もてぎ・菅生S-FJ選手権

S-FJ:第6戦SUGO公式予選 スポット参戦の岡本大地が他を圧倒するタイムでポールポジション

 2021年もてぎ・菅生スーパーFJ選手権シリーズ選手権最終第6戦の予選が10月10日(日)にスポーツランドSUGOで開催され、鈴鹿シリーズを制してスポット参戦してきた8号車・岡本大地(FTK・レブレーシングガレージ)が2位以下に0.8秒以上の大差をつけてポールポジションを獲得した。

 ツインリンクもてぎとスポーツランドSUGOを転戦して行われる同シリーズは今回の第6戦が最終戦。チャンピオンシップはすでに前戦もてぎで81号車・佐藤樹(群馬トヨペット リノア ED)の獲得が決まっており、その佐藤は今回欠場。しかしシリーズ2位の争いは継続中で、ここまで60ポイント獲得でランキング2位の33号車・伊藤慎之典(テイクファーストチャリ走10V)と同51ポントで3位の13号車・四倉悠聖(ZAP日本平中自動車10V ED)の2名がその座を争っており、佐藤不在の大会で共に優勝でランキング2位獲得を目指してもいる。

 しかしながらこの二人を悩ませる存在になるのが、今回スポット参戦の岡本。鈴鹿シリーズを2年連続で制して、次なるターゲット、全国各地のスーパーFJシリーズ戦の中で1イベントをピックアップ(岡山ともてぎは1イベント2レース)してポイントランキングを競う「スーパーFJジャパンチャレンジ」獲得に向けて同シリーズ対象となる本大会にエントリーしてきた。

 岡本は第2戦オートポリス、第3戦/第4戦岡山国際サーキットの3大会に出場し全て優勝して18ポイントと現在ランキング首位。2位のチームメイト、7号車・髙口大将(FTK・レヴレーシングガレージ)に6ポイントの差をつけており、こちらも2年連続チャンピオンに向けて地歩を固めつつある。

 前日までの練習走行ではその岡本がドライコンディションでは他の選手より1秒も速かったという情報もあり、各陣営は嫌でも岡本を意識せざるを得ない状況になっていた。

 エントリーは今シーズン最大の19台。シリーズ最終戦ということもあり、今シーズン初参戦の選手が数名おり、前述の高口は今シーズン途中から鈴鹿シリーズをメインに岡本と帯同して活動し、今回初めてSUGOでのレース。同じく鈴鹿シリーズに参戦している5号車・板倉慎哉(Fレーシング)も今年関東は初見参、また10号車・阿部光(ZAP SPEED 10V ED)は実に15年ぶりのスーパーFJレース参戦との事。そして、新潟にある「新潟国際自動車大学校」からエントリーの34号車・磐上隼斗(新潟国際自動車ワコーズED KKS)と38号車・小林雄太(新潟国際自動車ワコーズED KKS)の2名はドライバー、メカニック共に同校の生徒という構成で、モータースポーツ科2年生の後期授業の一環として、初のレース参戦である。

ポールポジションは岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)

予選2位は伊藤慎之典(テイクファーストチャリ走10V)

予選3位は髙口大将(FTK・レヴレーシングガレージ)

予選4位は渡会太一(オートバックス ドラゴコルセ)

マスタークラスポールポジションは夕田大助(LAPS)

 迎えた予選は午前10時35分開始で15分間、天候は曇りで時折薄日が差す程度。前日降った雨の名残でコース各所にウエットパッチが見られるが、レコードラインは乾いており、各車スリックタイヤでコースインした。

 数周のウオームアップでタイヤも暖まり、まずは残り11分の時点で岡本が1分32秒393でトップに立ち、高口、22号車・内藤大輝(RCIT RaiseUP MT)が続く。続いて四倉が1分32秒185をマークしトップに立つが、直後に32号車・渡会太一(オートバックス ドラゴコルセ)が1分31秒918で四倉を追い落とす。3位には36号車・長谷部一真(ALBIREX RD10V)が上がり岡本が4番手へドロップ。

 残り9分を切って、岡本が本格的にタイムアタックを開始。第1セクター、第2セクター、第3セクターと最速タイムで走り、1分29秒605と一気に29秒台に入れて来る。2番手には伊藤が1分31秒085で上がってくるが、岡本とは実に1.48秒の差がある。

 岡本は次の周回で1分29秒299とさらにタイムを縮め、2番手に伊藤、以下長谷部~四倉~渡会~高口~内藤と続き、8番手に91号車・前田大道(ELEVレーシングドリーム)が上がって来た。

 36才以上が対象のジェントルマンクラスは全体10番手に0号車・夕田大助(LAPS)がいてクラストップ、クラス2番手は90号車・上吹越哲也(FTK・レヴレーシングガレージ)が全体の15番手で続いている。

 残り5分で四倉が1分30秒882を出して2番手を取り返し、さらに高口が1分30秒089と自己ベストを更新し再び2番手へ。続いて渡会が1分30秒328で四倉を上回り3番手へ、四倉4番手、伊藤は5番手までドロップ。さらに長谷部が1分30秒702を出し四倉の上に出る。

