2022年スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ第3戦決勝はスポーツランドSUGOで4月17日(日)に開催され、鈴鹿から遠征の岡本大地(FTK レヴレーシングガレージ)が前日の第2戦に続いてスタートでトップを奪うとそのまま独走、危なげない勝利を飾った。
朝の予選に続いて快晴となったスポーツランドSUGO。コースの周囲では桜が見ごろでメインストレートからは遠く蔵王の方向に雪の山頂が見渡せる。
予選ではコースレコードが更新され、引き続き絶好のレースコンデションで、各ドライバーの表情も明るい。
12周で行われる決勝は12時59分フォーメーション開始。予選の時点と比べてやや風が強くストレートでは右サイドからの横風。13台全車がグリッドに並び決勝がスタート。
第2戦のリプレイを見るかのようにポールシッターの渡会太一(SIGMA FTK レヴRG)はまたしても失速、2番グリッドから岡本が好スタートを決めて第1コーナーにはトップで進入する。渡会は2位へドロップ。その後方では3番手スタートの田上蒼竜(ZAPSPEED 10VED)の加速がにぶく、セカンドロウに並んでいた内田涼風(群馬トヨペット Team RiNoA ED)がこれを仕留める。しかし田上は内田のテールに食らいつくとトップスピードの速さを活かしてバックストレートで3位のポジションを奪い返す。
1周目を終えて岡本は渡会に0.854秒の差をつけてコントロールラインを通過。3位を取り戻した田上だが内田とのバトルの間に上位からは離されギャップは1.859秒、その背後の内田~池内比悠(アルビLINKLINEGIAE)~村田悠磨(ZAPSPEED 10VED)までの4台がほぼ等間隔で1.333秒差の中に連なって走る。
2位渡会は2周目に岡本とのギャップを削り0.615秒とするが、すかさず岡本が3周目の第1セクターでベストタイムを出して突き放す。これに焦ったか渡会は第2セクターでシフトミスを犯して大きく失速、田上に2位を奪われてしまう。
4周目、岡本は2位田上選手とのギャップをさらに広げて5.184秒差と独走状態。田上~渡会~内田はそれぞれ0.6秒程度で続き、その後方では一度は池内に5位を奪われた村田が順位を取り戻す。
5周目、メインストレートで田上に警告を示す黒白旗が掲示される。走路外走行が2度あったという判定によるもの。その田上の背後につけた渡会はスリップストリームを効かせて間合いを詰め、メインストレートでは左サイドから並びかける。そのまま2台は1コーナー~2コーナーとサイド・バイ・サイドで並走、3コーナーでイン側となった渡会がついに田上から2位のポジションを奪い返す。
ここから渡会は岡本を追い上げに入りたいところだが、その差は6周目終了時点で6.996秒まで拡大。3位に落ちた田上は勢いを失い渡会から1.729秒の差をつけられる。
単独走行となった4位内田の後方では池内と村田の5位争いがヒートアップ、4周目に一度は村田が池内の前に出るが、5周目に池内が再逆転。そこから池内は村田を振り払おうとプッシュすが村田も追撃、9周目に入るとテール・ツー・ノーズ状態になる。村田は各所で池内のミラーに姿を映してプレッシャーをかけるが池内はミスをせずつけ入る隙を与えない。
10周目、3位を走行する田上にフィニッシュタイムに10秒加算のペナルティが宣告される。黒白旗での警告の後にも走路外走行があったと判定されたものだ。これで内田が実質的に3位。
渡会はその後も懸命の追走を見せ、8周目に1分28秒621、9周目1分28秒618、11周目に1分28秒575と立て続けにファステストラップを更新するが、岡本もほぼ同じペースで走っており、そのギャップは6.587秒→6.336秒→6.484秒と縮まらない。ファイナルラップも岡本が渡会を寄せ付けず6.730秒差でレースはフィニッシュ。第2戦に続いて岡本が2番グリッドからスタートで渡会をかわしての独走優勝という結果になった。
3番手でチェッカードフラッグを受けた田上は前述の通り10秒加算で4位に降格。代わって内田が連続の表彰台をゲット。池内対村田の5位争いは最後まで続き、0.086秒差でファイナルラップに突入すると1コーナーで村田がインを突くが池内がこれをしのぎ切って勝負がつき、そのままの順位でゴールラインを通過、池内5位、村田6位という結果になった。
