スーパー耐久

S耐:第1戦もてぎ 嵯峨宏紀が予選Aドライバーセッションでトップタイムをマーク、決勝レースはタイヤの異常磨耗に苦しみ、無念の5位に終わる (Le Beausset)

 今シーズンはFIA-F4、スーパーFJと併せて挑む、ル・ボーセモータースポーツにとって最高峰カテゴリーである、スーパー耐久シリーズの開幕戦が4月1日(土)、2日(日)にツインリンクもてぎ(栃木県)で開催された。

 使用するマシンは2シーズンにわたって開発、熟成が進められてきたLEXUS RC350で、「DENSO Le Beausset RC350」としてST-3クラスへのエントリーとなり、起用するドライバーは昨シーズンに続いて嵯峨宏紀、中山雄一、山下健太、そしてFIA-F4にも挑む平木湧也の4人である。

 ただし、今回は中山と山下が同じ週末に行われる、スーパーフォーミュラのテストに参加するため、平木をBドライバーとして登録。日曜日には中山が合流できることもあって、Cドライバーとして登録。早朝のフリー走行が設けられていないため、文字どおりぶっつけ本番となるが、ドライバー全員がこのオフにもてぎではテストを重ねていること、また中山の実力であれば十分対応可能との判断による。

 これまでは5時間レースとして、全クラス混走で争われてきた、もてぎのスーパー耐久だが、今シーズンから2グループに分かれての200分間レースに変更。ST-3クラスはST-XクラスとST-4クラスとともに、日曜日の決勝レースを戦うこととなった。

予選 4月1日(土) 天候/曇り コース状況/セミウエット

 今シーズンにおけるスーパー耐久の大きな変更点として、ワンメイク供給されるタイヤのスペック変更が挙げられる。ライフ重視を最大の狙いとし、コンパウンドや構造が改められた。オフに繰り返されたテストでは、低い温度域での走行ではあったが、特性や対処法の確認が入念に行われた。また、この開幕戦に向けてはドアをカーボン製の軽量タイプに交換、実に32kgもの軽量化に成功している。そういった新要素に対する最終チェックが金曜日の専有走行で行われ、午前中のセッション1では嵯峨が2分3秒581をマークしてトップ。午後のセッション2では、2番手につけてまずまずの立ち上がりとなった。

 しっかり準備を整えて臨んだ予選ながら、未明に降った雨の影響でAドライバーのセッションは、あいにくのウェットコンディションに。嵯峨はウェットタイヤでの走行になるも、周回を重ねるごと路面状態の向上とも合わせてタイムを縮め続け、最終ラップには2分15秒351を記録してトップに立つ。

 Bドライバーのセッションまでのインターバルで路面は急速に乾いて、一部にウェット部分を残すだけの状況に変化させる。そこで平木にはドライタイヤを走行開始と同時に履かせて、コースに送り出すことに。しっかりタイヤグリップのピーク時には全力アタックを行うこともでき、2分4秒638を記録して3番手につけることとなった。そして予選順位を決める合算タイムでは3番手となった。

決勝 4月2日(日) 天候/晴れ コース状況/ドライ

 日曜日は天気に恵まれ、土曜日には見られなかった青空が広がっていた。そのため、温度もこのレースウィークで一番となることは、容易に予想できた。そして、予定どおり中山は早朝にスタッフと顔を合わせ、互いの健闘を誓い合う。ピットウォークや決勝レース直前のグリッドウォークには多くの観客が詰め寄せ、それもまた3人のドライバーのボルテージを徐々に高めてもいた。

 スタートを担当したのは嵯峨。1周のフォーメイションラップの後、グリーンランプの点灯と同時にアクセルを全開に。しっかりキープしてまずは前を行く2台を追いかけていく。レクサス勢3台によるバトルが観客の視線を釘づけにし、同じRC350の2番手を有視界におさめた状態で周回を重ねていく。

