全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.7/5

                    AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CAR CHAMPIONSHIP
                       1998  GT INSIDE REPORT
   Round 7 SUGO GT CHAMPIONSHIP                                25 Oct. '98
   Inside Report                インサイドレポート2             FMOTOR4版
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'98AUTOBACS CUP GTC第7戦SUGO GT選手権レース(10/24,25)

◎カーナンバー前の記号"#"はGT500、"*"はGT300を現します

☆朝のフリー走行後のコメント
#37  カストロール・トムス・スープラ
ケルビン・バート「たしかに好タイムが出たけど、1ラップだけだからね。40ラッ
プ保たなければならない。ただ、今回は6位以内に入るチャンスだと思うし、ホン
ダの信頼性しだいでは表彰台に上がれるかもしれない。今週は今までのところすご
くうまく行っているよ。今シーズンこれまで不運が続いている。MINEではパンクチ
ャー、もてぎでは他車にプッシュされたし、ピットでのトラブルが2回あった。エ
ンジンがかからなかったことが1回、エンジンのベルトを交換したことが1回とね。
6戦中4回もトラブルに見舞われてしまったんだ。今日の目標は表彰台だ」

*77 クスコスバルインプレッサ
玉本秀幸「コンスタントラップは悪くないんですよ。今も、とりあえず速い人のな
かには入ってるでしょ? タイヤはわりとソフト目のものを選んでるんですが、それ
でもタイムの落ちが少ないんです。30周使ったタイヤでも、30秒台前半くらいでい
けるんです。今はまだ表彰台は見えないですけど、確実に走ればいけると思います。
ウチのチームは去年のここでデビューして、この1年で大きな進歩がありましたね。
タイムを見ればわかると思いますけど。GT300クラスは全体に速くなっているんで
すが、そのなかでもウチの進歩は大きいですよね。まぐれ半分ですけど、1回勝つ
こともできましたし。チームのがんばりが実ったということでしょう。これで最終
戦ですが、勝ち負けはともかく良かったと思える結果を残したいですね」

*15 ザナヴィシルビア
近藤真彦「少しずつだけどクルマは良くなってる。今日はギアのつながりが良く
なったね。予選はあの順位なんで、青木に4、5番手で渡せればいいな。本来あの
ポジションにいるクルマじゃないんで、早いうちに4、5番手に上がりたいね」

#50 ARTAスカイライン
土屋武士「昨日の予選中に決勝仕様のセッティングを試していたので、今日に向け
てクルマをイジッたということはありません。いつも足のセットはわりといいので、
今日もいつもどおりっていうことですね。今朝履いていたタイヤは昨日の1回目の
予選で使ったほうで、8ラップぐらい走ったヤツです。もちろん満タン。23秒368
が出たときはクリアが取れてます。決勝ではミスなく走りきることが目標。ほかが
潰れないとムリでしょうけど、最後ぐらいは表彰台に乗りたいなとも思っています」

#55 STPタイサンバイパー
松田秀士「朝は、エンジンルームに布を巻き込んでカムセンサーのラインを切って
しまった。めったにないことなんだけど…。突然止まってしまったんでビックリし
ましたよ。もう直ったんで決勝は問題ありません。タイヤは、昨日アンソニーがけっ
こうロングをかけてくれたんで、いけると思います。たしかにグリップダウンはす
るんだけど、そうメチャクチャになることはありませんから。スタートはボクがい
く予定です」

#88 ウェディングディアブロGT1
古谷直広「タイム的にはスカイラインやスープラに負けないくらいまで来てます。
あとはタイヤがレースディスタンス保つかどうかですね。ただ、ウチは燃料が保た
ないんで2回ピットなんですよ。Qちゃん(和田久)でスタートして1回給油に入っ
て、そのあともう1回、レースの5分の3くらいのところでタイヤ交換とドライバー
交替をすることになってます。それを考えるとちょっと苦しいんですが、でも予定
では、完走はもちろん、ポイント圏内でフィニッシュできるはずなんです」

◎第5戦もてぎ決勝でのクラッシュ後のオフィシャルの対応に関して
 第5戦ツインリンクもてぎでの決勝レース中、#39デンソーサードスープラがク
ラッシュした際に現場への救急車の到着が遅れたという指摘があった。GTインサイ
ドレポート班の取材によれば、救急車はモニターカメラを通じてドライバーの負傷
が予想された時点(車外に出た時点)ですぐに出動が要請され、動き出している。
しかし、救急車が走行するコース脇のサービスロード上に、はじき飛ばされたタイ
ヤバリアの一部が散乱。このため、そのままでは通り抜けることができず、救急車
の乗員が車を下りてそれを撤去していたために、数十秒の時間をロスしてしまった
ことが確認された。
 これに関して、第5戦もてぎの主催であるエムオースポーツクラブでは、その後
のレースではこうした際に緊急性を優先した対応を行うようにしているということ
である。

