2025年JAF筑波・富士スーパーFJ選手権シリーズ地方権第8戦決勝が11月8日(土)に富士スピードウェイで行われ、ポールポジションからスタートの吉田馨(TAKE FAST KKS-2)がホールショットを奪うと12周のレースを制して優勝を飾った。
決勝のスタートは定刻の午前10時40分。予選終了からわずか2時間のインターバルでコースインが始まった。予選開始早々にストップしてしまった津田充輝(ファーストガレージKK-SII)はデフのトラブルが修復できずリタイヤとなり、29台がスリックタイヤで決勝にのぞんだ。時折陽がさすもののほぼ曇天のコースは気温12度、ドライコンディションの路面温度も低いままのようだだ。
フォーメーションラップを終えて全車スタートを切ると、フロントロウの吉田、箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SII)は好発進、一方3番手スタートの濵邊誠己(ELEVレーシングKKS2制動屋)の蹴り出しがやや悪く4番グリッドの切替悠喜(ファーストガレージRSD制動屋)が先行して加速する。
ポールポジションの吉田がホールショットを奪ってTGRコーナーへ飛び込む。箕浦に続いて切替が並びかけてターンインするが、インを押さえた箕浦が前。4位に落ちた濵邊の後方で7番グリッドからダッシュを決めた武者利仁(KF MOTORSPORT KK-S2)がストレートエンドまでに6番手杉田悠真(LAPS with REV RACING GARAGE)を仕留めて、さらに5番手石井大雅(ファーストガレージ制動屋SII)のインからTGRコーナーへ。石井は粘って武者と並んでターンするが、出口では武者が5位に浮上する。
箕浦と切替は勢い余ってコカ・コーラコーナーでアウトに飛び出すがそのままコースに復帰。後方でも武者と濱邊のラインがワイドになりコース外へ。これで石井が武者を逆転、濱邊のアウト側に並んで100Rを通過、アドバンコーナーでは濱邊のインから4位を狙うが立ち上がりで加速のよかった濱邊が順位を守る。ラインがタイトになった石井に対して武者が迫るとダンロップコーナー入り口でインを突いてオーバーテイク、5位を奪い返す。
2位以下のバトルをよそにトップ吉田はどんどんギャップを築いて1.820秒差でオープニングラップを終了、2位箕浦と3位切替は0.365秒差と接近戦。4位濱邊と5位武者はそれぞれ0.6秒の間合いで続く。6位に落ちた石井に今度はYOSHIDA KODAI(T's TECHNO)が襲い掛かり、GR GTコーナーでオーバーテイク。これで6位YOSHIDA、7位石井の順に。今回6台が出場のジェントルマンクラスでは畠山退三(Hobby Base& zap-ED)が15番グリッドから14位にひとつ順位を上げてクラストップ。
2周目、吉田は早くもラップタイムを1分51秒台に入れて2位箕浦と2.709秒の差。切替が第3セクターで箕浦に接近するとストレートではテール・ツー・ノーズ状態の0.126秒差。4位濱邊~5位武者~6位YOSHIDA~7位石井までが0.3~0.6秒程度の差で続いている。3周目に入ったストレートエンドでは箕浦のスリップストリームから抜け出た切替が右サイドから並びかけると、サイド・バイ・サイドでTGRコーナーへ。インを押さえた切替が箕浦の前に出る。YOSHIDAに6位を奪われた石井もストレートエンドで逆転、6位を奪い返す。
さらに後方では松原将也(ZAP MARUTOKU 10VED)~板倉慎哉(AMORE with Racing F)~杉田悠真(LAPS with REV RACING GARAGE)の8位グループと林零仁(KSJC KK-SII)~畠山~藤井翔大(Drago CORSE)の11位グループがそれぞれコンマ数秒のワンパックになってTGRコーナーに殺到する。8位グループのバトルは3ワイドでコカ・コーラコーナーへ飛び込むと立ち上がりで真ん中から先行した杉田がスピン、松原と板倉はそれぞれに回避する。オープニングラップに6番グリッドから8位まで順位を落としていた杉田は再スタートするも28位まで順位を落としてしまう。さらに後続の11位グループでも畠山がスピン。こちらも19位まで落ちるが、ジェントルマンクラストップはかろうじて死守、しかし1.2秒後方にクラス2位の秋山健也(スーパーウィンズKKS2)が迫る。
2位に上がった切替だが箕浦の攻めが厳しく防戦一方。ここに濱邊と武者も追いつき4台がトレイン状態で3周目のダンロップコーナーを通過。ストレートに戻ってくると4台が0.8秒以内に連なって4周目へ。ストレートエンドでは切替~箕浦~濱邊が3ワイドになってTGRコーナーへ。ブレーキングでイン側切替、アウトに箕浦がつけてターンイン。濱邊はいったん引いて2台のバトルを見守るが、コーナリングで前2台がややワイドなラインでやりあうスキに仕掛けて箕浦を仕留めて切替に並ぶ。さらに武者も箕浦に先行。一瞬の攻防で箕浦は5位にドロップ。コカ・コーラコーナーでは切替が前で進入するがアウト側のラインでスピードを乗せた濱邊がサイド・バイ・サイドから前に出て100Rへ。しかしアドバンコーナーでは切替がインから差し返して2位を奪い返す。箕浦も武者のインから仕掛けるが、武者が粘って4位を守る。3位に落ちた濱邊だがダンロップコーナーに向けてアウトからブレーキング勝負を挑むとここに武者が割り込んでいく。これで濱邊はディフェンスラインを取らざるを得ず切替を逃がしてしまう。濱邊~武者~箕浦、さらに石井とYOSHIDAまで5台がワンパックになって13コーナーへ飛び込む。パナソニックオートモーティブコーナーではYOSHIDAが石井のインから並んで出口からの加速勝負へ。わずかに石井が前に出てコントロールライン上では0.096秒の差。
