SUPER GT

吉本大樹レースレポート スーパーGTシリーズ第5戦(菅生)

==============================================================================
【吉本大樹レースレポート スーパーGTシリーズ第5戦(菅生)】 25-26 July, 2009
==============================================================================
■アップル・K-one・紫電■
■決勝終盤の追い上げで、殊勲の2位表彰台獲得!!■
pic.jpg
【Result】
(Sta) FP : 2nd / QF : 5 th / SL : 4 th
(Sun)FP : 2nd / Final : 2nd (18pt)
(Ranking) 3 rd (59 pt)

==============================================================================
【Free Practice】
==============================================================================
 過酷なハンディを抱えながらも、紫電2番手発進!

前戦マレーシアで劇的な大逆転優勝を果たしたアップル・K-one・紫電はチームランキングでも一気に4位に浮上、一躍今シーズンのタイトル争いに名乗りを上げた。しかし今回、元からの特別性能調整と前戦の結果から積まれたウェイトはトータル142kg(車輛のトータル重量は実に1292kg)。さらに紫電が負うハンディは重量だけではなく、エンジンパワーを大きく左右する「リストリクター」のサイズにもある。ここからのシリーズタイトル争いの主導権を握るには今回のSUGOラウンドの結果も大きく影響してくると考えられるなか、300クラスに出場している全GTカー中「最高重量、最低リストリクター」での戦いを強いられる事となった紫電。今回のSUGOラウンドは、その紫電がどんなパフォーマンスを見せるかに注目が集まった。

迎えた土曜日午前の公式練習。この日は前日まで降っていた雨もやみ、セッションは青空も覗く天候のなか開始された。紫電は加藤選手⇒吉本⇒加藤選手の順にドライブ。チェックや予選へ向けたセットアップを行っていく。しかし砂埃などで路面コンディションが悪く、セッション開始から1時間ほどが経過したところではスピンやコースアウトをするマシンが続出。途中1台のマシンがスピンを喫しそのままバリヤにクラッシュした事でコース上には赤旗が提示され、セッションが8分程中断される一幕も。そんななか紫電は最終的に37周を走行、ウェイトやパワーで抱えるハンディを埋めるセットアップを模索していくと、最後はトップから0.122秒差の2番手タイムをマーク。予選、決勝では厳しい戦いも予想されるなか、何とか上々のスタートを切る事に成功した。

==============================================================================
【Qualify~Super Lap】
==============================================================================
 予選1回目を5番手で通過、SLでは4番手を確保

午前中に比べさらに青空が広がり、気温も上昇するなか始まった公式予選1回目。

まずは吉本が基準タイムクリアのための計測を2周行い、その後すぐさまピットイン。代わってステアリングを握った加藤選手がアタックへと出て行く。するとその加藤選手は午前のフリー走行同様、ここでも完璧なアタックをみせる。確実に厳しい状態となっていたマシンを巧みに操り、「ここからはさすがにウェイトが響いてくるのでは・・・」というチームの心配を吹き飛ばす1'25"193をマーク。何と5番手に飛び込みスーパーラップ(SL)に駒を進めることとなった。

そしてその後1時間半弱のインターバルを挟み行われた注目のSL。朝からの日差しも若干和らぐ上々のコンディションのなか、紫電は加藤選手がステアリングを握り8台中の4番目でタイムアタックへと向かう。すると加藤選手はここでも抜群の集中力を発揮、またしても「完璧な」アタックを成功させ、予選1回目のベストタイムを更新する1'24"699をマーク。後からアタックを行ったNo.81(ダイシンアドバンFerrari)、No.33(HANKOOK PORSCHE)、No.43(ARTA Garaiya)には上を行かれたものの、最終的に予選1回目の5番手からひとつポジションを上げ、翌日の決勝をフロントローとなる4番グリッドからスタートする事となった。

==============================================================================
【Final】
==============================================================================
 不安定な天候で見せた快走!
 最後の最後は優勝に一歩届かずも、見事な2位フィニッシュ!

ウェイトやリストリクター径で抱えるハンディから、今回のSUGOはかなりの苦戦が予想されたアップル・K-one・紫電。しかし、ウェイトやパワーで抱えるハンディを埋めるセットアップを模索し続け初日から常にトップ5圏内でレースウィークを組み立ててきた紫電は、この日午前中のフリー走行でも2番手タイムをマーク。「決勝はタフな戦いになる(吉本大樹)」としながらも、一つでも前のポジションを奪還するための戦略を練り、午後のスタートを迎えることとなった。

決勝直前のコースコンディションは気温30℃、路面温度は42℃。ストレートにはやや強めの向かい風が吹いているものの、天候は晴れで路面もドライ。最終コーナー後方には黒い雲も確認されたが、予報では「18時から雨」と、まだ雨が降りだす気配はない。そして迎えた14時ちょうど、各マシンがゆっくりとしたローリングから最終コーナーを立ちあがってくるとストレート上ではグリーンシグナルが点灯、いよいよスーパーGT第5戦の決勝の幕が切って落とされた。

