SUPER GT

「10年後も音の出るレースができるために」 SDGs達成に取り組む内外のレース界

 スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)は9月18日にスポーツランドSUGOで行われた定例会見の中で、SDGsに対する今後のロードマップを最終戦もてぎで発表することを坂東正明代表が明らかにした。

 今季は8戦中3戦を450kmレースとして戦ってきたスーパーGTだが、これは戦略の幅を広げるという興行的な側面もさることながら、エンジンの燃費向上やタイヤのロングライフ化を今後推進していくためのテストとしての役割の方が大きかったという。

 今後はさらに戦略の幅が広がるように450kmプラスアルファのレース距離を導入していきたいとのことだが、同様に力を入れているのが、この3戦のデータを踏まえ、2023年以降のSDGsに対する取り組みをまとめたロードマップの策定だ。

 このロードマップは、すでに来季からの導入を決定しているカーボンニュートラル燃料の導入や、タイヤのロングライフ化、エンジンの低燃費化など、燃料メーカー、タイヤメーカー、そして自動車メーカーとGTAが一体となって環境対策に取り組んでいくことを目的に作成するものであり、それによって「10年後も音の出るレースができる体制」を作り上げていこうという試みで、国内外を見渡しても前例のないものだ。

 GTAはこのロードマップの発表を最終戦もてぎにおいて、各タイヤメーカーや自動車メーカー出席のもとで行うとしている。

 またこうしたSDGsへの取り組みはモータースポーツが今後も存続していくために避けては通れないものになっており、各カテゴリーでもそれぞれのやり方で取り組んでいる。

 F1では100%持続可能な合成燃料を採用することや、ハイブリッドシステムにおける電気モーターの出力を引き上げることで燃料消費量の削減を図ることを8月に発表しており、これらはいずれも2026年以降に実施される。

 WRCではハイブリッドシステムの採用や100%持続可能な非化石燃料の使用を定めたラリー1規定を今シーズンから導入した。

 国内ではスーパーフォーミュラがカーボンニュートラル燃料の導入に向け、比較テストを継続して行っており、タイヤや車体に天然由来の素材やリサイクル素材を使用していくことも今年3月に鈴鹿サーキットで行われたファン感謝デーの中で発表している。

 スーパー耐久では昨年から水素エンジンを搭載したORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptが参戦しているほか、今年はカーボンニュートラル燃料を使用するORC ROOKIE GR86 CNF ConceptやTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept、バイオディーゼル燃料を使用するMAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptなどがST-Qクラスで参戦している。

 今後もこうした取り組みは他のカテゴリーにも広がっていくのだろう。音の出るレースがこれからも続いていくために。

Text:Kazuhisa SUEHIRO


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