ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP 1995 PRESEASON GT SPECIAL Vol.3 '95全日本GT選手権 プレシーズン Vol.3 GTインサイド・レポート No. 1 1995/ 3/27 FMOTOR4版 ----------------------------------------------------------------------------- *95GTシリーズ開幕直前情報 1.大器“スーパーGTR”(R33)生みの苦しみを味わう 2月16~17日に富士スピードウェイで行われたシェイクダウンは、ギアボックスや デフのトラブル等に見舞われ、気を取り直して行った3月2日のテストも雪で満足に 走ることが出来なかった。そのため開発スケジュールの遅れが心配されていた“スー パーGTR”は、3月13~16日の4日間通しのSUGOでもスケジュールの前半は雪 に見舞われ、水野和敏監督自らコース整備(雪かき?!)を行ってテストの遅れをくい 止めた。スケジュール後半の15~16日には天候も快復し本格的なテストとなった。S UGOではN-GT仕様のみならず、ルマンを想定した耐久テストがメインメニューと して行われ、ルマンGT1仕様のエンジンとアンダーカバーの付いたルマンカウルで 走行し、1分25秒28までタイムを詰めた。これまでのテストでは、3月2日の富士ス ピードウェイで、大柄なボディでありながら270km/hの最高速を記録し、R32よりも コーナーリングスピードが向上している他、重量配分が良好になったこともあって、 ターンインでノーズが向きを変え易くトラクションも向上している。スズカではコン スタントに2分11秒台で走ることを目指している。 2.チーム・タイサン直前テスト 今年4台のGTマシンを選手権に送り込むチーム・タイサンは、3月21日に富士ス ピードウェイで合同テストを行った。この日は直前に日本に到着したポルシェ993GT 2のチェックがメインメニューであったが、去年大活躍のフェラーリF40のテストも 行われ、94年仕様で走行した太田哲也が1分35秒台を記録している。この日のF40テ ストの目的は近藤真彦がマシンに慣れることであり、リストリクターを取り付け18イ ンチ・タイヤを履く95年仕様のF40のテストは、30日木曜日になることだろう。リス トリクター付きのF40は出力はほとんど変わらないものの、トルク特性が相当ピーキー なものとなるため、太田哲也は、改良されるシャシーとプラス/マイナス=0に出来 れば好運であると考えている。タイサンのポルシェ993GT2は、開幕のスズカを走る 3台の993GT2の中で唯一のN-GT1仕様であり、31mm径のリストリクターを2個 持ち、14インチ幅までのタイヤの装着が可能である。このテスト次第ではルマンGT 2仕様に改造されるとの噂もあったが、ストレートでも約280km/hを記録しているた め、 少なくともスズカにはN-GT1仕様で登場するだろう。 3.スープラ時代到来の予感!! 95年バージョンのスープラGTは、益々“スープラの皮を被ったグループCカー” への道を歩んでいる。エンジンはさらに低い位置に搭載され、このことは重心を低く するばかりかシャシー剛性の強化を容易としており、ターンインでの回頭性を良好な ものとしている。しかもラジエターやインタークーラーは低い位置に水平にマウント されて、エンジンルームを覗いた限りではGTカーと言い当てることは難しいほどで ある。3月14~15日に鈴鹿サーキットで行われたテストでは、新しい2台の95年バー ジョン(サード/FET)と今年セルモが走らせる94年バージョン(94年のサード車) の3台が参加し、E.コマスのセルモ車とJ.クロスノフのサード車の間で激しい先陣 争いが繰り広げられた。もちろん3台共まったくセッティングがなされてなく、エン ジンがバラついているにもかかわらずJ.クロスノフは“2分10秒台”という驚異的な タイムを叩きだした。94年バージョンのE.コマスも2分11秒台を記録していることか ら、このタイムは決してフロックではない。昨年のスズカ500kmでポールポジションを 獲得したルマンGT1仕様のフェラーリF40(約600馬力)でも2分10秒台、約700馬 力と言われたグループA仕様のR32スカイラインGTRが2分14秒台であることを考 えると、とんでもないタイムをスープラがマークしたことが分かる。 4.ポルシェ993GT2続々日本上陸 マツダコレクションの993GT2は3月24日夜にやっと通関し、翌25日に富士スピー ドウェイでシェイクダウンを行った。残念ながら当日は雪混じりの雨という最悪のコ ンディションであり、途中からは霧も出てきたため100kmの初期ランニングインを行う のがやっとであった。テイクワンの993GT2は日本到着が27日(今日!)となったた め、緊急通関の後ガレージはあくまでも経由するだけで鈴鹿に持ち込まれる。すべて の準備作業を鈴鹿で行わなければならない。 5.GT2クラスの行方は 昨年ケガニレーシングがタイトルを獲得したGT2クラスは、今年さらに激戦区と なることは間違いない。3月14~15日のスズカテストでは、新しい230タイヤのテスト を行っていた牧口エンジニアリングの94年仕様BMW・M3が2分21秒台を記録して いる。ドライブしていた松田秀士によると、「94年仕様でもあと2~3秒詰められる」 と言う。GT2クラスの多数派である964カップカーでは、昨年末に東名スポーツの964 カレラカップカーが、富士スピードウェイで1分40秒を切るタイムを記録している。 ほぼ同時期のスープラGTのタイムが1分32秒台であるから、1分17~19秒がスズカ でのGT2クラスのターゲット・タイムとなることだろう。R32スカイラインGTR のFRモデルでGT2クラスを闘う大山レーシングは、暫定モデル(車重1260㎏)で 行ったテストで富士スピードウェイを1分44秒台で走行しているが、鈴鹿までにはエ ンジンに大幅に手を加えられる予定。 6.ランボルギーニ・ディアブロ日本上陸 寺井エンジニアリングのディアブロ・イオタは3月8日にシェイクダウンに成功し た後、モンツァでの全開走行を経験して日本に送られてきた。スズカでは、フロント オイルクーラー/サイドラジエター仕様のままで参加するが、第2戦富士スピードウェ イではラジエターをフロントに移動することが予定されている。 7.トムスの第2ドライバーはクルムに トムスは関谷正徳とパートナーを組む第2ドライバーに若手を起用すると表明してい た。開幕戦では当初、高木虎之介が予定されていたが、M.クルムに変更した。 8.30日、31日にフリープラクティスが予定 3月30日(木)(主催:NISMO) 第1回 10:00~11:00 第2回 13:00~15:00 3月31日(金) 第1回 8:50~9:30 第2回 13:00~16:00 3月30日のフリープラクティスはニスモの占有時間であるが、遅れて日本に上陸し た3台のポルシェ993GT2や、25日土曜日に雨の鈴鹿サーキットでシェイクダウンを 行ったトムスのスープラGT等、セッティングの遅れているニューマシン勢のほとん どがこのテストに参加するようだ。 GTアソシエイション事務局 インサイドレポート担当 古屋 知幸 = MGG01235=