Japanese F3

全日本F3選手権レースレポート

●レース名: 1998年全日本F3選手権第1戦鈴鹿
●サーキット:鈴鹿サーキット/5.8643km×17Laps=99.6931km
●開催日:  3月21日~22日
●天候:   21日(予選日)/曇り 観客1万5000人
       22日(決勝日)/晴れ 観客4万3000人

#64 松田次生選手、予選2位を獲得。決勝ではスタートミスを挽回、初戦ながら見事
5位に入賞!


 1996年には山西康司、黒澤治樹、吉村一誠、1997年には西翼、山口大陸を
全日本F3選手権に送り出した「SRS-F(鈴鹿レーシングスクール)スカラシッ
プ」。本田技研工業の支援により、鈴鹿サーキットランド主宰のレーシングスクール
として誕生した「SRS-F」も、今季で3度目のスカラシップ・ドライバーを輩出
することとなった。1998年度もこれまで同様、中嶋悟率いる「NAKAJIMA
 HONDA」がそのレース参戦マネージメントのすべてを任され、レーシングス
クールからの最初のステップボードとして第2の山西康司となる若手ドライバーの育
成を目指すこととなった。
 今季のスカラシップ参戦ドライバーとして選出されたのは、弱冠18歳の松田次生
(まつだ つぎお)。冬季のテスト走行から同じくSRS-F修了生の金石年弘、佐
藤琢磨らとともに好タイムを記録し、万全の体制で3月21日の全日本F3選手権開
幕戦を迎えた。 レース前の木曜日、金曜日と順調にプログラムを消化した松田選手
は、まず予選に先駆けて行われた午前の30分間の公式練習で一時はトップタイムを
記録するなど好パフォーマンスを見せたものの、前日の金曜日がウエットコンディシ
ョンだったこともありドライでのニュータイヤを履いた場合のセットアップに集中、
2分01秒785というタイムで9番手につける。
 そして午後2時40分から始まった公式予選での松田選手は、各有力ドライバーた
ちが路面状況の好転を待って待機している中、比較的早い段階でコースイン。5周目
に2分01秒485を記録していったんピットインし、マシン左側にニュータイヤを
装着するとともにセッティングを若干変更してタイムアップを果たすべく再度コース
へ。この時点でのトップタイムはトムスから参戦の#1ピーター・ダンブレック選手
が記録した2分00秒067であったが、スピンやコースアウトするマシンが多く、
追い越し禁止を意味するイエローフラッグが各所で振られ、各選手がタイムアップに
苦しむ中ピットイン時のセッティング変更が奏功し、松田選手は再コースイン後計測
2周目にクリアラップを取ることに成功。2分00秒308という、これまでの自己
ベストとなる好タイムを記録し、一気に2番手に躍り出た。その後もポールポジショ
ンを狙ってタイムアタックを続けた松田選手だが、やはりコース状況は好転せずその
ままセッションを終了したものの、ダンブレック選手に次ぐ予選2位を獲得。デビ
ューレースながらいきなりのフロントローを得た。結果、予選1位は#1ダンブレッ
ク選手(DALLARA F398/TOYOTA)、予選2位に#64松田選手(D
ALLARA F397/無限HONDA)、予選3位は#9谷川達也選手(DAL
LARA F397/TOYOTA)となったが、SRS-F卒業ドライバーの中で
はトップタイムを記録した松田選手に注目が集まった。
 翌日の決勝レース当日。薄曇りだった前日の予選日よりは幾分天候も好転したもの
の、風がやや強く肌寒さを感じる状況の中、午前10時45分にフォーメイションラ
ップが開始された。予選2位の好位置を得ていた松田選手もじっくりタイヤを温める
と、イン側の2番グリッドへマシンを止めてグリーンシグナルを待った。
 10時50分、1998年の全日本F3開幕戦がスタートした。各車いっせいにス
タートを切ったが、残念ながら松田選手はエンジンをストールさせてしまい、スター
トに失敗。一気にポジションを20番手前後まで落としてしまう。しかし、松田選手
はスタートでの遅れを取り戻すべく猛チャージ。1周目を14位で終えると、先行す
るマシンを1周に1台ぐらいずつのペースでかわして、5周目には10位、10周目
にはなんと入賞目前の7位にまでポジションを回復してみせた。11周目に3位を走
行していた#9谷川選手がシケインでスピンアウトしたため入賞圏内の6位に浮上す
ると、5位を行く#14セバスチャン・マルティーノ選手(DALLARA F39
7/OPEL)を追って激走。13周目には自身の決勝中のベストラップとなる2分
01秒655(出走25台中3位のタイム)を記録した松田選手は、ついに15周目
のメインストレートで#14マルティーノ選手を捕らえたかに見えた。しかし、その
前のラップでコースアウトしたマシンが1コーナー先のグラベルに止まっていたため、
松田選手は黄旗無視のペナルティーの可能性を考え、そこではパスせずに次のチャン
スを待つことに。そしていよいよ最終ラップとなった17周目、最後の最後ともいえ
るパッシングポイントといえるシケインのブレーキング競争でインを突き、#14マ
ルティーノ選手をかわしてそのまま見事5位入賞のチェッカーを受けた。
 4輪での初レースという状況ながらスタートでのミスを帳消しにする好走と、ペナ
ルティーを事前に回避する冷静さをみせた松田選手は、今回の鈴鹿でのデビューレー
スで2ポイントを獲得。今後の展開いかんでは、96年のスカラシップドライバー、
山西康司のように参戦初年度でのシリーズチャンピオン争いを繰り広げる可能性を感
じさせる開幕戦となった。
 なお、レースはポールポジションから好スタートを決めた#1ダンブレック選手が
優勝。2位にはSRS-F1期生である#77伊藤大輔選手(DALLARA F3
97/無限HONDA)、3位には#2加藤寛規選手(DALLARA F398/
無限HONDA)という結果となった。


●チーム総監督 中嶋悟のコメント
「デビューレースで、予選フロントローの2位獲得。決勝レースでスタートを失敗し
てまいましたが、今後を期待させる良いレース内容でした。次戦が楽しみです。」

※次戦の参戦は、5月16日~17日開催のセントラルパークMINEサーキットとなり
 ます。


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