- 2013年6月15日(土)・予選 会場:セパンサーキット(5.542km) 天候:曇り 気温:33℃(16:30時点) 路面温度:39℃(16:30時点) コースコンディション:ドライ
6月15日(土)、マレーシアの首都クアラルンプールの郊外にあるセパンサーキットにおいて、2013 オートバックス SUPER GT第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」が開幕し、公式予選が行われました。
赤道に近いセパンでは毎年のように灼熱の戦いが繰り広げられます。予選が行われた本日も、じっとしているだけで汗が噴き出してくる暑さと高い湿度で、レースを戦うドライバーやチームスタッフを苦しめました。
開幕戦岡山大会で#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)が優勝し、第2戦富士大会が終わった段階でもポイントリーダーの座を守っているHonda勢は、3年ぶりとなるタイトル奪還を目指し、第3戦セパン大会より新型のリアウイングを投入しました。
これは、一般的に“スワンネック”と呼ばれる形式で、リアウイングを下側から支えるのではなく、上側からつり下げる構造とすることにより、リアウイング下側の気流をスムーズに流してエアロダイナミクスの効率を向上させるものです。今回はポイントリーダーの#100 RAYBRIG HSV-010に加え、#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)、#32 EPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐組)の計3台がこの新型リアウイングを採用。#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)と#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)の2台は従来型で挑むことになりました。
5台のHSV-010 GTが搭載するハンディウエイトは、計24点を獲得してポイントリーダーに立っている#100 RAYBRIG HSV-010が48kg、計15点を獲得した#17 KEIHIN HSV-010が30kgで、以下、計7点の#18 ウイダー モデューロ HSV-010が14kg、計5点の#8 ARTA HSV-010が10kgで、#32 EPSON HSV-010は0kgとなっています。
フリープラクティスは午後1時から2時間にわたって行われ、#18 ウイダー モデューロ HSV-010に乗るマコヴィッキィ選手がセッション開始早々に1分56秒827をマークしてトップに立ちました。このタイムはセッション後半にライバルの1台が1分56秒710を記録するまで破られず、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は全15台が出走したGT500クラスの中で2番手となりました。Honda勢でこれに続いたのは#32 EPSON HSV-010の10番手で、さらに#100 RAYBRIG HSV-010は11番手、#17 KEIHIN HSV-010は12番手、#8 ARTA HSV-010は13番手で、午後4時30分から始まる公式予選に向けて準備を整えました。
公式予選は今シーズンより採用された2段階のノックアウト方式で行われました。これは、予選1回目の上位8台が予選2回目に進出し、予選2回目のタイムに従って決勝レースのスターティンググリッドを決める方式です。なお、予選2回目に進出できなかったチームは、予選1回目の予選順位でスターティンググリッドが決定します。
予選1回目は予定通り午後4時30分にスタート。まずはGT300クラスがタイムアタックを行い、続いてGT500クラスがタイムアタックを行いました。
各マシンがニュータイヤを装着して本格的なタイムアタックを開始したのは、セッション終了間際のことでした。ここで最初にトップに立ったのは#8 ARTA HSV-010を駆るファーマン選手。しかし、その直後、#18 ウイダー モデューロ HSV-010に乗るマコヴィッキィ選手が1分55秒709をマークしてトップに浮上します。さらに#17 KEIHIN HSV-010の金石選手が3番手につけ、一時はHonda勢がトップ3を独占する形となりました。そのあと、ライバルの1台がマコヴィッキィ選手のタイムを上回りましたが、それでも#18 ウイダー モデューロ HSV-010は2番手にとどまったほか、#100 RAYBRIG HSV-010に乗る伊沢選手は48kgのウエイトハンディを跳ね返して5番手につけ、#8 ARTA HSV-010のファーマン選手も7番手となってQ1を突破。この結果、Honda勢では#18 ウイダー モデューロ HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010、#8 ARTA HSV-010の3台がQ2進出を決めました。なお、金石選手が駆った#17 KEIHIN HSV-010は10番手、中嶋選手が駆った#32 EPSON HSV-010は13番手となり、この時点で決勝レースのグリッドが確定しました。
続いて行われたQ2では、#18 ウイダー モデューロ HSV-010に乗る山本選手が途中の区間タイムで圧倒的な速さを見せつけたものの、コースの後半でコースアウトを喫したため、記録はウォームアップ中に残した1分57秒969にとどまり、決勝には8番グリッドから挑むことになりました。そして、#100 RAYBRIG HSV-010に乗る小暮選手は1分56秒015を記録して5番グリッド、そして松浦選手が乗る#8 ARTA HSV-010は1分56秒770を記録して7番グリッドを手に入れました。
一方、Hondaが開発したレーシングハイブリッドシステムを搭載するGT300クラスのCR-Z GTは、Q1、Q2ともにトップ2を独占。#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)がポールポジション、#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は2番グリッドを獲得しました。
54ラップで繰り広げられる明日の決勝レースは、現地時間の午後4時(日本時間:午後5時)にスタートが切られます。
- 松本雅彦|Honda GTプロジェクトリーダー
- 「予選でHSV-010 GTが示したパフォーマンスは決して悪くなかったと思います。特に#18 ウイダー モデューロ HSV-010にはポールポジションを獲得できる速さがありました。それだけに、山本選手がコースアウトしてしまったのは残念でした。一方、48kgとGT500クラスの中で最も重いハンディウエイトを積む#100 RAYBRIG HSV-010が5番グリッドを獲得したのは立派だったと思います。#8 ARTA HSV-010は、ハンディウエイトが10kgとまだ軽いというアドバンテージを生かして、今季最高のスターティンググリッドを獲得しました。明日の決勝では#100 RAYBRIG HSV-010に表彰台の可能性が残されているほか、レースの早い段階で順位を上げていければ#18 ウイダー モデューロ HSV-010も表彰台を獲得できると思います。#8 ARTA HSV-010には、まず上位入賞を期待したいところです。引き続き5台のHSV-010 GTに熱い声援をお送りください」
- 伊沢拓也(5番手 #100 RAYBRIG HSV-010)
- 「練習走行ではマシンバランスやグリップ感がいまひとつでしたが、予選ではマシンのアジャストがうまくできて、気温の変化にも対応することができたので、順位を大きく上げられました。積んでいるウエイトを考えると、予選5番手というポジションは上出来で、決勝を見据えても表彰台を狙える位置だと思います。決勝はいかにタイヤをもたせられるかが勝負となり、今日とは異なる戦いとなりますが、表彰台の可能性は大きくあるので、それに向かってがんばります」
- 小暮卓史(5番手 #100 RAYBRIG HSV-010)
- 「すごくいい予選だったと思います。伊沢選手ががんばり、僕自身もいい走りができ、エンジニアもいいマシンに仕上げてくれました。実は、もうちょっと上位にいける雰囲気もあったのですが、一番重いウエイトを積んでいる中で5番手獲得はよい結果だと思います。明日はライバルとの上位争いとなりそうですが、なんとしてでも表彰台に上がりたいと思います」