全日本F3000

F3000 レポート [Rd.8 Fuji]

 1994年全日本F3000選手権第8戦「F3000富士F3000チャンピオ
ンズ」決勝は18台が参加して行われ、ポールポジションからスタートしたマルコ・
アピチェラが大混乱のスタートを見事に制して2位以下を大きく引き離し今季3勝目
を挙げて総合優勝に向けて大手をかけた。2位は黒沢 琢弥が入った。3位には今年
54歳の高橋  国光が4年振りに表彰台に立つ事になった
 ポイントランキング1位でポールポジションのマルコ・アピチェラはポイントラン
キング2位で予選も2位のA・G・スコットに3ポイント差、ポイントランキング3
位で予選は8位と振るわなかったロス・チーバーとは4ポイント差だが、全10戦中
7戦のベストポイントを集計するのでできればここで優勝してポイントを突き放した
いところ。一方追う二人は全戦入賞のアピチェラとは違い、アピチェラよりも高い順
位で入賞してポイントを追加すればそれだけ有利になる計算となる。
 このレースでは、前回の鈴鹿で注目を集めた予選13位の高木 虎之介もこの位置
からどこまで追い上げを図れるかが要チェックだろう。
 決勝前の朝方のフリー走行では雨が落ちて来て心配された天候も小康状態となった
が、ストレートは強い追い風しあおられている。
 フォーメーションラップが終わりグリーンフラグが振られていよいよスタートと
なったその瞬間、なんと20番A・G・スコットが両手を振ってスタートできない事
をアピール。スタートは中止となった。
 ポイントランキング2位のA・G・スコットはフリー走行でもいいタイムを出して
優勝が期待されていただけに最後尾スタートとなってしまったのは非常に残念と思わ
れた。しかしいったん最後尾のグリッドまで押し下げられたA・G・スコットのマシ
ンは、クルーによってさらにピットまで押し戻されてしまった。。どうやら電気系の
トラブルを心配している模様で、カウルを開けてエンジンの右バンク側を確認してい
る。
 再度フォーメーションラップがスタートし、グリッドに各マシンが付き始めたとこ
ろで今度は18番トーマス・ダニエルソンがピットイン。これでグリッド2位と4位
のマシンがいなくなり、6位スタートの24番服部  尚貴に有利か?
 レッドシグナルからグリーンシグナルが点灯してようやくレースはスタート。マル
コ・アピチェラはポールから素晴らしいスタートを決めてトップを守ったまま1コー
ナーをクリア。しかしその後方で予選6位スタートの24番服部  尚貴にブレーキン
グをロックさせたままの16番影山  正美が後ろから突っ込み、もつれるように1
コーナーをまっすぐにコースアウト。服部  尚貴は前回の鈴鹿に続き悪夢の連続リタ
イヤとなってしまった。
 1周を終え、2周目に入ったところでの順位は8番マルコ・アピチェラ、11番黒
澤  琢弥、17番ミカ・サロ、25番ロス・チーバー、5番ジェフ・クロスノフ、9
番マウロ・マルティニ、7番高橋  国光の順。各マシンの差はまだあまり感じられな
い。
 3周目、1位マルコ・アピチェラと2位黒澤  琢弥との差は0.78秒。3位ミカ・サ
ロとの差は早くも広がり始めた。その後の4位ロス・チーバー、5位ジェフ・クロス
ノフとの差もかなり広がっているが、その後の6位マウロ・マルティニ、7位高橋
国光、8位はかなりの接近戦を演じ、5位争いが早くも白熱し始めた。300Rでは
速度が上がらないジェフ・クロスノフをマウロ・マルティニがかわし、4位にアッ
プ。クロスノフは何らかのトラブルを抱えているのか?
