Formula Nippon

FN:第6戦SUGO決勝 伊沢拓也選手が参戦5年目にしてフォーミュラ・ニッポン初優勝を達成 (HONDA)

  • 2012年9月23日(日)・決勝  会場:スポーツランドSUGO(3.704km)  天候:雨  気温:18℃(15:00時点) 路面温度:20℃(15:00時点)  コースコンディション:ウエット  決勝レース:68周  観客:8400人(主催者発表)

 9月23日(日)、宮城県・村田町のスポーツランドSUGOにおいて、2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦の決勝レースが開催されました。

fn120923001L.jpg  スポーツランドSUGOのある宮城県地方は、爽やかな秋晴れが広がった昨日とは打って変わり、今日は雨模様となりました。雨脚は次第に強まり、午前10時10分から30分間にわたって行われたフリー走行は、開始時こそコースの一部が湿っている程度のセミウエットコンディションでしたが、セッションの終わりごろには路面全体が完全にフルウエットのコンディションとなりました。

 このセッションでは、難しいコンディションにもかかわらず#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)が1分24秒381を記録してトップタイムを記録しました。また、チームメートの#32 小暮卓史選手もこのセッションでは4番手につけました。さらに、#10 金石年弘選手(HP REAL RACING)は9番手、#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は10番手、#41 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は11番手、スポット参戦の#15 佐藤琢磨選手(TEAM 無限)は16番手、#16 山本尚貴選手(TEAM 無限)は17番手となりました。

 昨日の予選では、#40 伊沢選手がポールポジションを獲得。#41 塚越選手が2番手となったため、Hondaドライバーがフロントローに並ぶこととなりました。さらに、#32 小暮選手は8番グリッド、#16 山本選手は9番グリッド、#31 中嶋選手は12番グリッド、#10 金石選手は13番グリッド、#15 佐藤選手は14番グリッドから決勝のスタートを迎えます。

 午後3時にスタートが切られた決勝レースは、雨のためセーフティカーに先導される形で幕を開けました。このセーフティカーランは4周で終了し、ここから本格的に競技が開始されました。ただし、雨は降り続けているために各マシンからは激しい水煙が巻き上がり、視界が非常に限られたコンディションとなっていました。

 フロントローからレースに臨んだ#40 伊沢選手と#41 塚越選手は順当に1-2フォーメーションを保って1コーナーに進入。ただし、8番手だった#32 小暮選手と9番手だった#16 山本選手はここで軽く接触。#32 小暮選手はリアタイヤに、そして#16 山本選手はフロントタイヤにダメージを負い、相次いでピットに戻りました。2人は修復作業を行ってコースに復帰しましたが、#32 小暮選手は17番手に、#16 山本選手は18番手に後退しました。この結果、#31 中嶋選手は10番手、#10 金石選手は11番手、#15 佐藤選手は12番手となります。

 8周目、ライバルを攻略しようとしていた#31 中嶋選手が接触、フロントウイングにダメージを負ってピットストップを行います。これで#10 金石選手と#15 佐藤選手は1つずつ順位を上げ、#31 中嶋選手は17番手に後退しました。

 #40 伊沢選手と#41 塚越選手はチームメート同士ながら激しいバトルを展開し、序盤より1秒前後のタイム差を保って周回していましたが、#41 塚越選手は14周目のレインボーコーナー付近で軽いコースアウトを喫し、2人の差は3.5秒へと広がります。その後も#41 塚越選手は追撃の手を緩めず、19周目には1秒を切るタイム差となりますが、ここで#41 塚越選手が今度はS字コーナー付近で再びコースアウトを喫します。いずれも、#41 塚越選手の懸命の追走が招いた結果でしたが、2人の間隔が22周目に0.8秒まで近づいた後は次第に広がっていき、26周目には3.2秒差となりました。

 29周目、それまで13番手を走行していた#32 小暮選手がピットインします。ギアボックスが不調に陥っていたためで、この作業によりおよそ6ラップの後れを取ることとなりました。

 32周目、#10 金石選手がピットストップを行います。タイヤ交換は行わずに給油のみを行い、およそ13秒間の停止時間でピットアウトし、コースに復帰しました。34周目には#15 佐藤選手もピットストップ。#10 金石選手と同様、給油のみ行い、13秒ほどでピットアウトしました。これにより、#15 佐藤選手は#10 金石選手の直前でコースに復帰し、実質的に1つ順位を上げることに成功します。

 このころになると雨は少し小降りになり、各ドライバーともややペースアップしながら周回を重ねていきますが、依然としてマシンから巻き上げられる水煙の量は多く、容易にはオーバーテイクできない状況が続きます。

 一方、後続を突き放す速いペースで走行を続ける#40 伊沢選手と#41 塚越選手はピットストップのタイミングを引き延ばし、1-2フォーメーションを保ったまま順調に周回を重ねていきます。結果的に#41 塚越選手がピットストップを行ったのはレースが終盤に入った49周目。#40 伊沢選手は2周後の51周目にピットストップを行いましたが、2人とも作業は順調に終了し、#40 伊沢選手が首位、#41 塚越選手が2番手という順位を守ってコースに復帰しました。

 全ドライバーがピットストップを終えた52周目の段階で、トップは引き続き#40 伊沢選手。滑りやすい路面のため、ミスを犯すドライバーが多いなか、#40 伊沢選手は安定したペースで走り続け、2番手を走る#41 塚越選手との差をこの時点で8秒まで広げていました。Honda勢で2人に続いていたのが#15 佐藤選手。得意のウエットレースとあって、14番手スタートながらこの時点で10番手まで駒を進めていました。#10 金石選手はその直後にあたる11番手。#31 中嶋選手は14番手、#16 山本選手は16番手、#32 小暮選手は17番手となってフィニッシュを目指していました。