◎GTCの競技での安全対策と意識の向上
 今回の決勝レース中にセーフティカーが導入された場合には、全ポストで黄旗と
『SC』ボードが提示され、コース全周で非競技化されることになっている。また、
セーフティカーが走行しているあいだはピット出口は一定時間閉鎖され、この間に
ピットインしたマシンは、セーフティカーが次にコントロールラインを通過するま
でコースインできない。
 GT-Aでは、まずエントラントみずからの安全意識を向上させ、競技規則と安全マ
ナーを遵守させるために、GT-Aが主催する公開テストとレースウィークの金曜日の
練習走行時には、安全ルールを守れないエントラントにはきびしい罰則を科してい
る。また、GTC開催各サーキットには、緊急時の対応をより向上させるよう申し入れ
ている。

◎砂子智彦選手その後
 第2戦で足を骨折した*910ナインテンポルシェの砂子智彦選手は、その後順調に回
復し、すでにテストではマシンに乗れるまでになっている。今回もパドックに元気
な姿を見せた。
砂子智彦「もう運転はだいじょうぶです。8月、9月はけっこうハードなリハビリを
やってました。テストではもう911号車(ナインテンPCJポルシェ)やスーパー耐久
のスカイラインなどに乗っています。9月のテストのときは、まだブレーキがガンと
踏めなかったんですが、今はもう平気です。でも、まだ100%というわけではないの
で、今回は見送ろうということで…。ムリして出場して迷惑をかけてもいけないで
すからね。実戦への復帰は再来週のインターテックのときを予定しています」


☆タイヤメーカーにきく
ブリヂストン
「今回はソフトとハードの2種類を用意してきています。ソフトでも、ライフはだい
じょうぶです。もちろんハードよりはタイムの落ちかたが大きいんですけど。選ん
でいるのはチームによって違います。車種によってというよりは、チーム戦略によっ
てですね。#64(Mobil 1 NSX)と#23(ペンズオイル・ニスモGT-R)は、ウェイトハ
ンディを積んでいることなどを考えて、チームの作戦としてハードを選択しているの
だと思います」

ヨコハマ
「GT500用には3種類を用意してきました。スープラ(#39デンソーサードスープラ
GT)はソフト、バイパー(#55 STPタイサンバイパー)とスカイライン(#13エンド
レスアドバンGTR)はミディアムです。構造的にいうとスープラとバイパーが同じ
ものでスカイラインはちょっと異なります。ソフトでも路面温度が25度くらいのほ
うがいいんです。昨日はちょっと涼しすぎたんで、温まらなかったですね。
 GT300用にはソフトとミディアムの2種類を持ってきましたが、*72オークラRX7と
*91コーセイ&バーディクラブ・セリカ以外は全車ソフトです。*19ウェッズスポー
ツセリカも、リア駆動車と同じソフトを選択しています。事前テストでは40ラップ
くらい走っているので、ライフはだいじょうぶだと思います。もちろん交換は必要
になります。ミディアムはなしでもいけることはいけます。ソフトでも*25つちやMR2
は左側だけの交換でいくかもしれませんね」

ダンロップ
「GT500用は3種類用意してきました。スープラ(#36/#37カストロール・トムス・
スープラ、#5 5ZIGEN SUPRA)はソフト、ディアブロ(#88ウェディングディアブロ
GT1、#777バルボリンディアブロDL)はミディアムを選んでいます。スープラは練習
走行でロングのテストをかけて、これやったらソフトでもいけるということで…。
 GT300が予選で選んでいるのはソフトとミディアム。チームによって選択は異なり
ますが、チーム数でいうと半々くらいですね。*44アペックスDLモモコルセMR2と*81
ダイシンダンロップシルビアはミディアムです。ソフトでもミディアムでも交換は
するでしょう。交換後は、予選では使わなかったハードを使うところがあるかもし
れません」

トーヨー
「ドライ用は3種類持ってきまして、そのうちソフトよりの2種類をテストしました。
その結果選んだのは、ハードより、つまり3種類のうちのまんなかのものです。昨日
はテストのときより涼しかったんで、ちょっと苦しかったですね。交換は4輪ともす
ることになると思います。ライフ自体はだいじょうぶですが、タイヤカスなどを拾う
こともありますから。ここはリアが安定しないと最終コーナーがつらいんですよ」