 4周目、マルコ・アピチェラと黒澤  琢弥の差は0.78秒差。3位ミカ・サロとの差
は早くも2秒ほどである。ここでストレートできれいにスリップを使った高橋  国光
がジェフ・クロスノフのインに飛び込み1コーナーでかわし、5位にアップ。
 5周目、マルコ・アピチェラと黒澤  琢弥の差は0.6秒差に縮まった。一方3位の
ミカ・サロも引き離されるかと思われたがなんとか黒澤  琢弥との差を詰め始めてい
るようだ。クロスノフはさらに順位を落とし、3番金石  勝智にもかわされてしま
う。一方1番星野 一義がコースアウトしてしまい、残念ながらここでリタイヤと
なってしまった。
 6周目、黒澤  琢弥はマルコ・アピチェラの背後に迫り、ストレートでスリップに
入ったかに見られたがマルコ・アピチェラに押さえられてしまい順位を上げる事はで
きない。
 7周目、再度ストレートでマルコ・アピチェラに並びかける黒澤  琢弥だが、やは
りこれをかわす事ができない。どうやらマルコ・アピチェラのストレートは黒澤  琢
弥よりも伸びているようだ。
 8周目、白熱していた1位争いはここで一段落し、マルコ・アピチェラと黒澤  琢
弥の差はちょっと広がった。そうこうしている内に3位のミカ・サロにロス・チー
バーとマウロ・マルティニが追い付き、バトルが始まった。
 9周目、マルコ・アピチェラと黒澤  琢弥の差はさらに広がる。どうやらマルコ・
アピチェラのペースについていけなくなったようだ。白熱する3位争いはミカ・サ
ロ、ロス・チーバー、マウロ・マルティニ、高橋  国光による争いとなった。1コー
ナーではマウロ・マルティニのインを高橋  国光がうかがったが、ここでは順位アッ
プを図る事ができない。
 10周目、マルコ・アピチェラと黒澤  琢弥の差は1.79秒。ここで3位争いが白
熱。1コーナーで3位ミカ・サロのインに入ったロス・チーバーがブレーキングを失
敗。イン側にマシンが向いてしまったところにミカ・サロが乗り上げてしまいそのま
まコースアウト。これを見たマウロ・マルティニも高橋  国光にインに入られていた
ために行き場がなくなってしまい、ブレーキングでまっすぐ行ってしまってコースア
ウト。なんとかレースには復帰するが、大きく順位を落としてしまった。これによっ
て7番高橋  国光が3位にジャンプアップした。
 12周目、1位と2位の間隔は更に広がり約2秒の差。7位争いをしていた5番
ジェフ・クロスノフと27番トム・クリステンセンは、1コーナーでクリステンセン
がインに飛び込んで決着が付いた。これでクリステンセンは7位に浮上した。順位は
8番マルコ・アピチェラ、11番黒澤  琢弥、7番高橋  国光、17番ミカ・サロ、
3番金石  勝智、6番ミハエル・クルム、27番トム・クリステンセンの順。
 13周目、失速するクロスノフは、最後尾から追い上げて来た20番A・G・ス
コットにもかわされる。A・G・スコットは驚異的な追い上げでさらにその前のトム
・クリステンセンにも接近してゆく。
 14周目、3位の高橋  国光とミカ・サロの差は徐々にだが近づきつつある。一方
5位金石  勝智のインに1コーナーで飛び込んだ6番ミハエル・クルムは見事にジャ
ンプアップを果たし、5位をゲット。このミハエル・クルムは4日前に乗らないかと
いう打診を受けてテストなしでいきなりこのこの位置まで上がって来ている。いつか
のミハエル・シューマッハを思わせる活躍である。
 15周目、順位は8番マルコ・アピチェラ、11番黒澤  琢弥、7番高橋  国光、
17番ミカ・サロ、6番ミハエル・クルム、3番金石  勝智、27番トム・クリステ
ンセン、20番A・G・スコットの順。この周のマルコ・アピチェラは18.409秒、一
方黒澤  琢弥は18.800秒とわずかにマルコの方が速く、その差は2.3秒と徐々に広
がっている。また3位の高橋  国光は18.829秒で、4位のミカ・サロが18.247秒でこ
この徐々に間隔が縮まって来ている。またミハエル・クルムとそれにかわされた金石
勝智、それにトム・クリステンセンも追い付き、3台のバトルが繰り広げられている。 16周目、1位と2位の差は一気に3.1秒差まで広がった。4位を走行していたミ
カ・サロのタイムが異常に低下し1分19.617秒。彼は300Rでスローダウンしてし
まい、そのままピットイン、リタイヤしてしまった。また7位だったトム・クリステ
ンセンもピットに向かい、そのままガレージに入りリタイヤとなってしまった。
 17周目、順位は8番マルコ・アピチェラ、11番黒澤  琢弥、7番高橋  国光、