 レースが終盤を迎えても雨は降り続けていましたが、雨脚はいくぶん弱まっており、レース前半に比べればコンディションは改善していました。57周目、ライバルの1台が最終コーナーでメカニカル・トラブルを起こし、最終コーナー付近のグラベルベッド上で立ち往生してしまいます。このため、停車したマシンを安全に排除するため、レースは再びセーフティカーランとされました。

 この作業が終わってレースが再開されたのは64周目のこと。そのリスタートでは#10 金石選手が#15 佐藤選手をオーバーテイク。さらに、上位陣でアクシデントがあってライバルの1台がコース上でスピン。#15 佐藤選手はこれを避けるためにコースアウトを余儀なくされ、別のライバルに抜かれて1つポジションを落とします。

 結果的に7人のHondaドライバーはこの順位を保ったままチェッカーフラッグを受けました。優勝は、難しいコンディションのなか、終始安定したペースで走りきった#40 伊沢選手。これがフォーミュラ・ニッポン参戦5年目にして初の栄冠となりました。

 2位はチームメートの#41 塚越選手で、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは第3戦オートポリス大会に続き今季2度目の1-2フィニッシュを果たしました。そして#10 金石選手は7位でポイントを獲得。フォーミュラ・ニッポンの公式戦は今回が初出場となった#15 佐藤選手は、ポイント獲得まであと一歩の9位でフィニッシュしました。さらに#31 中嶋選手は12位、#16 山本選手は14位となりましたが、59周を走った#32 小暮選手は周回不足のため完走とは見なされませんでした。

 この結果、今回8点を獲得して合計37点とした#41 塚越選手はドライバーのシリーズポイント争いで2番手に浮上。ポイントリーダーと1点差で最終戦鈴鹿大会に臨むこととなりました。一方、これで通算32点を獲得した#40 伊沢選手はランキング4番手に浮上。ポイントリーダーとの差は6点となり、最終戦鈴鹿大会での逆転タイトル獲得の可能性を残す状況となっています。合計4点の#16 山本選手は引き続きランキング10番手。一方、7位フィニッシュで今シーズン初入賞を遂げた#10 金石選手は2点を獲得し、ランキング11番手となりました。

 1大会2レースとなる最終戦は11月3~4日に鈴鹿サーキットで開催されます。

坂井典次(Tenji Sakai)|「HR12E」開発責任者
 「オートポリスに続いて1-2フィニッシュを果たすことができ、大変うれしく思っています。今回は後半戦に向けてエンジンを開発した成果を発揮することができました。シーズン前半は苦戦していたNAKAJIMA RACINGの2台は、今回もアクシデントなどに巻き込まれて結果を残せませんでしたが、決勝レース中のペースはとても速かったので、この点には満足しています。最終戦が行われる鈴鹿サーキットは、このスポーツランドSUGOとよく似たキャラクターなので、またいい結果を残せると確信しています。ぜひとも最終戦で2連勝してタイトルを獲得したいと思います」
伊沢拓也選手(優勝 #40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 「今回はチームが用意してくれたマシンが本当に走りやすかったので、それを信じて最後まで走りきりました。初優勝を果たすまで5年もかかってしまいましたが、ここまで僕を信じてサポートしてくださったDOCOMO TEAM DANDELION RACINGとHondaにはとても感謝しています。また、長い間お待たせして申し訳なかったと思っています。予選が行われた昨日も、優勝できた今日も、精神的にはとても落ち着いていました。SUPER GTで初優勝したときもそうでしたが、優勝できるときは自分の周囲がよく見渡せる、いつもとは少し違った感覚になるようです。最終戦では、ポールポジションを獲得して2レースとも勝たないとチャンピオンを取れないと思うので、細かいことは考えずに全力でレースに挑みたいと思います」
塚越広大選手(2位 #41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
 「レース前半は伊沢選手よりも速いペースで走れていたので、文字どおり身を削りながら周回を重ねていましたが、少し無理をしすぎて2回コースアウトしてしまいました。それ以降は、伊沢選手に少し離される形になりました。レース終盤は、3番手のライバルが追い上げていることに気づいていたので、最後はプッシュして2位を守りきりました。今回のレースでは、走り始めのちょっとしたつまずきが最後まで影響してしまったように思います。それだけ現在のフォーミュラ・ニッポンはシビアな戦いになっているのです。最終戦は、とにかく勝ちたいと思っていますので、しっかり勝ってチャンピオンになることを目標にレースを戦います」
佐藤琢磨選手(9位 #15 TEAM 無限)
 「最後のリスタートでは、前を走るライバルをオーバーテイクできると思っていましたが、最終コーナーでは黄色の信号がまだ点滅となっていたので、少しマージンを保って走っていたところ再スタートとなり、1つポジションを落とす結果となりました。さらに、その直後には上位陣でアクシデントがあり、コース上でスピンしたマシンが僕のほうに向かって動いていたため、コースの外に出てこれを避けることになりました。結果的には悔しいレースとなりましたが、予選を含め、本当に小さなところで思うような成績を残せなかったように思います。ただし、今回のレースで貴重なデータも収集できたので、次の鈴鹿大会では思いっきりレースを戦うつもりです」
Text & Photo: HONDA


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