SUPER GT

SGT:第7戦富士決勝 12番手スタートからの大逆転!ARTAが今季初勝利。GT300は左2本交換のダイシンフェラーリがハナ差で逃げ切り!

2009オートバックス スーパーGT第7戦、「富士GT300kmレース」の決勝が9月13日、富士スピードウェイで行われ、 エンジン交換により10グリッド降格となった#8ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組)が序盤から猛烈な追い上げをみせ、 今季初勝利をもぎとった。
GT300クラスは#81ダイシンアドバンFerrari(青木孝行/藤井誠暢組)がピットストップで左タイヤ2本のみ交換というギャンブルを敢行、 終盤#11JIM GAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸組)の猛追を受けるが、 最後まで抑えきってこちらも待望の今季初勝利を挙げた。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:33000人)

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雨に翻弄された公式予選日とは打って変わり、決勝日の富士スピードウェイは快晴の下で決勝レースを行うこととなった。
フォーメーション開始は午後2時。
スタートでは予選3番手の#36ペトロナスSCを駆るアンドレ・ロッテラーが得意のスタートダッシュでインから一気にトップに躍り出る。
後れをとったポールシッターの#32エプソンNSXは後方集団に飲み込まれた挙句、#6エネオスSCと接触してスピン、 すぐにコースには復帰したものの一気にクラス最後尾まで順位を落とすこととなった。

#6エネオスSCはスタートドライバーのビヨン・ビルドハイムのアグレッシブな走りで2位の#1モチュールGT-R、 トップのペトロナスSCを次々に攻略して3周目にはトップに立つ。
しかし32号車との接触に対しドライブスルーのペナルティが課せられてしまい、ビルドハイムは6周終わりでピットイン、 これにより再びペトロナスSCがトップに復帰した。
2位には6周目の1コーナーでモチュールGT-Rを攻略した#24HIS GT-Rが上がってきた。
しかしその後方からは24号車をも上回るハイペースで追い上げてくるクルマがいた。
それがファーマンの駆る#8ARTA NSXだった。

昨日の予選で2位タイムを記録しながら、エンジン交換によるグリッド降格で12番手からスタートした8号車だったが、 オープニングラップで9位、2周目8位、3周目7位と着実に順位を上げて10周目には4位、13周目にはモチュールGT-Rを抜いて3位、 そして20周目、リヤタイヤが苦しくなってきた24号車がプリウスコーナーでアウトにはらんだところにファーマンが飛び込み、 2位をもぎ取った。
残るは1台、トップを快走するペトロナスSCのみだ。

ファーマンは手綱を緩めることなく首位ロッテラーとの差を詰めていく。
そして遂に25周目、ファーマンは最終コーナーでロッテラーのインにノーズをねじ込み、トップに躍り出た。

当初40周あたりでピットストップを行う予定でハードタイヤを選択していた8号車だったが、結局32周終わりでピットイン、 残り34周を伊沢に託すこととなった。
伊沢はアウトラップの100Rで一旦はペトロナスSCを駆る脇阪寿一に先行を許すこととなったが、 タイヤに熱が入ってからはハイペースで周回を重ね、脇阪とのギャップを詰めていく。
そして38周目のダンロップコーナーで、遂に伊沢は脇阪のインに飛び込みトップを奪い返した。
抜かれた脇阪はその後、3位モチュールGT-Rの猛追を受け、伊沢を追うどころではなくなってしまう。

伊沢は2位以下のバトルを尻目に34周を走りきり、今季待望の、 そして伊沢自身にとってはGT500デビュー以来初の勝利をものにした。
2位には65周目の最終コーナーでペトロナスSCのインに割って入ったブノワ・トレルイエの駆るモチュールGT-Rが入った。

なお、ポールシッターのエプソンNSXは結局9位。序盤トップ3に絡む活躍をみせていたHIS GT-Rは46周目に、 前を走っていた#55J-TRUSTポルシェから脱落した運転席側のドアにボンネットを直撃され、 その弾みでキルスイッチが作動してしまってダンロップコーナーでストップという不運に見舞われ、 その後レースには復帰したものの13位に終わっている。

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毎回荒れに荒れるGT300クラスだが、今回も最後まで目の離せない接戦が展開されることとなった。

オープニングラップを制したのは予選2番手の#81ダイシンフェラーリ。
しかし2周目に入ったところで#33ハンコックポルシェ、#87ガイヤルドに立て続けに抜かれて3位に後退してしまう。
スタートドライバーの藤井はその後、 8周目に87号車に抜かれて2位に落ちた33号車を駆る影山正美と抜きつ抜かれつの接戦を30周近く繰り広げながら35周終わりで同時にピットイン。
ここで81号車は左タイヤ2本交換というギャンブルに踏み切って大幅に作業時間を短縮、見事33号車を出し抜いたばかりか、 トップを快走していた87号車をも抜き去ることとなった。
87号車はピットストップを終えてからペースが上がらず、終盤は左リヤタイヤとフェンダーが干渉するトラブルなどに見舞われたため、 結局11位でレースを終えた。

大胆な作戦でトップに立ったダイシンフェラーリだったが、タイヤの磨耗は予想以上に激しく、終盤ペースダウンを余儀なくされる。
このため、一時は8秒以上あった2位とのギャップも、周回を重ねるにつれて徐々に削り取られていく。

2位を走っていたのは#11ジムゲイナーF430。
トップ争いは奇しくもフェラーリ同士の戦いとなった。

11号車の後半を担当した平中は1周1秒近いペースで81号車との差を詰めていき、 ついにGT300クラスにとっては残りあと2周となった60周目にはテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込んだ。

完全に山のなくなった右側タイヤのため、左コーナーが苦しくなってきた81号車の青木を平中は執拗に攻め立てる。
そしてその左コーナーの一つ、プリウスで遂に平中は青木に並びかけた。
懸命に押さえ込む青木。
2台はもつれ合うようにしてファイナルラップに突入した。

平中は61周目の13コーナーで再び青木に並びかける。
プリウス、パナソニックと両者は接触も辞さない激しい併走状態を続け、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。
駆ったのはダイシンフェラーリ。
その差は僅か0.372秒だった。

3位には#66ムルシエラゴが入り、前半81号車と熾烈なバトルを繰り広げていた33号車は結局6位に終わった。

なお、ポールスタートの#88ガイヤルドはオープニングラップを4位で終えると、その後も3~4位あたりの走行に終始し、 中盤移行は更に順位を落としていくこととなり、10位に終わっている。

次回第8戦の舞台は九州のオートポリス。
10月18日決勝だ。

Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro TAKESHITA


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