☆決勝スタート直前情報(12時00分)
天気:晴れ 気温:17度  路面温度:23度
 入場者数:10/25 38,300人(10/24   7,300人)

☆レース中のコメント・状況
#8 FET SPORTS SUPRA
黄旗区間追い越し違反で10秒のペナルティ

#38 FK/マッシモセルモスープラ
野田英樹「クルマはだんだんアンダーが強くなっていった。タイヤにきびしいのは
わかっていたので大事に走った。でも、自分のパートのラスト10周は攻めていった。
オイルが出ていたので安全第一だったけど」

#16 Castrol無限NSX
道上龍「うーん、チギり足りなかったね。だから中子さんのタイヤが温まる前に#18
に抜かれてしまった。コースはオイルが出てて怖かったよ」

#18 TAKATA童夢無限NSX
脇阪寿一「タイヤがきつかった。でも、金石さんはハードのタイヤを選んだんで大
丈夫だと思います。中子さんところはソフトだと思うし」

#64 Mobil 1 NSX
トム・コロネル「トランスミッションかなにか。エンジンの動力がホイールに伝わ
らなくなってしまった。たぶんドライブシャフトだと思う。すばらしいショーが見
せられなくなってしまって残念だよ。ボクらがチャンピオンになるには3位か2位
でゴールしなければならなかったわけだ。不可能なことではなかっただろうし。ボ
クらがいればもっとエキサイティングなレースになったはずだ。エリックたちはチャ
ンピオンを目指していい仕事をした。来年はボクらももっと良くやるよ。ともかく
レースがしたかった。スタートしたかったよ。たとえ自分がミスをしてなにかあっ
たとしてもね。レースを見に来てくれた人たちもね」
山西康司「……ことばがないですね」


◎リタイヤ(GTインサイドレポート班調べ
No.   原因            周回数
-------------------------------------------
#64   駆動系             0L
*51   #88との接触           7L
#30   ミッション           9L
#777   他車と接触           8L
*355   ドライブシャフト       11L
#5   #50との接触→コースアウト    11L
#36   コースアウト          12L
#39   コースアウト          21L
#100   室内から発火         31L
*44   ミッション           46L


☆レース後のコメント
#18 TAKATA童夢無限NSX
金石勝智「最後は、ウチのクルマのほうが軽いぶん最終コーナーでちょっと速かっ
たんで、ヒヤヒヤするということはありませんでした。今シーズン、これまでなん
やかんやあったんで、最後に勝つことができて良かったです。プレッシャー? まわ
りが勝ってないのはオマエんとこだけやって言うんでね」

#16 Castrol無限NSX
中子修「セーフティカーが入る前にペースが落ちたのはボクのミスです。それと再
スタート後もちょっと失敗してしまって…。あそこで#18と離れてしまった。あれが
なければもうひとついいところにいけたかなという感じはありますけど…。まあ、
2位に入れて良かったです」

#37カストロール・トムス・スープラ
鈴木利男「今年はこれまでアクシデントがあったりしてうまくいかなかったんです
が、最後に表彰台に上れて良かったです。#36のほうは上ってたけど、こっちは上れ
てなかったんでホッとしました。MINEの本番くらいからバランスが良くなって、今
回も予選、決勝とまあまあ良かったんです。それにバートが良くやってくれました。
予選でもがんばったし、決勝でもクレバーなドライビングをしてくれました。#38
を抜いたときは、向こうのペースが落ちたんです。今日はスタート時点で晴れてた
し、自分のパートでは一番固いタイヤでいくと決めてました。後ろともあるていど
競ってたけど、24~25秒台でいけばOKだとわかっていたから。ピットアウトすると
きは、タイヤが温まっていなかったんでオットットってなって、久しぶりに身体が
固くなったけどね(笑)」

*25 つちやMR2
舘 信吾「スタートからディアブロがオイルを吹いて、前が見えなくて危なかった
です。ピットインしたかったけど、入ったら負けなので入らなかった。6戦中5勝
というのは自分でもすごいなとビックリしています。チャンピオンを獲れたことも、
そして今日勝てたこともうれしいです」
鈴木恵一「速すぎる? たしかにこのままでいいのかなとも思うけど、来年はみん
な、もっと速くなってくるでしょう。今日は完璧だったけど、ただオイルで前が見
えなくてオレもブレーキポイントがどこにあるのか、カンだけで走ってた。オール
スターは勝ちにいくよ」

