2021年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第2戦決勝は5月5日(水)に筑波サーキットで開催され、66号車・野島遼葵(Deep-R・10V ED)が初優勝を飾った。
朝の予選は曇天の下で行われたが、予報よりかなり早く午前11時頃から雨が降り始め、決勝が始まる午後1時までの間降ったり止んだりを繰り返す状態。パドックでは各車カバーがかけられ、ドライタイヤで行くかレインタイヤで行くか、チームは気象情報と雲行きを眺めつつの思案が続く。マシンの走行が続くコース上は湿っている程度で、結局全車がスリックタイヤでコースインを始める。
しかしながらこのタイミングで雨足が早くなり、コントロールタワーからは「ウエットレース」の宣言が出され、各チームはコースインしたマシンを追うようにレインタイヤを運んでグリッドへ向かう。
スタート進行の僅かな時間で各車慌ただしくレインタイヤへの交換作業を行うが、その中でフロントロウ2番グリッドの7号車・本田千啓(オートルック☆モダン☆10V)は運び込んだレインタイヤではなくスリックタイヤを選択。路面の濡れが少ない序盤でトップに立とうという勝負に出た。
各車1周のフォーメーションラップでグリッドに戻りレーススタート。スリックタイヤの本田はやはり蹴り出しが弱く1コーナーまでに後続車に吞み込まれて4位にドロップ、ポールスタートの52号車・安田航(Fガレージ&SウインズSII)の後ろには3番手スタートの野島、4番手スタートの3号車・秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)が続きトップグループを形成する。4位以下は本田がフタをする形で上位3台から大きく引き離されてオープニングラップを終える。
そんな中で順位を上げたのが予選7番手だった46号車・本間隆史(MATRacing10VED)と、予選9番手だったレース2戦目の91号車・澤井良太朗(ELEVレーシングドリームED)で、レインコンデションでのスタートラップで前車を抜き、5位、6位に進出する。
2周目、トップ安田と野島のギャップは0.389秒とテール・ツー・ノーズ状態でコントロールラインを通過。一方3位秋山はやや離され2.126秒差。本田はこの周も順位を落とし8位まで下がり、代わって本間、澤井が4位、5位。しかし秋山とはかなり差が開いている。
そして3周目に入り野島のプレッシャーに屈したか首位安田はダンロップブリッジ先の左80Rコーナーで姿勢を乱してコースアウトを喫し、野島を前に出してしまう。からくも2位を守った安田だが野島とは2.294秒の差がつき、後ろから0.255秒差で秋山に追い立てられる。
野島はここぞとばかりファステストラップを連発して安田を突き放しにかかり、安田は秋山の追撃は振り切ったが野島とは僅かずつギャップが拡がっていく。
後方では4位争いが激しくなり、6周目の終わりに0.281秒差で本間を追う澤井の後方に0.472秒差で今回3年ぶりに筑波シリーズ戦に参戦した11号車・Rocky(オートルック Rocky)が迫り三つ巴の様相に。7周目には澤井が本間の攻略に成功して4位に進出。前回デビュー戦ではスタート直後にS字でスピン~クラッシュして最下位完走と雨のレースの洗礼を受けた澤井だったが、今回は見違えるように安定した走りで大きく順位を上げてきた。
レースの中盤を迎えて野島は安田とのギャップを4.5秒前後で維持し、この2台が飛びぬけて速く3位秋山はスピンもあって13秒近く後方に離され、4位澤井とも10秒近い差で単独走行。その澤井の2.2秒後方では本間とRockyの5位争いが続く展開。
11周目には後方に沈んでいた39号車・金沢太景(スマイルマックス NRS sII)が、第2ヘアピンの進入でスピンしてイン側のグリーンに飛び込み、スポンジバリアを飛ばしながら今度はアウト側へ出てフロントからクラッシュ。脱出には成功したがフロントを大きく損傷してピットインした。
野島はトップに立ってからは終始安定したペースで安田との差をコントロールした状態で終盤を走り切り、トップでチェッカードフラッグを受けて筑波スーパーFJシリーズ戦初優勝を飾った。2位は安田、2戦連続ポールスタートから2位フィニッシュと悔しい結果になった。3位は秋山でマスターズクラスではぶっちぎのトップ。4位は今回大健闘の澤井となった。
5位争いは17周目に本間とRockyが第1ヘアピンで接触、その隙に15号車・竹上裕樹(餃座流星群 FER KKSII)が前に出て10年ぶりのスーパーFJでのレースで5位を獲得、Rockyが6位、今回デビューレースの5号車・松田大樹(K-TAC RaiseUp)が7位、71号車・林寛樹(真不同ゼンカイレーシングED)が松田と0.177秒差の8位に入り、マスターズクラスの2番手となった。
■決勝後のコメント
- 優勝 66号車・野島遼葵(Deep-R・10V・ED)
- 「雨には自信があったので、前に出たらこっちのものだと思っていたので会心のレースだった。優勝は初めてで、今までよくて3位止まりで終わっていたので嬉しい。今シーズンの残りも頑張る」
- 2位 52号車・安田航(Fガレージ&SウインズSII))
- 「(3周目のアクシデントは?)80Rでマシンを滑らせて、そのままバランスを崩してコースアウトした。バリア寸前まで行ってしまったが、そこから何とか戻って来られたが、自分のミスだった。追い上げようとしたが、そこから差が縮まらなかった」
- 3位 3号車・秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)マスターズクラス1位
- 「去年も上がってはいるが久しぶりの(総合の)表彰台だ。前の車(7号車)がスリックだったので、スタートで前に出ることができた。途中1回スピンしたが、レースペースは良かったのでそれがなければもう少し2位について行けたかなと思う」
- 4位 91号車・澤井良太朗(ELEVレーシングドリームED)
- 「前回のレースの悔しさが大きかったので、それを挽回したいという想いがあった。それでもレース中は謙虚に戦う事を忘れずにいたことで(混戦を)生き抜くことができ、しっかりオーバーテイクすることもできた。(雨に自信ついた?)自分でもちょっと(雨が)得意なのかな?と思ってしまいそうだが、これからもしっかり練習してもっと上手くなりたい」
2021年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第3戦は5月23日(日)に開催される。2戦連続ポールから2位フィニッシュの安田が3度目の正直で勝つか、それとも第3のウィナーが現れるか、注目だ。
Text: Junichi SELINEPhoto: Hirokazu NOINE