリンクもてぎで開催された「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」。

 前戦オートポリスからは一ヶ月以上のインターバルとなる最終戦に向けて、ガレージでは、入念なメンテナンスが行われた。ドライブシャフトのO/Hはもちろん、もてぎ用にギアレシオを交換。更に、給油口を元の位置に戻す作業も行われた。

 また、オートポリスで、パワーステアリングシステムに熱によるアラームが点灯したため、パワステポンプを冷却するためのダクトを更に追加する改造も行われた。

 週間天気は晴天が続き、朝夕の冷え込みは厳しいものの、日中20度前後の過ごしやすい気候が予想されていた。

 Arnage Racingは、2年ぶりとなるもてぎ開催の最終戦で、完走ポイント3を獲得して有終の美を飾りたいところである。

<11/5 公式練習〜予選>

 公式練習、公式予選の行われる土曜日は、早朝より真っ青に晴れ渡った空に太陽が眩しい、気持ちの良いドライコンディション。

 9時35分からの公式練習では、タイヤテストに重点を置いて走行が行われた。Arnage Racingは、もてぎラウンドのためにソフト目とハード目のタイヤを持ち込んでいた。まず阪口選手がハード目のタイヤを装着してコースインし、フィーリングを確かめたが、大きな問題はなく、バランスも良かった。しかし、ブレーキング時フロントのダイブが大きく、ターンインの姿勢が良くないとのマイナス評価もあったため、チームは続いてソフト目のタイヤテストに移った。それと同時に、ターンインの姿勢を改善すべくダンパーのセット変更も行なって、阪口選手にフィーリングを確認させた。ソフト目タイヤはグリップ感には優っていたが、セット変更のせいか、今度はアンダーオーバーの症状が出てリアが不安定になり、コーナーでのバランスが崩れるようになってしまった。

 この変調の原因をタイヤによるものか、セット変更によるものなのか特定するため、チームはマシンを何度かピットインさせて調整を試みた。その結果、現状セットにおいてはハード目タイヤを選択する方がベターのようにも思われた。

 しかし、ハード目のタイヤは、非常に温まりが悪く、タイヤ攻撃性の低いMC86には温めきれないことが懸念され、また、四輪タイヤ交換が義務となっている最終戦の決勝を戦うには、少しでもグリップの高いソフト目のタイヤをチョイスした方が得策なのではないかと考えたチームは、ドライバーも含めた全体で協議、決勝用のタイヤをソフト目タイヤと定めセットを煮詰めて行く方向性を取ることにした。

 そこでチームは、FCY訓練の時間になる前に、もう少しフロントが入るように車高とダンパーにセット変更を投入した。初期の入りは改善されたものの中間で再びアンダー傾向が出ることがわかったが、セットを決め切る前にタイムリミットとなってしまい、セットの完成は予選後までお預けとなってしまった。

 一方、チームは第3戦鈴鹿大会以来のレースとなる山下選手の慣熟走行にも力を入れた。初めはペースを掴むのに苦心していた山下選手だったが、ラップを重ねるうち、フィーリングを取り戻し、セット変更によるマシンの変化にも順応して、タイムを上げていった。

 14時20分、ドライコンディションが続く中、予選が行われた。Arnage Racingは、Rd.8もてぎのQ1をB組から出走することになっており、今大会も、阪口選手がQ2進出を賭けてコースイン。気温17度、路面温度27度と、午前中の公式練習時に比べると少しコンディションは良くなっている。阪口選手は根気よくタイヤに熱を入れ、タイミングを計っていたが、なかなかタイヤを温め切ることができない。5Lap目に1'47.246をマークしたものの、時間いっぱいとなってしまい、惜しくも山下選手にQ2へのバトンを繋ぐことはできなかった。

 Arnage Racingは、翌日の決勝を23番手から追い上げることとなった。

 予選後のメンテナンスの時間、チームはQ1前に完成させられなかった追加のセット変更をおこなった。更にフロントが入るように、車高とパッカーの調整を行った。そして、最終戦に有終の美を飾れるよう、メンテナンスに勤しんだ。