2位グループが激しくやりあう間にトップ吉田は4.972秒の大差をつけて4周目を終了。切替~濱邊~武者~箕浦~石井~YOSHIDAの2位グループは約2秒の中に6台が連なって5周目に入ってもバトルを継続。まずTGRコーナーで濱邊がアウトから切替に仕掛けるがここは切替が守る。アドバンコーナーでは箕浦が武者のサイドに並びかけるとダンロップコーナー出口からのシケインでサイド・バイ・サイドになりGR GTコーナーでインからノーズを前に出す。2台はそのままコーナーを抜けようとするがここで箕浦が武者を押し出すような恰好になり武者コース外へ。すぐにコースに戻った武者が箕浦を抑えるが、パナソニックオートモーティブコーナーで箕浦がクロスラインを取る取って差すとで出口では再び武者を牽制。この動きの間に石井とYOSHIDAも2台にくらいつき4ワイドでストレートを加速。ピットウォール側からYOSHIDA~箕浦~武者~石井が並走するとコントロールライン上ではYOSHIDA~(0.012秒)石井~(0.016秒)武者~(0.008秒)箕浦という順になって6周目へ。TGRコーナー進入では武者が先行、他の3台は3ワイドのままでターンするも真ん中の箕浦とアウト側石井が接触。石井はハーフスピンで大きくポジションを落としてしまう。これで4位武者、5位YOSHIDA、6位箕浦の順に。
トップ吉田は6周目6.303秒差と独走状態でレースは後半戦へ。いつの間にか2位切替に3位濱邊が0.230秒とテール・ツー・ノーズに接近。7周目なると4位武者を挟んで5位YOSHIDA0.391秒、6位箕浦0.053秒と再び緊張が増してくる。箕浦は7周目に1分51秒000という本日のファステストラップを出して、続く8周目に入るとストレートでYOSHIDAの右サイドに出てTGRコーナー進入でインからサイド・バイ・サイドでコーナーを抜けてオーバーテイク、5位に上がる。10周目に入ると切替と濱邊の2位争いが0.268秒差と白熱。TGRコーナーで濱邊がインから切替をオーバーテイク、2位を奪い取る。切替はダンロップコーナーへのブレーキングでインから差し返して2位を奪回するが、ストレートに戻って濱邊が再び前に出て0.071秒差でコントロールラインを通過して11周目へ。しかし濱邊のスリップストリームを使った切替がTGRコーナー入り口で再逆転。これで切替2位、濱邊3位。4位武者と5位箕浦も背後につけている。一触即発のまま第2セクターを通過。ダンロップコーナーへ向かう300Rで箕浦が武者のアウトから大外刈りでオーバーテイクして4位。2位切替と3位濱邊が0.005秒差、4位箕浦と5位武者が0.118秒差でファイナルラップへ突入する。
まず濱邊が切替の左サイドに出て横並びに。そして武者は箕浦の右サイド、ピットウォールぎりぎりから前を狙っていく。濱邊はストレートエンドまでにいったん2位に上がるが仕掛けが早すぎたかTGRコーナーへのブレーキングで切替にインから差されてしまう。武者はコーナーへのエントリーで箕浦を仕留めて4位を奪い返すと、さらに表彰台を目指して切替とバトルを続ける濱邊にコカ・コーラコーナーでインを差しに行く。ここに箕浦も参戦、出口でアウト側にコースアウトしながら武者の前に出る。テール・ツー・ノーズでシケインを抜けた切替と濱邊はそのままパナソニックオートモーティブコーナーを出てチェカードフラッグが待つフィニッシュラインへと加速。ぎりぎりまで切替のスリップストリームを使った濱邊が直前で抜け出し左サイドに並びかけると僅かに鼻先を前に出して2位に先着。切替は0.060秒の差で3位となった。優勝の吉田はこの2台のはるか前方、8.960秒の差で優勝した。
以下箕浦、武者、YOSHIDAというトップ6でレースはフィニッシュしたが、箕浦はファイナルラップのオーバーテイクがランオフエリアからだったということでゴールタイムに5秒加算のペナルティが課せられ5位に降着、これでYOSHIDAが4位、さらに武者についても危険な追い越しがあったとのことで30秒が加算されてリザルト上は18位ということになり、替わって酒井翔太(ファーストガレージkks2)が6位ということになった。
ジェントルマンクラスは総合16位の畠山がクラス優勝、総合20位の秋山がクラス2位、総合22位の野村大樹(WRS NOMURA KKS-2)がクラス3位となった。
2025年S-FJ筑波・富士シリーズはこれにて終了。シリーズタイトルは 津田充輝がチャンピオンを獲得した。富士スピードウェイでは12月20-21日にスーパーFJ日本一決定戦が行われる、熱いシーズンはまだ終わらない。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA
















