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SGT:第7戦もてぎ シーズン終盤に向けての重要な戦いに完走ポイント3を獲得、C組脱出に望みをつなぐ(Aranage)

 前戦オートポリス大会から2週間、今シーズン2度目となるツインリンクもてぎでのRd.7もてぎ大会が行われた。

 ファクトリーでのメンテナンス期間は、正味1週間と慌ただしいスケジュールの中、前戦オートポリスの接触で損傷したフロントバンパーとディフューザーの修復が急ピッチで行われた。また、ストップアンドゴーが特徴のツインリンクもてぎではブレーキへの負担が懸念されるため、ファクトリーではブレーキ関係の整備を中心に入念なメンテナンスを施し、レースに備えていた。

11/6 予選日

 雲ひとつない秋晴れのツインリンクもてぎは、朝の冷え込みはあったものの、この時期としては気温が高め。ドライコンディションの中、9時25分から土曜日のスケジュールがスタートした。

 このもてぎラウンドに向けて、ヨコハマタイヤから準備されていたタイヤは、MH(ミディアムハード)タイヤとこれまで選択したことのなかったM(ミディアム)タイヤで、公式練習はそのタイヤのテストが中心となった。

 まずはUSEDのMHタイヤで加納、柳田選手がフィーリングをチェックした。加納選手は6Lapを走行して、問題がないことを確認できたが、柳田選手は、ピックアップのためか、「ハンドルが取られる感じ」を訴えた。そのためチームは柳田選手をピットに呼び戻し、Mタイヤを投入して様子を見ることにした。タイヤがNEWになったことで、ハンドルが取られる感じは改善し、予選を想定してのアタックでは、柳田選手が公式練習20Lap目に、ベストとなる1’47.857をマークするなど、順調なところを見せた。その後、交替した加納選手から、「リアが薄い」とのコメントがあったため、チームは再びマシンをピットに入れ、リアのスタビライザーやウイングの角度を調整するなど、グリップを上げる方向のセッティングを行い、柳田選手に確認させた。燃料が軽くなってバランスが良くなると、1分49秒台が出揃うようにはなったものの、リアの薄さは大きな改善に至らず、更なるセット変更の必要があった。

 オーバーステアの対策に捗々しい効果が見られず、アンダーオーバーの可能性を疑ったチームは、決勝に向けて、車高を調整し、フロントがもっと入るように対策を入れることにした。また、公式練習後のFCYテストの時に、タイムアップの可能性を模索していたチームは、再度MHタイヤを試した。しかし、グリップの弱さは否めず、結局チームは決勝のスタートタイヤをMタイヤに決め、予選はMタイヤでアタックすることとなった。

 14時30分から予選が行われ、柳田選手がQ1をA組から出走。柳田選手は慎重にタイヤに熱を入れながらタイミングを窺う。周囲のライバルマシンとの兼ね合いもあり、ようやく5Lap目に1’47.791をマークして12番手でQ1を終了、チームがターゲットとしていた1分47秒台前半には惜しくも届かなかった。そして、サクセスウエイトが半分になり、1分46秒台がひしめくGT300のライバル勢の中にあって、Q2進出も叶わなかった。

 更に残念なことに、予選終了後、「走路外走行」を咎められ、当該ラップであるベストラップタイムを削除されてグリッドを降格、26番グリッドから決勝を戦うことになった。

 予選終了後、翌日の追い上げを期すメカニックたちは、決勝でのピットワークを万全にすべく、予選後のピットでピットワークの練習を繰り返し、メンテナンスに勤しんだ。

11/7 決勝日

 この日のツインリンクもてぎも、好天に恵まれ、絶好のレース観戦日和となった。

 前日、度重なるセット変更を試みていたチームだったが、公式練習、FCY後のドライバーとのミーティングの中で、走行中に起きているのは、アンダーオーバーではなく、オーバーステアなのではないかという結論に達した。急遽、決勝までにセットを再変更する必要がある。

 Arnage Racingは、決勝でのタイヤの状況を見越して、フロントの車高とスタビライザーを調整し、ダンパーのセットもリファインして、ウォームアップ走行に臨んだ。USEDのタイヤでははっきりとした効果を確認することは難しかったが、決勝はフレッシュなタイヤからスタートすることを想定すると、セットアップの効果は必ず出るはず。チームは確信して、マシンをグリッドに送り出した。

 13時、観衆の見守る中、予定通りもてぎの300kmレースが始まる。

 昨日のグリッド降格で26番手スタートとなったArnage Racingのスタートドライバーは柳田選手。雨の心配は全くないドライコンディションで、日差しが感じられる中、路面温度は29度まで上がっている。レースは、途中300クラスのマシン同士のアクシデントなどもあり、8Lap目と14Lap目にFCYが2度導入されるなど、荒れた展開となった。

 第1スティントの柳田選手は、摩耗の気になるMタイヤをうまくマネジメントしながら走行。序盤は燃料が重く車両が振られてしまうことから、グリップがないと訴えながらも、1分51秒台をキープする好走を見せる。チームの見込みどおりセットアップは効を奏し、ライバルマシンのアクシデントに乗じながら、14Lap目には21番手にまで浮上した。レース中盤になると、ペースの遅いマシンが前方を塞いで団子状態になってしまい、柳田選手はペースを上げられずに苦しんでいたが、ルーティンピットのためにピットインするチームも出始めたこともあり、見かけ上の順位は上がっていった。20Lapを過ぎる頃から、燃料が軽くなったことでマシンのバランスが改善され、柳田選手は立て続けに1分50秒台をマーク。25Lap目にはベストとなる1’50.498を叩き出した。スティント終盤、ペースの遅いライバルマシンにプッシュを阻まれる柳田選手はピットインを切望したが、チームは、上位マシンに引けを取らないタイムの柳田選手をコースに留め、35Lap目、見かけ上3番手でようやくマシンをピットに呼び戻した。

 チームは当初から、加納選手のスティントは、フロントMタイヤに対して、リアに加納選手の扱いやすいMHタイヤを投入するコンビネーションで戦うことに決めていた。Arnage Racingは迅速なピットワークでドライバーチェンジと給油、タイヤ交換を行って、第2スティントの加納選手をコースに送り出した。

 20番手でコースに出た加納選手は激走を展開。40Lap目、1分50秒台をマークする。そして、一時は順位を落とすも、ライバルチームのタイヤが摩耗して脱落していくなかで好走を続けた。44Lap目に31号車をオーバーテイク、さらにプッシュを続けて、ファイナルラップ、レースタイムとしては自身のもてぎベストとなる1‘50.558をマークし、最後まで前方の6号車を猛追するファイトを見せた。しかし、あと一歩のところで及ばず、58Lap目21位でチェッカーを受けた。

 Arnage Racing は26番手からポジションアップして、目標にしている完走ポイント3点もゲット、最終戦を前に、今季の目標であるC組からの脱出にまだ可能性を残した。

Arnage Racing


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