SUPER GT

第6戦SUGO決勝 天候の変化を味方につけ、CRAFTSPORTS MOTUL Zが今季2勝目を挙げてポイントリーダーに

GT500クラス優勝はCRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)

GT300クラス優勝はmuta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威)

 オートバックス スーパーGT第6戦「SUGO GT300kmレース」の決勝が9月18日、宮城県村田町のスポーツランドSUGOで行われ、予選11番手からスタートしたNo. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が第3戦鈴鹿以来の今季2勝目をものにした。GT300クラスはNo. 2 muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威)が今季初優勝を達成した。

 第6戦決勝は午後2時より宮城県警の白バイ3台、パトカー1台、覆面パトカー1台に先導されてパレードランを開始、84周の戦いが始まった。スタート時の天候は曇り。ウォームアップ終了時点の気温は28℃、路面温度は35℃だ。グリッド整列が始まるや否や、霧雨が降り始めたが、スタート進行が進められている間に雨は止み、路面はドライのまま。全車スリックタイヤでスタートすることになった。

GT500クラスのスタートシーン

 スタートでトップに立ったのはポールポジションからスタートした国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)。しかし4コーナーでは早くも立川祐路(ZENT CERUMO GR Supra)が国本を捉えてトップに浮上する。続いて牧野任祐(STANLEY NSX-GT)もレインボーコーナーで国本を抜いて2位に浮上、国本は3位でコントロールラインに戻ってきた。

 その直後、4コーナーでGT300車両がクラッシュしたことにより、早くも2周目からセーフティーカーが導入された。

 SCは3周目にピットイン。レースは4周目から再開となる。ポジションキープでバックストレートに向かうトップ3。その後方ではロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH Z)と大津弘樹(Modulo NSX-GT)が激しい7位争いを展開するが、クインタレッリは大津の先行を許さず、6位の大湯都史樹(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)を追い上げていく。

 そしてトップの38号車が13周目に入った辺りから雨が降り始め、次第に勢いを増していく。

 これに対して最初に動いたのは関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)だった。関口は14周目にピットに飛び込み、いち早くウェットタイヤに履き替えてコースに復帰する。

 他のチームも15周目には相次いでタイヤ交換に踏み切るが、4位を走行していた松下信治(Astemo NSX-GT)と6位の大湯そして7位のクインタレッリはコースに踏みとどまろうと目論み、それぞれ1位、2位、3位に浮上する。予選でトラブルに見舞われて最後尾スタートとなった坪井翔(au TOM'S GR Supra)もステイアウトを選択した。

 こうしたコンディションを得意とする大湯はすぐさま16周目の馬の背で松下を捉えてトップに立つ。松下はたまらず17周目にピットに向かった。

 大湯とクインタレッリは19周目にようやくピットへ。するとその直後にフルコースイエローが宣言された。これにより再び立川がトップに。関口が2位につけ、ステイアウトの坪井が3位にジャンプアップした。4位は牧野、5位がクインタレッリ、大湯は5位となった。

 坪井は22周目にピットイン。この周で牧野を捉えたクインタレッリが3位に浮上した。その後もペースの上がらない牧野は大湯にも抜かれて5位に。25周目には7位まで後退してしまう。

 クインタレッリは26周目に関口を捉えると、27周目の1コーナーでアウトから立川を抜き去り、ついにトップに浮上した。同じミシュランタイヤを履く千代勝正(CRAFTSPORTS MOTUL Z)も3位まで上がってきた。千代は28周目の4コーナーで立川をパス。ミシュラン勢が1-2を形成する。

 この辺りからドライバー交代を行うチームが出始める。No. 12 カルソニックIMPUL Zは27周目に平峰一貴からベルトラン・バゲットに交代。No. 100 STANLEY NSX-GTも29周目に牧野任祐から山本尚貴に交代した。32周目にはNo. 38 ZENT CERUMO GR Supraが立川祐路から石浦宏明に交代、35周目にNo. 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが関口雄飛から中山雄一に。No. 16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX GTは36周目に大湯都史樹から笹原右京に交代した。

 これでこの間にクインタレッリは着実にリードを広げ、35周目で4秒763、36周目に5秒688、37周目には9秒350の差を2位の千代に対してつけていく。

 そして44周目、ついにNo. 23 MOTUL AUTECH Zがピットイン。クインタレッリは松田次生に交代し、石浦の前でコースに復帰した。これにより千代がトップに浮上した。

 するとこの辺りから雨が止み、路面は次第に乾き始めていく。

 ここでいち早く動いたのが山本だ。48周目にピットに飛び込み、スリックタイヤに履き替えてコースに戻っていく。石浦は51周目、中山は52周目、松田は54周目にタイヤ交換を行った。

 そしてこの時点でまだドライバー交代を行わずにトップを走行していたNo. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Zが55周目にスリックタイヤへの交換とドライバー交代を同時に行った。これにより3号車はピットストップ回数を一つ減らすことに成功、後続に大差をつけてトップのままコースに復帰した。2位は松田。笹原が3位だ。

 高星明誠(CRAFTSPORTS MOTUL Z)は56周を終えた時点で2位の松田に対して28秒700のリード。ここから松田が追い上げにかかり、徐々にその差は縮まっていくが、それでも75周目で25秒752とトップを捉えることはほぼ絶望的な状況だ。