2台が出走のジェントルマンクラスは第2戦無念のリタイヤだった夕田大助選手(LAPS・レヴレーシング)がチームメイトの上吹越哲也選手(FTK・レヴレーシングガレージ)との闘いを制してそれぞれ全体10位、11位でフィニッシュした。
■決勝後のコメント
- 優勝:8号車・岡本大地(FTK レヴレーシングガレージ)
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「結果的にはスタートで(前に)行けて、そのまま逃げ切ったというレースだった。ただクルマの感触としてはなんかイケてなくて、ペースは高かったけど、あまり良くなかった。原因がよく分からなくて、タイヤの使い方だろうとは思うのだが、セッティングが7号車と8号車で違うので、そこから何か参考になることがあるかもしれない」
- 2位:7号車・渡会太一(SIGMA FTK レヴRG)
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「スタートは自分のミスで抜かれてしまって、それさえ無ければ岡本選手と同じくらいのペースで走れていたので、もったいなかった。(ここでチームメンバーから「今日からこいつの名前は「一発屋」にしますのでよろしく」との声がかかり苦笑しながら)一発屋なんだそうです、それで終わらないようにしないと。速さはあるのは分かったので、後はミスとか無くしていって、これからのレースできたらと思う。タイヤは最終ラップになって急に(グリップが)落ちて来た感じだが、それまでは安定して走れていた。あれ以上周回していたらもっと落ちていったと思う」
- 3位:81号車・内田涼風(群馬トヨペット Team RiNoA ED)
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「後半になって田上選手に追いつきだしたのだが、やはりドライでの走らせ方を工夫しないと、という感じあ。バトルとかスタートはかなり決まって、そこは自信持ってよい所かな、と思う。一瞬田上選手の前に出たのだが、そこからの読みがちょっと外れて抜き返されてしまった。そういうところが反省点として、次戦もてぎで頑張りたい」
- 4位:13号車・田上蒼竜(ZAPSPEED 10VED)
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「反省材料がいろいろあり過ぎて……。走路外走行はアウトだったのは3つぐらい。結構ぎりぎりを攻めていて、たまに行き過ぎてしまったことがあった。渡会選手に抜かれてから、追いかけたくて気持ちが先走ってしまった。2回は自覚していたので、それ以上やらないように気を付けていたのだが、3回目は自覚してなくてぎりぎりだと思っていたのだが、ただどちらにしても、レースも完敗しているので・・。木曜金曜とドライで走れていないのが痛かったが、この経験を生かして次につなげたいと思う」
- 5位:36号車・池内比悠(アルビLINKLINEGIAED)
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「終盤の村田選手との争いは苦しかった。タイヤ的にもセッティング的にも逆の方へ向いてしまったと思っていて、そこは今後見直して次頑張りたい。タイヤは前半のバトルしている時、3周目くらいからもうグリップが落ちてきてしまって、そこが一番悔しかった。それで防戦一方になってしまった」
- 6位:26号車・村田悠磨(ZAP SPEED 10VED)
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「池内選手とはちょっとバトり過ぎたかな、という感じ。自分があまりペースよくなかったので抜いても抜き返されてしまって、ストレートでもスリップつかれたらすぐに抜かれてしまった。内田選手を追いかけたかったのだが、もうちょっとうまくレース展開を作れるようになって、次回はそうできる(前を追いかける)ようにしたいと思う」
2022年スーパーFJもてぎ・菅生シリーズの次戦第4戦はややインターバルが開いて7月3日に開催。開幕3戦を全て鈴鹿からの遠征組に取られてしまったレギュラー陣としては、この期間を利用してどう巻き返しを図るか、モビリティリゾートもてぎにその答えを持ち寄らなければならない。
Text: Junichi SEKINE Photo: Kazuhiro NOINE