 拮抗する2番手以下の争いをよそに岡本はトップタイムを刻み続け、残り4分で1分29秒164までタイムを削り、2番手高口に0.923の差をつけると、さらにアタックを続け、第1、第3セクターの最速を更新すると1分29秒を切って1分28秒982でコントロールラインを通過。圧倒的とも言える速さを見せつけた。

 2番手以下の争いは残り1分を切ったタイミングで伊藤が1分29秒826と29秒台に入れてフロントロウを確保する一方、同じく高口を上回りたい渡会だったが第1セクターでオーバーラン、チャンスを逸して明暗を分けた。

 ポールポジション岡本と2番手伊藤の差は0.844秒。高口、渡会と続き、終盤タイムが伸びなかった四倉は長谷部に続く6番手。内藤が7番手、最後まで4列めを争った前田と板倉は最後に板倉が0.453秒の差で8番手、前田9番手となった。

 ジェントルマンクラスは夕田が一時総合12番手まで落とした順位を再度10番手に戻してクラストップ、総合15番手でクラス2番手上吹越に0.758秒の差をつけた。

 今回初めてレース参戦の磐上と小林の新潟国際自動車コンビは、小林が1分33秒809で16番手、磐上が1分33秒817で17番手からスタートすることになった。

■予選後のコメント

ポールポジション 8号車・岡本大地(FTK・レブレーシングガレージ) 1分28秒982

ポールポジションの岡本大地(FTK・レヴレーシングガレージ)

 「(練習走行から好調と聞いているが?)今回は走行枠が少なくて、自分は金曜日から走ったが、赤旗も多くて満足に練習できなくてちょっと困った。ただ、みんなもマトモに走れていない中で、去年走った経験がある分が自分のアドバンテージになったかなと思うが、それだけ(しか差はない)、とも言える」

2位 33号車・伊藤慎之典(テイクファーストチャリ走10V) 1分29秒826 トップとの差0.844秒

予選2位の伊藤慎之典(テイクファーストチャリ走10V)

 「岡本君からは1秒近く離されてしまった。練習から彼は速かったので、コンマ5秒以内の差にとどめたかった。コンマ5秒以内の差でいられれば、決勝でもスタートで何とか前に出てうまく(勝負を)やれるかもしれない、と思っていたのだが。今の予選(マシンが)混んでいるところに居たもので、1周しかまともにタイムアタックできなかった。もう1周クリアラップを取ることができたら、タイムを上げられたと思う、コンマ5秒(の短縮の目は)は見えていたと思う。それが叶わなかったのは残念だ。決勝に向けてはクルマの調子はいいので、スタート頑張ります(笑)」

3位 7号車・髙口大将(FTK・レヴレーシングガレージ) 1分30秒045 トップとの差1.063秒

予選3位の髙口大将(FTK・レヴレーシングガレージ)

 「(チェッカーフラッグ後の最後の1周で好タイムが出たが?)本当は29秒台に入れたかった。序盤に自分の位置取りをしっかりやってから、早めにタイムを上げて、そこから少しずつ詰めていく予定だっったのだが、自分のミスで(マシンの調子に)合わせられないところがあって、最後の1周だけ(走りを)まとめることができた。もうちょっと(詰めて)行きたかった。トップとは離れてしまったが、2番手とはそう差がない(0.219秒)ので、落ち着いてレースして行けばチャンスはあると思うので、そこを逃さずにいきたい。チームメイト(岡本大地)が頭張っているところで同じくらいにバトルができるようでないとダメなので、そこは頑張らないと」

4位 32号車・渡会太一(オートバックス ドラゴコルセ) 1分30秒328 トップとの差1.346秒

予選4位の渡会太一(オートバックス ドラゴコルセ)

 「(トップとのタイム差について)めちゃくちゃ悔しい。自分のミスで1周(の走りを)まとめ切れることができなかった。そこが自分の課題でもある。(決勝に向けては?)1周通した走りをまとめることができれば、ラップタイム自体悪くはなさそうなので、とにかく焦らずに、ミスをせずにポジションを上げられたらな、と思う」

 予選後にヨコハマタイヤのエンジニアに聞いたところ、予選では第1コーナーへのブレーキングでフロントタイヤをロックさせるマシンが散見されたという。実際フラットスポットを作って帰って来たマシンもあった。

 これは前日まで気温が低かったのに対して、本日は気温が上昇しておりコンディションが変わってきている事に対処できてない場合が考えられるとの事。決勝は本日の最終レースで路面温度がさらに変化するのでその点考えてセットアップしないとタイヤが厳しくなるそうだ。

予選でタイヤに発生したフラットスポット

 決勝は本日の最終レースで15時35分スタート予定。岡本に挑める者が現れるか、はたまた昨年の遠征の時のように岡本がホーム勢をちぎるのか、注目だ。

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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