 結局高星はそのままトップで84周を走り切り、No. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)第3戦鈴鹿以来の今季2勝目をものにした。

GT500クラス決勝2位はMOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

GT500クラス決勝3位はRed Bull MOTUL MUGEN NSX GT(笹原右京/大湯都史樹)

 2位はNo. 23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、No. 16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT(笹原右京/大湯都史樹)が3位だ。

 そしてここまでポイントリーダーだったNo. 12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)が1周遅れの5位でレースを終えたことで、ドライバーズランキングは千代と高星が54ポイントでトップに。平峰とバゲットは50.5ポイントで2位となった。

 GT300クラスもまたピット戦略が勝敗を左右する展開となった。

 まず昨日の予選でタイム抹消となったNo. 96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)がピットスタートを選択。No. 6 Team LeMans Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メルヒ・ムンタン)も国歌演奏の最中にガレージに押し戻されてピットスタートに。さらに谷口信輝の急病で片岡龍也が一人で走ることになったNo. 4 グッドスマイル初音ミクAMGはパレードラップに続いてピットイン。そのままピットスタートを選択した。

GT300クラスのスタートシーン

 スタートでトップに立ったのはポールの井口卓人(SUBARU BRZ R&D SPORT)。しかしその後方で木村武史(PACIFIC hololive NAC Ferrari)が3コーナーでコースオフ、後ろからバリアに激しく突っ込んでしまった。これにより直ちにFROが出動。2周目からセーフティーカーが導入される事態となった。

 1周を終えた時点の順位は井口、吉本大樹(Syntium LMcorsa GR Supra GT)、坂口夏月(Bamboo AirwaysランボルギーニGT3)そして元嶋佑弥(Weibo Primezランボルギーニ GT3)とここまではスターティンググリッドのまま。その後方では佐藤公哉(HACHI-ICHI GR Supra GT)が2周目にピットインして給油を行っていた。

 4周目からレースが再開されるとトップを快走する井口の後方で吉本と坂口が接近戦を展開し、坂口が6周目の4コーナーで2位に浮上した。さらに元嶋佑弥(Weibo Primezランボルギーニ GT3)もレインボーコーナーで吉本を捉えて3位に。

 10周目に入ると雨が降り始めたため、嵯峨宏紀(apr GR SPORT PRIUS GT)がこの周でウェットタイヤに履き替えたのを皮切りに、GT300クラスの各車も相次いでタイヤ交換を行った。

 井口、吉本、そして武藤英紀(ARTA NSX GT3)は14周目にタイヤ交換。ランボルギーニの2台はステイアウトで踏ん張っていたが、坂口が18周目の馬の背でコースオフしたため、フルコースイエローが宣言された。

 元嶋は26周目まで踏ん張ってピットイン。これでトップはスリックタイヤで走行を続けたアウグスト・ファルフス(Studie BMW M4)に。安田裕信(GAINER TANAX GT-R)が2位、大草りき(TANAX GAINER GT-R)が3位に続く。後方では武藤が井口を捉え、ウェットタイヤ組のトップに立った。

 7号車、11号車、10号車はドライバー交代が有効となる規定周回の3分の1を超えるまでスリックでコースに踏みとどまり、No. 7 Studie BMW M4とNo. 11 GAINER TANAX GT-Rは28周目、No. 10 TANAX GAINER GT-Rは29周目にピットインして、ドライバー交代とウェットタイヤへの交換を同時に行った。

 先にウェットタイヤを投入したチームが29周目から35周目にかけてドライバー交代を行ったことで、ピット作業で7号車に先んじてコースに復帰した11号車が実質トップに立ったかに思われた。

 ところがレース中盤に入ると路面が乾き始めたため、各チームとも再びスリックタイヤに交換する必要に迫られ、石川京侍(GAINER TANAX GT-R)も44周目に2度目のピット作業を行うことに。富田竜一郎(TANAX GAINER GT-R)は45周目、荒聖治(Studie BMW M4)も48周目にやむなくピットに向かうこととなった。

 これでトップに立ったのがNo. 2 muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威)だ。スタートを担当した加藤は14周目にウェットタイヤへの交換を行ったが、49周目までドライバー交代を引き伸ばす作戦に出てドライバー交代とスリックタイヤへの交換を同時に済ませることに成功、コース上でのペースを落とさずにピットイン回数を2回に止め、後半を担当した堤がトップでコースに復帰することに成功した。

 大量リードを得た堤は、それでもなお2位の石川を上回るペースで周回を重ね、最後は全車をラップダウンとする独走状態でチェッカーを受け、No. 2 muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威)が今季初優勝をものにした。muta Racing INGINGと加藤にとっては昨年の第4戦もてぎ以来、別のチームにいた堤にとっては昨年の第3戦鈴鹿以来の勝利だ。

GT300クラス決勝2位はGAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)

GT300クラス決勝3位はTANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)

 2位はNo. 11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)、3位にはNo. 10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)が入った。

 またポイントリーダーのNo. 56 リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は100kgのウェイトハンデと4グリッド降格のペナルティをものともせず、4位入賞を果たして以前ランキングトップにいるが、2位の富田/大草組との差は4ポイントに詰まった。

 次戦の舞台は九州のオートポリス。ここではサクセスウェイトが半分に減らされることになる。10月2日決勝だ。

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI


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