2025オートバックス スーパーGT第6戦「SUGO GT300kmレース」の決勝が9月21日、宮城県村田町のスポーツランドSUGOで行われ、GT500クラスは予選5位からスタートした24号車リアライズコーポレーションADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が熾烈なトップ争いを勝ち抜き、今季初勝利をものにした。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選日9700人/決勝日17,200人/大会総入場者数26,900人)
ウォームアップ走行で4号車グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝/片岡龍也)の右リヤタイヤが脱落。ピット出口でストップするアクシデントにより赤旗中断となった影響もあり、第6戦決勝は当初予定より10分遅れの午後1時40分に宮城県警の先導によるパレードランを開始、一周のフォーメーションラップに続いてスタートした。
ホールショットを決めたのはは大津弘樹(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16)。2番手に関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)、佐々木大樹(Niterra MOTUL Z)が3番手と、上位陣は予選順位のまま3周を消化する。
しかし4周目の1コーナーで松田次生(リアライズコーポレーションADVAN Z)が大外から山下健太(au TOM'S GR Supra)を抜いて4番手に浮上すると、2番手を走る関口も16号車との差を縮めにかかり、6周目の1コーナーで大外からこれを捉えてトップに躍り出た。
その後方では予選8位の小出峻(Astemo CIVIC TYPE R-GT)と予選10位の笹原右京(Deloitte TOM'S GR Supra)も一つずつ順位を上げている。
24号車の松田は9周目の1コーナーで3号車を抜いて3番手に浮上、14周目の2コーナー立ち上がりでは16号車に並びかけ、3コーナー手前で2番手に浮上してきた。
後方では15周目の1コーナーで小出が大外から山下健太(au TOM'S GR Supra)を抜いて5番手に。山下はその後も野尻智紀(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8)や伊沢拓也(Modulo CIVIC TYPE R-GT)の先行を許すなど、苦しいレースを強いられる。
16周目には小出が3号車を捉えて4番手に浮上。
しかし上位陣が18周目に入ったところで、平良響(HYPER WATER INGING GR86 GT)がトラブルによりコース脇でストップしたことにより、この日最初のフルコースイエロー(FCY)が宣言され、20周目に解除となる。
この時点での39号車のリードは1秒394。そこから関口は22周目までに3秒498のリードを築くが、周回遅れに詰まったところを24号車の松田は見逃さず、23周終わりのホームストレートでアウトから39号車を抜いてトップに躍り出た。
しかし24号車も周回遅れをかわす際にタイヤにピックアップを拾ってしまい、ペースを落とさざるを得なくなる。すると関口がすかさず26周目のヘアピン立ち上がりで24号車を抜き返してトップを奪い返した。
この時点の順位はトップが39号車、2番手に24、16号車が3番手につけ、以下17号車、8号車、64号車と続く。
そして規定周回の1/3となる28周目には4番手の17号車を筆頭に8号車、3号車、1号車らが相次いでピットイン。
続いて29周目に16号車、64号車がピット作業を行なった。
一方、2番手の24号車は39周目、トップの39号車は42周目まで引っ張ってようやくピットに飛び込んだ。
この間に24号車がアウトラップで17号車の塚越広大と64号車の大草りきの先行を許す場面があったが、24号車の名取鉄平は43周目に64号車を抜き返し、ポジションを一つ戻している。
そして43周目に山本尚貴(STANLEY CIVIC TYPE R-GT)、44周目に石浦宏明(KeePer CERUMO GR Supra)がピットインしたことで、GT500クラスは全車がピット作業を完了。ここで39号車がトップに返り咲くが、この周で26号車ANEST IWATA RC F GT3(イゴール・オオムラ・フラガ/安田裕信)はトラブルによりピット出口でストップしてしまったため、この日2回目のFCYが宣言されてしまった。
車両回収ののち47周終わりでFCYは解除となるが、48周終わりのホームストレートで藤井誠暢(D'station Vantage GT3)と平中克幸(シェイドレーシングGR86 GT)が絡むアクシデントが発生。これに64号車が巻きこまれてピット入り口のバリアに突っ込んでしまったため、直ちにセーフティーカーが導入され、50周目には赤旗が提示される事態となってしまった。
幸いどのドライバーにも大きな怪我はなかったが、レースは車両回収とコースの修復のために長時間の中断を余儀なくされ、午後4時になってようやくセーフティーカーの先導で再開となる。
最大延長時間は午後4時30分。残り周回の34周を消化することはほぼ不可能。フルポイントの条件となる規定周回の75%の63周を消化できるかどうかという状況だ。
SCは54周を消化したところでようやくピットへ。しかしその直後に篠原拓朗(PONOS FERRARI 296)がコース上でストップしたために3回目のFCYが宣言される。
FCYが解除され、追い越しが可能となったのは58周目。残り時間は14分を切った。あと5周で75%には到達する。あとはどこまで周回が可能となるかだ。
そして60周目の1コーナーで名取が大外から17号車をパスして2番手に浮上、そのまま39号車を追い上げて僅か0秒735差でコントロールラインに戻ってきた。63周目にはその差が0秒165まで詰まった。39号車はすぐ目の前だ。
名取は65周目の1コーナーで大外からアタックを試みるが、これは実を結ばず、24号車は大きくアウトに膨らんで2コーナーを立ち上がることに。すぐ後ろには17号車が迫ってきた。
その後も1コーナーや馬の背で39号車に仕掛けるそぶりを見せる名取。しかし39号車のサッシャ・フェネストラズも巧みなライン取りでこれを許さない。
しかし最大延長時間が目前に迫る70周目にレースは動く。
馬の背コーナーで39号車にアウトから挑みかかった名取は、抵抗するフェネストラズをSPインでねじ伏せ、遂にトップに躍り出ると、39号車、17号車を僅差で従えたままSPアウトそして最終コーナーを駆け抜けてそのままチェッカー。24号車リアライズコーポレーションADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が待望の今季初優勝を手にした。
昨年GT500クラスに昇格した名取鉄平にとってはこれがクラス初優勝。松田次生にとっては2023年4月の第1戦岡山以来の勝利。そして参戦201戦目にして通算最多の25勝を手にすることとなった。
なおKONDO RACINGにとっては2016年11月の第3戦もてぎ以来、実に9年ぶりの勝利となった。
2位の39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)との差は0秒649、その0秒237後ろに3位の17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)が続くというまさに大接戦となった。
次戦の舞台は九州のオートポリス。第2戦富士以来の3時間レースが10月18-19日に行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIROPhoto: Kazuhiro NOINE