 ST-3クラスの中では最もドライバー交代を遅らせたこともあり、36周目からはトップを走行。1時間23分経過した39周目にタイヤ無交換でコースに送り出された平木が、そのポジションをキープしてくれることが期待された。しかし、ライバルも1回目のピットストップでは同じくタイヤ無交換とあって、絶対的なマージンは得られず3番手でレースに復帰。それどころか場内アナウンスは「DENSO Le Beausset RC350から、何か白煙が上がっていると、オフィシャルからの報告が」と告げているではないか! ブレーキングでのタイヤスモークではあったが、予想を遥かに超えるタイヤの磨耗が原因だった。

 すぐピットに戻したいところだが、ゴール間際にガス欠の心配もあったことから、やむなくチームはミニマム予定の15周を走りきるよう指示。5秒以上のタイムダウンを余儀なくされるも、我慢の走行を重ねた平木は55周目にピットイン。残り1時間20分を、中山に託すこととなった。そして交換したタイヤからはワイヤーが露出していた……。それまでにポジションは5番手へ。しっかりタイヤをマネージメントして走るよう指示されている中山は、タイヤをいたわりながらゴールを目指す。それでも後続はまったく寄せつけることなく、慎重に周回を重ね続けて5位でチェッカーを受けることとなった。

 4月29〜30日にスポーツランドSUGO(宮城県)で行われる、第2戦での逆襲に期待が大いにかかる。

チーム監督 坪松唯夫(Tadao Tsubomatsu)COMMENT
 レースウィークの走り出しは非常に好調で十分戦える状況であったが、蓋をあけてみれば、タイヤの摩耗に苦しんだレースになってしまった。一番の原因として路面のグリップが低い時に変えたセッティングが、上手く機能しなかったことが考えられる。ひとつ良かった点をあげるとすれば、オフから走り込ませてきた平木が、ツーリングカーのドライビングをマスターしてくれたことであろうか。次戦はRC350にとって苦手な菅生であるが、方向性を見直し、更に戦闘能力が高いクルマに仕上げて臨みたい。
Driver 嵯峨宏紀(koki Saga)COMMENT
 スタートから、39周のロングスティントとなりましたが、序盤に2番手にもついていけるペースで走れていたし、プッシュし続けることで相手へのプレッシャーになることもあって、いいペースを保っていたのですが、トップ3以降のチームは、1秒以上遅いペースでしたし、その点ではタイヤに対する攻撃性という部分で厳しかったのかもしれません。とはいえ、トップのチームは、ハイペースで走り続けていけたので、今後の課題は、タイヤをいかに持たせて速く走らせるかということを、チームと一緒に煮詰めていければと思います。
Driver 平木湧也(Yuya Hiraki)COMMENT
 僕はタイヤを換えないで行ったんですが、出て行ってすぐにグリップダウンが感じられて、ペースと保とうと頑張っていたのですが、徐々にブレーキも行けなくなって、コントロールが大変な状況でした。その時チームからは「15周だけ頑張って行ってくれ」ということで、なんとかピットまで持って行きましたが、タイヤはワイヤーが出ている状況でした。初めてのスーパー耐久の決勝だったので、いろいろなシチュエーションでの走行など沢山の新しい良い経験ができました。でも、ちょっときつかったです。予選はいい感触で走れたので、次に乗る機会にもシッカリ準備して勝利に貢献できるように頑張りたいと思います。
Driver 中山雄一(Yuichi Nakayama)COMMENT
 今週の練習走行からの流れというのは知らない状況で、ぶっつけで決勝は1スティント行きましたが、前回までのテストとは路面状況が変わったせいか、それまでの調子いい感じとは違っていました。タイヤをマネージメントしながら最後まで走りきって、でもそうしているとタイムも出ないので、前に迫ることができませんでした。4位と3位を走っているクルマも同じようなペースだったので、タイヤをマネージメントすると、そのぐらいで落ち着くのかなと。ちょっと厳しいレースでした。次のレースまでに挽回できるように努力します。
Le Beausset Motorsports


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