全日本GT選手権

中嶋企画 全日本GT選手権レースレポート

シリーズ名:全日本GT選手権
大会名:第1戦・SUZUKA GT300km
距離:5.86403km ×51周
予選:3月21日 くもり  ・観衆:1万5000人(主催者発表)
決勝:3月22日 晴    ・観衆:4万3000人(  同  )

予選2位を獲得したMobil 1 NSX
GT選手権初参戦でファーステスト・ラップ、そして総合2位を獲得!!
優勝は逃したが、NSXの速さを見せつけた

 例年と同様に三重県・鈴鹿サーキットが開幕戦の舞台となった全日本GT選手権は、
土曜日ながら春分の日で祝日ということもあり多くの観客を集めて予選が行われた。
 距離の長いGTレースには参戦してきた経験のあるナカジマプランニングだが、シ
リーズ戦はこれが初参戦。さらに98年型NSXのデビュー戦でもあり不安がないわけ
ではないが、雨に見舞われた金曜日の練習走行でセッティングの方向を掴み、11時10
分からの予選1回目を迎えた。
 GTレースの予選は、各回1時間の枠が与えられているが、参加台数が多いため安
全性を考慮して参加チームが自主的にラップタイムが極端に異なるGT500クラス
とGT300クラスを分けてタイムアタックを行っている。まず最初に20分間をGT
500クラスが使い、次の20分間をGT300クラス、最後の20分間はGT500ク
ラスとGT300クラスが混走するという方法で、ナカジマプランニングの走らせる
Mobil 1 NSXはトム・コロネル選手がステアリングを握り最初の20分でアタックを行
った。
 それでもクリアラップを取るのはなかなか困難。コロネル選手は、3周だけトラフ
ィックに引っ掛からずにアタックを行うことができ、64番のゼッケンをリーダーボー
ドのトップに押し上げた後もプッシュしてコースレコードとなる2分2秒975 を出し、
トップの座を確実なモノにしてピットに戻ってきた。
 最後の20分は、コロネル選手の使ったタイヤを履いたまま山西康司選手がコースイ
ン。フォーミュラカー以外でのレースは初めてという山西選手は、混雑するコースを
相手に慎重にドライブ。最終的に2分7秒578 を出して予選1回目を終えた。
 前日の雨で路面に付いたラバーが剥がれ、さらに砂も出て滑りやすかった予選1回
目に比べ、多くのクルマが走行することで砂が掃除され、ラバーも付く予選2回目の
方が好タイムが期待できる。予選1回目をトップで終えたMobil 1 NSXは、さらにタ
イムアップすべく調整を行い予選2回目に備えた。
 すべてのサポートレースの予選が終わり、タイムスケジュール通り15時30分から予
選2回目が始まった。1回目同様コロネル選手がニュータイヤを履いて最初の20分で
アタック。6分が経過したところで2分3秒676 を出してトップに立つ。さらに2分
3秒026 までタイムを詰めるがクリアラップを取れず1回目に出したタイムを上回る
ことができない。予選開始から14分のところで97年型NSXを使うチーム国光の飯田
章選手がコロネル選手が1回目に出したタイムを僅かに0.036上回る2分2秒939 を
出して2回目のトップに踊り出た。
 GT300クラス単独のアタックが終わり残り20分、予選1回目で使用したタイヤ
に履き変えて山西選手がコースイン。山西選手はマシンへの慣れが進み、ユーズドタ
イヤながら2分5秒740 までタイムを縮め予選2回目の走行を終えた。
 予選1回目と2回目の結果、Mobil 1 NSXはフロントロウとなる予選2位となり、
童夢NSX が3位となったことで、ホンダNSXがトップ3を独占となった。
 予選終了後、Mobil 1 NAKAJIMA RACINGは前日同様に勝負の明暗を分けるであろう
レース中でのルーティンワークをシミュレートした練習を納得ゆくまで行い、決勝に
備えた。
 翌日曜日、薄い雲が空全体を被う下、8時30分から30分間のフリー走行が行われた。
当日早朝までメカニックが整備と調整をおこなったMobil 1 NSXを、最初の15分をコ
ロネル選手が後半15分を山西選手がドライブ。「自分では7~8割で走った」という
山西選手が、セッション終了のチェッカーを受けるラップで自身の予選タイムを上回
る2分5秒293 のタイムを出した。このフリー走行をトップで終えたMobil 1 NSXは
前日同様に好調。決勝での好走に期待が膨らむ。
  ホームストレートをやや強い風が追う中、51周の決勝が始まった。GTレースのス