紫電のスタートドライバーを務めたのは加藤選手。ところがこのスタートではトップ車輛がかなり手前から加速し始めてしまったため、パワーの劣る紫電は最終コーナーの登りで加速が鈍り1コーナーまでにひとつポジションダウン。その後も加藤選手は抱えたハンディが影響しペースを上げられず、No.26(UP START タイサンポルシェ)等にも交わされ一時は7番手にまでポジションを落とす等、その後の厳しい展開が予想される序盤戦となっていく。ところがレースも中盤に差しかかろうかという24周目、サーキットの上空はとうとう黒い雲が覆いはじめ、その2周後にはついに最終コーナー付近で雨が落ちはじめる。さらにその雨は27~29周目にかけてコースの全域で降りだす展開となり、その後一気に雨脚が強まっていくと、ここで各マシンが一斉にピットイン。紫電もさらに雨脚の強まった33周目にピットに戻りタイヤ交換&吉本へとドライバーチェンジを行う。

するとその吉本はコースイン後のアウトラップで果敢にオーバーテイクをしかけていき3番手までポジションアップ。「フロントガラスが曇ってドライブが難しい状況だった(吉本大樹)」とはいうものの、タイヤをセーブしつつも好ペースを維持、ドライでは不可能だった「トップ集団に勝るペース」で走行を重ね、36周目にはNo.11(JIMGAINER ADVAN F430)をパスし2番手にポジションアップ、そのまま前を行くトップNo.81(ダイシンアドバンFerrari)を追っていく。

ところがここからはまたしても天候とコースコンディションが変わりはじめ、レースは50周を終えたあたりから更なる動きを見せていく。まずレース中盤から強まり続けた雨が徐々に弱まり始めると、58周目には各マシン後方からの水けむりも上がらなくなり、吉本からは「タイヤの状況が渋くなってきた。ドライタイヤを用意しておいてほしい。」との無線が入る。そしてすでにドライタイヤへ交換していたマシンのペースが上がってきたあたりで、吉本は「ドライでも十分走れる」と判断しすぐさまピットイン。難しい状況判断ではあったものの、タイヤをドライタイヤに履き替え4番手でコースに復帰すると、ここからレース終盤にかけての劇的な追い上げが始まった。

ドライタイヤに履き替えた吉本は、アウトラップではタイヤの冷えた状態で後ろから迫るマシンに着かれたものの、ここは何とかポジションをキープ。この後空からはまたしても雨粒が落ち始めたものの、レース中盤程の雨量にはならず、吉本はウエットタイヤ勢よりも明らかに速いペースでラップを刻んでいく。途中「ハイポイントコーナーで500クラスのマシンにぶつけられた」とコースオフする一幕もあったものの、終盤に入ると吉本はさらにペースアップ。ウエットタイヤのままだったNo.81(ダイシンアドバンFerrari)の1分44秒台のラップタイムに対し、1分31秒台でのラップを重ね、背後に追い付くとすぐさまこれをパス。再度2番手のポジションを取り戻すと、さらにトップを行くNo.33(HANKOOK PORSCHE)との差も一気に詰めていく。

No.33(HANKOOK PORSCHE)はインターミディエイトを履いていたため他のウェットタイヤ装着マシンよりも若干ペースが早かったものの、ドライタイヤの吉本は1周につき10秒程も速いペースで追い上げ、その差はラスト2周となった時点で20秒。さらにこのラップを1分29秒台で駆け抜けると、最終ラップに入った時点でその差は10秒に。計算上では最終コーナー辺りでトップが見える状況となり、ピットではチームスタッフが固唾を呑んでモニターを見つめる。しかし最後の最後でウエットタイヤを履く500クラスのマシンが間に入ってしまったためコーナリングスピードを上げられず、最後は2.299秒及ばず2位でフィニッシュ。惜しくも優勝は逃したものの、ドライでは到底成しえなかった結果を手中に収めこのSUGOラウンドを終えることとなった。

これで紫電のチームランキングは3位に浮上。トップとの差はわずか6ポイントとなり完全にタイトル争いの渦中に身をおくこととなった。次戦は鈴鹿の700Km耐久レース。今回の結果でさらにウェイトが積まれる事にもなるため依然厳しい状況が続く事は予想されるが、序盤戦の出遅れから勢いを完全に取り戻した紫電の、さらなる快進撃が期待される。

==============================================================================
【吉本大樹コメント】
==============================================================================
我々のマシンは現在1290kgオーバーという300クラスではもっとも重いマシンで、正直SUGOは相当苦しい戦いになると覚悟していました。

フリー走行では相手が何をしているのか分からなかったので2番手ではあったものの楽観視はできませんでした。予選でセカンドローに入れたのは加藤さんの完璧中の完璧のアタックのおかげです。正直驚きました。

それでもレースが厳しい展開になることは朝のウォームアップで覚悟しました。案の定レース序盤は苦しい展開が続きましたよね。でも雨が近づいているのは分かっていたし、それが我々にとってプラスになればと思っていたら本当に恵みの雨になってくれました。ピットインのタイミング、アウトラップからのタイヤのパフォーマンス、ウエット中のペース、ドライタイヤへの交換のタイミング、ピット作業、全てが完璧に働きました。

途中の接触がなければ必ずトップに追いつけていたとは思いますが、2位でも大満足のレースです。本当に全てが完璧でした。
チームの皆、スポンサー様、加藤さんと得た結果です!

ここ2戦は良い流れできているので、更に重く厳しいレースになる次戦もこの流れを維持していける様に頑張ります!
応援してくださった皆さんありがとうございました!!
==============================================================================



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース