6月28日、富士スピードウェイで行われたフォーミュラ・ニッポン第4戦は、降りしきる雨のなか他を圧倒する走りを見せたロイック・デュバル(ナカジマ・レーシング)がポール・トゥ・ウィンで今季2勝目を飾った。
昼前から降り出した雨は、決勝スタート時刻の午後2時30分になっても降り続け、コースは完全にウェット。主催者は、高速サーキットの富士であることを考え、安全のためにセーフィティカー(SC)ランによるスタートを選んだ。
スタートから1周、2周と隊列を組んで走るマシン。このSCランがレースの行方を左右することになるかもしれない......実は、ウェットレースになることが決まった時点で、何台かのマシンが無給油作戦を敢行することにしたらしいのだ。
各チームの思惑が交錯するなか、3周を終えたところでSCがコースを外れスタート!
ポールシッター#31デュバルがトップをキープしたまま周回を重ねる。#31デュバルはファステストを刻みながら周回を重ねる。
2位#8石浦、3位#20平手も必死に食い下がるが、ウェットコンディションのなか快走を続ける#31デュバルとの差を詰めることはできず、トップと2位の差は10周目7秒、15周目10秒、20周目15秒と確実に開いていく。
17周目、4位を走行していた#1松田がスロー走行。コースサイドにマシンを停めリタイア。チームメイトの#2トレルイエも前周にトラブルでピットインしており、チーム・インパルは序盤で戦線を離脱することになってしまった。
トップを快走する#31デュバルのペースはレース折り返しを過ぎても衰えることなく、安定したラップタイムで周回を重ねる。2位#8石浦も単独走行になったことで、この時点でレースの興味は、#36ロッテラー、#20平手、#10塚越による3位争いへと移ることになった。
しかし、膠着状態だったレースが34周目に動くことになる。
下位を走行していた#41伊沢がコース上にストップし、SCランとなったのだ。このチャンスにトップ#31デュバル、#20平手、#10塚越、#32小暮、#7国本らが次々にピットイン。給油作業を行う。
38周目を終えたところでリスタート。各車の差も消え、残り17周の勝負が始まった。
この混乱のなかで躍進を遂げたのが、無給油作戦をとっていた#37大嶋と#40ライアン。雨と2度のSCランで燃料の心配もなくなり、後はゴールを目指すだけとなった。
終盤も一人異次元の走りを見せる#31デュバルは、その後も全く危なげなく、そのままフィニッシュを迎えた。一旦消えたはずの2位との差は、フィニッシュ時にはなんと40秒。完勝といえるレースだった。
2位、3位には無給油作戦が見事に的中した#37大嶋、#40ライアンが入った。終盤#8石浦、#20平手が迫ったが逆転には至らず。してやったりの笑顔で表彰台に上った。