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ドライバーズファーストとカーボンニュートラルを目指して JRPが開発計画を発表

 全日本スーパーフォーミュラ選手権を開催するニホンレースプロモーション(JRP)は3月5日、三重県の鈴鹿サーキットにて会見を開き、2022年を通じたフォーミュラカーの開発計画と、そこで使用される2台のテストカーを発表した。

 今回の開発のポイントは①カーボンニュートラルの実現に向けた「素材」「タイヤ」「燃料」の実験、②ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクスの改善、③エンターテインメントの魅力向上につながる車両開発の三つをテーマとして掲げている。

 素材については、現在多くの部分で使用されている炭素繊維(カーボンファイバー)を、麻などの天然素材を活用したバイオコンポジット材に置き換えていく。会場には実際にバイオコンポジット材によって製造されたエンジンカバーが展示されていた。これらの使用により、同等の剛性と重量を確保しながらCO2を75%削減しうるという。今回素材開発を担当するBcomp社はスイスに拠点を置くベンチャー企業で、彼らの技術はマクラーレンF1チームのレーシングシートにも採用されている。スーパーフォーミュラでは今後段階的に使用範囲を拡大していく。

 2023年以降のレーシングタイヤについては、引き続き横浜ゴムとのパートナーシップを継続していくことを2月17日に発表済みだが、この分野においても籾殻やアブラヤシなどの天然由来の配合材やリサイクル素材、再生可能原料を活用したレーシングタイヤの開発を共に進めていく。

 また燃料はホンダ、トヨタの両自動車メーカーと綿密に連携し、「e-fuel」や「バイオfuel」といった複数のカーボンニュートラル燃料をテストし、今後の導入に向けて実験を重ねていく。同様にカーボンニュートラル燃料の導入に向けて準備を進めているGTアソシエイション(GTA)とも連絡を密に取り合っているという。

 こうした環境への取り組みと併せて、スーパーフォーミュラが世界最高峰のドライバーズレースであるために、ドライバーの魅力を最大限引き出せるクルマ作りを進めていく。具体的にはエアロダイナミクスを見直すことで前車からの影響をより少なくし、オーバーテイクの可能性を増やしていくことで、バトルのしやすいクルマ、ファンが応援したくなるクルマ作りを目指す。そのために、SF19を供給しているダラーラと連携して、ボディワークやアンダーパネルの形状に手を入れていくとのことだ。

 エンターテインメントの面では、1月31日に発表したデジタルプラットフォーム「SFgo」の導入に向け、車両側でも様々なテストを実施していく。「SFgo」はレースのオンボード映像や車両データ、無線音声などのあらゆる情報をオープンにし、ファンに新たな視聴環境を提供することを目指している。こうした情報を参戦する21台から収集し、すべてのサーキットで支障なくリアルタイム発信していくため、公募した300名の開発サポーターの声を反映しながら開発を進めていくという。

 こうした様々な項目の開発を、今回発表した2台のテストカーを用いて、年間7回のスーパーフォーミュラ各大会の前後で実施していく。このテストでは、石浦宏明と塚越広大の二人がテストドライバーとして年間を通じて参加していくことも明らかになった。

 第1回のテストは4月6-7日の両日、シリーズ第1-2戦が行われる富士スピードウェイで実施される。

Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum


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