タートはゆっくりと走りながらグリーンランプを待つローリングスタート。初めての
耐久レースということで、もちろんローリングスタートも初めてのスタートドライ
バーのコロネル選手だが、無難なスタートを切って飯田選手(チーム国光)に続き2番
手で1コーナーへ飛び込んだ。
 3番手にはトヨタ・スープラの竹内浩典選手が続くが、2周を終えてその差は4秒
以上。序盤から飯田選手とコロネル選手の一騎討ちという様相を呈してきた。しかし、
バックマーカーが出始めた4周目から周回を重ねる毎に、徐々にその差が広がり始め
る。耐久レースでの経験が豊富な飯田選手はバックマーカーをうまくパスしてゆくの
に対して、コロネル選手はここでも初めての経験に手こずっていた。しかし、それも
数周の話。すぐに慣れてお互いにバックマーカーの処理を使い差を開いたり縮めたり
を繰り返しながら周回数を重ねていった。
 12周目、トヨタ・スープラの竹内選手に前を塞がれた形となり4番手でジリジリし
ていた日産スカイラインGT-Rの星野一義選手がついに反撃。2コーナーで少しバ
ランスを崩して竹内選手が開けたインに星野選手が滑り込んだ。そこで竹内選手と星
野選手が接触。竹内選手はスピンをしながらコースアウトとなり星野選手が3番手に
浮上した。その直後、スタートをミスして12番手を走行していた童夢NSXがバックス
トレートを走行中にアクセル系統のトラブルでストップしてしまった。
 さらに、19周目には同様のトラブルで5番手を走行していた 無限NSX が突然ピッ
トイン。応急修理を行い再びレースに復帰したが結局5周したところでマシンを止め
てしまった。
 そんな中、後方のバトルやトラブルとは関係なく、トップ争いは続く。
 29周目、2番手を走行するコロネル選手は予定通りピットイン。と同時にトップを
走る飯田選手もピットに滑り込む。Mobil 1 NAKAJIMA RACINGのチームクルーは、耐
久レースでは一日の長があるチーム国光に一歩も引けを取ることのないピット作業を
行いチーム国光とほぼ同時に、山西選手をコースに送り出す。
 山西選手へと代わったMobil 1 NSXは、徐々にレース歴40年を越えるベテラン高橋
国光選手に引き離されてゆく。やはり、バックマーカーの処理がやっかいで山西選手
は思ったようにペースを上げることができないのだ。その差が25秒を越えた44周目、
フラッグタワーで山西選手に対してブラッグフラッグが提示された。ブラッグフラッ
グは反則行為があったことを示すシグナルだが、山西選手が追越しが禁止されている
黄旗提示区間でバックマーカーの前に出てしまったことに対してペナルティを課すた
めに提示されたのだった。そのペナルティはピットロードエンドでの10秒間の停止。
山西選手は、すぐにピットロードへと滑り込み、ピットロードの制限速度違反を起こ
さないように慎重に走りながらペナルティボックスへ停止。3番手を走行するGT-
Rのエリック・コマス選手に対して大きなアドバンテージを作っていたこともあり、
山西選手はなんとか2番手をキープしたまま10秒のカウントが終了してレースへ復帰
することができた。
 ところが、山西選手はレースに復帰してすぐの2コーナーで痛恨のスピンを喫して
しまいコマス選手のGT-Rに抜かれ3番手へとポジションを落としてしまった。そ
の直後、トップを走行していたチーム国光のNSXが駆動系トラブルでマシンを止め、
トップにはGT-Rのコマス選手、山西選手は再び2番手へと浮上したのだった。
 山西選手は6~7秒先を走るコマス選手を追い掛けプッシュするが残り周回数があ
まりにも少なく、コマス選手に次いでそのまま2位のチェッカーを受けるに止まった。
 惜しくも優勝は逃したが、チームとしての初戦であり、ふたりのドライバーも耐久
レース初参戦、マシンも初戦と初物づくしだった開幕戦で唯一のNSX完走と2位と
いう結果を残せ、シリーズ制覇に向け順調な滑り出しとなるレースだった。
30kgのハンディウェイトを搭載して臨む次戦は、ゴールデンウィーク中の5月2~3
日、静岡県・富士スピードウェイで開催される。


● Mobil 1 NAKAJIMA RACING総監督 中嶋悟のコメント
「ドライバーもチームも初参戦での総合2位という結果は、順調なスタートが切れた
  と思っています。今後もご声援をお願いします。」


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