2025オートバックスSUPER GT第8戦「MOTEGI GT 300km RACE」の決勝が、11月2日、栃木県・モビリティリゾートもてぎで行われ、マッハ車検エアバスターMC86マッハ号(塩津佑介/木村偉織)が初優勝を飾った。
最終戦までもつれ込んだドライバーズタイトルは、6位でフィニッシュしたLEON PYRAMID AMGを駆る蒲生尚弥と菅波冬悟が獲得した。
秋のモビリティリゾートもてぎは、やや肌寒いものの、過ごしやすい天候となった。午後1時、チャンピオンの決まる最終戦のスタートが切れらた。
序盤は、予選から抜き出た速さを見せていた61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人)が逃げ、5号車マッハ車検 MC86(塩津)、52号車Green Brave GR Supra GT(野中誠太)、56号車リアライズGT-R(平手晃平)、4号車グッドスマイル初音ミクAMG(片岡龍也)、666号車seven×seven PORSCHE GT3R(藤波清斗)が追うという展開が続いた。
15周目、快調に飛ばす61号車SUBARU BRZが、2位の52号車に対し7秒という大量リードを築き、56号車、5号車、4号車が2〜3秒間隔で続いた。ここまでは完全にSUBARUがレースの主導権を握っていた。
この状況に変化が生じたのは、19周目から始まったピットイン。いの一番にピットに飛び込んだ5号車マッハ車検は、タイヤ無交換作戦を敢行。ステアリングは木村に託され、残る約40周を走り切る作戦だ。
これを皮切りに、20周目に11位を走行していたポイントリーダーの65号車LEON AMG(菅波→蒲生)、21周目に6位の666号車seven×sevenポルシェ(藤波→キング)、23周目に3位の56号車リアライズGT-R(平手→JPオリベイラ)と5位の4号車グッドスマイルAMG(片岡→谷口)、26周目にトップの61号車SUBARU(井口→山内)、27周目に2位の52号車Green Brave(野中→吉田)と、次々にピットイン。
レース後半にピットインをする作戦をとったチームもあったが、上位グループは前半でピットインを済ませた。
レース折り返しとなる30周目。ピットインしていない車両はあったものの、実質のトップは5号車マッハ車検(木村)、3秒遅れて61号車SUBARU(山内)、さらに3秒遅れて52号車Green Brave(吉田)という順となった。
ここから5号車の快走が始まる。マザーシャーシを使用する旧型とも言えるマシン、さらにタイヤ無交換という状況で、木村は、GT500にかわされながらも安定して1分50秒台のタイムを刻み、61号車SUBARU(山内)との差を、40周目4秒、45周目6秒、50周目には8秒と、確実に開いていった。
終盤には、61号車SUBARU(山内)に追いついた52号車Green Brave(吉田)、666号車seven×sevenポルシェ(キング)、56号車リアライズGT-R(JPオリベイラ)が、4台による2位争いを繰り広げ、これもトップの5号車マッハ車検(木村)にとっては有利に働いた。
最後までペースの落ちなかった5号車(木村)は、独走で59周を走りきって初優勝。チーム発足から22年、マザーシャーシを使い始めてから11年の悲願の勝利だった。
2位には61号車SUBARU、3位には、58周目に52号車を抜いた666号車seven×sevenポルシェが入った。
最後まで攻め続けたリアライズGT-R(JPオリベイラ)は、3位と0.3秒差の4位。もし、3位に入っていれば、チームメイトの平手晃平がドライバーズチャンピオンになる計算だったが、僅かに届かなかった。
今季チーム・マッハに加入した木村は、昨年末にスーパーフォーミュラのシートを失い、一時は、今シーズンのレース参戦が危ぶまれた。しかし、PCCJ(ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパン)でチャンピオンを獲得、スーパーGTでも優勝するなど、与えられたチャンスを確実にものにし、ドライバーとしてのポテンシャルを証明してみせた。
Text: Shigeru KITAMICHIPhoto: Motorsports Forum