6番ミハエル・クルム、3番金石  勝智、20番A・G・スコット、5番ジェフ・ク
ロスノフ。
 19周目、1コーナーで3番金石  勝智のインに入った20番A・G・スコットが
見事に5位にジャンプアップ。3位争いは拮抗したタイムの争いとなり、高橋  国光
の1分18.820秒に対しミハエル・クルムは1分18.948秒。
 20周目、順位は8番マルコ・アピチェラ、11番黒澤  琢弥、7番高橋  国光、
6番ミハエル・クルム、20番A・G・スコット、3番金石  勝智、5番ジェフ・ク
ロスノフの順。1位と2位の差は4.1秒まで広がった。3位争いは高橋  国光が
1分18.616秒、ミハエル・クルムが1分18.555秒と一歩も引かない構え。これにA・
G・スコットが等間隔で走行し1分18.835秒を出している。
 23周目、マルコ・アピチェラがこれまでのベストタイムを叩き出し1分17.944秒
で一気に黒澤  琢弥を引き離し5.8秒差に。黒澤  琢弥は18秒台後半で走行して
いる。高橋  国光は1分18.354秒、ミハエル・クルムは18.196秒で1ミスで全てが決
着してしまう神経戦になって来ているようだ。
 25周目、順位は変わらず。高橋  国光は1分18.665秒だが、ミハエル・クルムも
1分18.640秒。
 28周目、高橋  国光は1分18.233秒、ミハエル・クルムが18.287秒、A・G・ス
コットが18.241秒と神経戦はさらに続いている。
 30周目、順位は膠着したままだが、3位をめぐる争いはタイムの出し合いで凌ぎ
を削っている3人の争いだ。高橋  国光は1分18.063秒、ミハエル・クルムは18.016
秒、A・G・スコットは18.065秒。間隔はほぼ等間隔だ。A・G・スコットは最後尾
からの追い上げでタイヤ的には苦しいはずだが、それを見せずについて行っている。
 32周目、20番A・G・スコットが1分17.932秒を出し、4位ミハエル・クルム
との差を1.6秒差まで縮めて来た。ミハエル・クルムは1分18.016秒と決して遅く
はないのだが。
 33周目、20番A・G・スコットがマルコ・アピチェラの出したベストタイムを
破り1分17.861秒を叩き出した。ミハエル・クルムとの差はさらに縮んで来る。
 34周目、ミハエル・クルムも必死にタイムを出し、暴れる車をおさえて1分
17.918秒を出す。
 35周目、ミハエル・クルム1分17.947秒、A・G・スコット1分17.994秒と両者
のタイムレースは続く。
 36周目、ミハエル・クルムが1分17.600秒でA・G・スコットの出したベストタ
イムを更に縮めて来た。このタイムは彼の予選タイム17.491秒とあまり差がなく、
レース中のタイムとしては考えられないほどハイペースだ。一方高橋  国光は1分
18.156秒とあまりタイムが上がらず、徐々に間隔が縮まって来ている。
 37周目、高橋  国光も意地を見せて1分17.959秒までタイムアップ。
 39周目、ミハエル・クルムが再び1分17.607秒と好タイムをマーク。彼はこの数
周17秒台後半で高橋  国光を追い上げている。一方A・G・スコットはタイヤが厳
しくなって来たのか18秒台前半で徐々に引き離され始めた。
 40周目、高橋  国光は1分17.882秒と必死、ミハエル・クルムは18.025秒。両者
の差は1.9秒差ほど。
 41周目、高橋  国光は1分18.222秒だが、ミハエル・クルム1分18.449秒と無理
がたたってペースが落ち始めたか。A・G・スコットは1分18.267秒とコンスタント
に走行している。
 42周目、高橋  国光は1分18.189びょうだが、ミハエル・クルムはもう一度ペー
スを上げ1分17.750秒とタイムをアップ。A・G・スコットはあきらめてしまったの
か19.172秒までペースを下げた。
 43周目、高橋  国光とミハエル・クルムの差は1.4秒差、A・G・スコットは
さらに遅れ1分19.573秒の走行。ここで、周回遅れのマウロ・マルティニに高橋  国
光が追い付いてしまい、これをどこでかわすかが問題になって来た。
 ファイナルラップ、マウロ・マルティニに引っ掛かった高橋  国光とミハエル・ク
ルムの差は1秒まで縮まった。しかし、高橋  国光はなんとか逃げきり3位でチェッ
カーとなった。1位は独走のマルコ・アピチェラ、2位はレース序盤の大差で何とか
しのいだ黒澤  琢弥が入った。
              FMOTOR4 SUB-SYSOP 山川 順治(PEE00630/RIJ)


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