*61テイボン・トランピオ・FTO
中谷明彦「路面温度が上がってもタイムが落ちなかった。ヨソはもっと落ちないだ
ろうと思ってたんだけどね。クルマは完璧でした」
原 貴彦「たまにはこう言うこともないとね(笑)。思ったほどタイムも落ちなかっ
たし、自分たちのレースができた結果でしょう」

*19 ウェッズスポーツセリカ
織戸 学「表彰台に入れてよかった。問題なし」
山本勝巳「くやしい。ワイパーを使ったら前が見えなくなってしまった。最終と馬
の背と3コーナーでクリッピングポイントも見えなくて…」

#38 FK/マッシモセルモスープラ
竹内浩典「クルマは悪くなかったんだけど、タイヤのポテンシャルが下がっていっ
てしまった。ボクのタイヤの使いかたがうまくなかったんですね。タイヤを痛めな
いようにしながら速く走らないといけない。そのあたりは利男さんがうまかったと
いうことでしょう。みんなのためにも最後くらいは表彰台に上りたかったんですけ
ど…。山にこもって修行してきます」

#12カルソニックスカイライン
星野一義「シリーズ3位でもよろこばなきゃいけないんだろうけど、オレの宿命と
して絶対チャンピオンを獲らなきゃっていうのがあるからね。来年、そのためのプ
ログラムを組んで、絶対に獲りにいく。アクセルワークも勝とうっていう意欲も若
いドライバーには負けていないっていう自信があるから、来年もかならず走るよ。
チャンピオンをかならず獲る」

#55 STPタイサンバイパー
アンソニー・リード「オイル系のどこかが破損して出火した。ガソリンではなかっ
たんでまだ良かったけど、危うくバーベキューになるところだったよ」


☆レース後の#18 TAKATA童夢無限NSXの失格に関する追加情報
◎状況説明(GTインサイド班)
決勝レース終了(16:17)後に行われた上位入賞車両3台の再車検において、#18
TAKATA童夢無限NSXのリストリクターに違反が発見された。すでに暫定表彰、暫定リ
ザルトの発表(16:35)はされていたが、審査委員会に諮られた結果、違反が確定し、
#18は失格となった。また、これにともない暫定4位の#38 FK/マッシモセルモスー
プラが3位となり、再車検を受けた結果、問題がなかったため、以下の順位が繰り
上がった正式リザルトが発表(19:36)された。

◎大会広報発表(GTインサイド班のメモより)
「決勝レース後の再車検でリストリクター計測をした結果、18号車はこれに当ては
まらなかったと、技術委員長より報告がありました。計測方法は、車種が多数ある
ために、ゴムマリをリストリクターにはめて、アイドリング回転で吸気の供給を止
めて、そのまま規定の5秒以内にエンジンが止まるかを確認しました。18号車は何
回か繰り返したが止まらなかったので違反であると18時30分に裁定した。チームに
通達し、所定の1時間を待って、チームからは控訴がなかったので、18号車を失格
とした正式結果を19時36分に発表しました」

◎童夢レーシングチーム(#18 TAKATA童夢無限NSX)リリースより抜粋
「<略>童夢レーシングチームと致しましてはこの判定の正当性を認めていません
が、現行レギュレーションにおいて、主催者の権限は絶大であり、控訴は形だけの
無意味なパフォーマンスとなるだけですから断腸の思いながら控訴は断念します。
<略>
 1回目の予選終了後、唐突にこのエアリストリクターの検査が始まりました。今
までこんな検査が行われた事もありませんし、この検査ではNG車も多かったのです
が、技術委員は「来期導入に向けての事前テスト」と説明していましたのでチーム
に動揺はありませんでした。
<略>
 また、この検査方法を採用するにしても使用するゴムボールの材質もサイズも、
測定時の接触圧も、エンジン回転数も、いったい何秒で停止すれば良いのかさえ規
定されていませんし、土曜日午前の予選後の検査でNGだった車両の予選タイムは抹
消されていない訳ですから、この時点では「来期導入の為の事前テスト」で非公式
な検査だったはずです。それがチームに対して何のアナウンスも無く、いったいい
つの時点で公式採用となったのでしょう。
<略>
 今年一年、童夢を応援して頂いた関係各位には大変に申し訳ない結果となりまし
たが、日本のレース界では勝っている間は絶えずこの種の問題が発生する事になっ
ていますので、強者を称える勲章の一種だとご理解頂ければ幸いです」
全文はDOME RACING TEAM OFFICIAL HOME PAGE(http://www.dome-racingteam.co.jp/)
に掲載されています。

*3に続く
                       GTアソシエイション事務局
                       GTインサイドレポート班
                       古屋 知幸 = QYB04322 =


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