<11/6 決勝>

 翌日曜日も、雲ひとつない快晴に恵まれ、絶好のレース観戦日和となった。決勝前の20分間のウォームアップ走行で、阪口選手が5Lap、山下選手が4Lap、それぞれ走行し、セット変更後のフィーリングを確認した。しかし、まだフロントの入りが足りないことがわかったため、チームは決勝までのわずかな時間にウイングの調整を行い、更に車高も調整して、決勝に備えた。

 定刻13時、2周のフォーメーションラップの後、いよいよ最終戦もてぎラウンドの火蓋が切って落とされた。

 スタートドライバーを任された山下選手が、23番手から追い上げを開始。気温18度、路面温度31度と、コンディションは良好で、山下選手は少しポジションを落としながらも、慎重にラップを刻んでいた。

 ところが8Lap目に起こった多重クラッシュのために、FCYからセーフティーカーが導入された。そして並び替えをして走行しているうち、更にメインストレートで300クラスのライバルマシン同士が激しく接触する大きなアクシデントが発生。すぐ後ろを走行していた山下選手も、危うく巻き添えになるところだったが、辛くも潜り抜けることができた。しかし、レースはセフティカーに先導され、更に6周にわたって走行する事態となった。

 チームは山下選手のスティントをミニマムの18周に想定していたため、セーフティカー後、即座にピットインできるようメカニックが準備を進めていた。そして、21Lap目、レース再開、ピットレーンOPENと同時に、チームは15番手を走行していた山下選手をピットに呼び戻した。

 最終戦茂木ではドライバー交替時にタイヤ4輪交換が義務とされている。山下選手から阪口選手にドライバー交替を済ませた後、チームは正確な作業でタイヤを全輪交換し、23番手で阪口選手をコースに送り出した。

 阪口選手は26Lap目に決勝ベストとなる1'48.912をマークするなど、快調な走りを見せる。早々のピットインが功を奏し、全車がピット作業を終了した時点で17番手にまで浮上、その後も阪口選手は、着実にレースペースを築いていく。決勝前に投入したセットアップは効果を発揮し、阪口選手は1分50秒から51秒台前半の粒の揃ったタイムで、淡々とレースを続けた。レースの終盤になって、タイヤの熱ダレでペースを落とすライバルマシンを尻目に、阪口選手は冷静な走行でポジションをキープし続け、16番手でチェッカーを受けた。

 Arnage Racingは、最終戦にしてようやく目標としていた完走ポイント3を獲得することができ、2022のシリーズを終えることができた。

<一年を振り返って>

 コロナ禍となって3シーズン目となる2022年のシーズンは、感染拡大の中でも予定通りスケジュールをこなすことができ、制限がありつつもピットにお客様をお迎えして、少しずつ平常開催に近づいていく兆しを感じることのできるシーズンでもありました。そんな中で、いつも温かくチームを見守り応援してくださるスポンサーの皆さま、ファンの皆様のエールを常に背中に感じながら、Arnage Racingは今年もシーズンを戦い抜くことができました。チーム一同心より感謝致します。

 チーム結成から10年目、2022年のArnage Racingは、Mercedes AMG GT3からMC86にマシンをスイッチ。また、アネスト岩田様というチーム史上最強のスポンサー様の後ろ盾を得て、シーズンを戦うことができました。これまで以上にハイレベルな戦いが繰り広げられるSUPER GTにあって、Arnage Racingは、初めて取り組むマザーシャシーのMC86の特性を捉えることが難しく、シーズン前半はセットアップに苦心するレースが続きました。しかし、後半戦になり、ようやくセットアップの方向性が見えて、Rd.4富士では7位入賞と、願ってもない好成績を残すことができました。浮き沈みの激しいシーズンではありましたが、無事にシーズンを終えることができたのは、スポンサー様、MC86に関わってくださる多くのメーカー様、そして今シーズン共に戦ってくれた4人のドライバーの頑張りの賜物です。

☆Arnage Racing SUPER GT2022年シリーズの戦績

Round 14/16~4/17岡山国際サーキット16位完走
Round 25/3~5/4富士スピードウェイ25位完走
Round 35/28~5/29鈴鹿サーキット20位完走
Round 48/6~8/7富士スピードウェイ7位入賞
Round 58/27~8/28鈴鹿サーキット23位完走
Round 6 9/17~9/18スポーツランド菅生22位完走
Round 710/1〜10/2オートポリス21位完走
Round 811/5〜11/6ツインリンクもてぎ16位完走
Arnage Racing


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