2025年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第3戦決勝が5月25日(日)に筑波サーキットで行われ、ポールポジションから発進の津田光輝(ファーストガレージ制動屋KKS2)が2番手スタートのチームメイト切替悠喜(ファーストガレージRSDS2)をスタートから引き離すと、まったくチャンスを与えないままフィニッシュまで走り切り優勝した。
午前の予選に続いて18周または30分間の決勝はタイスケから3分遅れで午後2時21分フォーメーションラップ開始。朝からどんよりと曇ったままの筑波サーキットは気温18.9度、路面温度23.4度と予選からほとんど変わっていないが、ほぼドライコンディションになった。10台全車がスリックタイヤでグリッドに整列するとレーススタート。
フロントロウの津田、切替は好スタートを切ったが、セカンドロウ3番グリッドの酒井翔太(ファーストガレージ制動屋2)は蹴り出しが弱くスタートに失敗、4番グリッドのマスターズクラス畠山退三(kks2)、5番グリッドの秋山健也(スーパーウインズKKS2)の後塵を拝する形で第1コーナーへ加速する。後方では7番グリッドの相田有羽音(ZAP SPEED 10VED)が出遅れて、8番手スタートの佐藤颯太(ELEVレーシング10VED)が先行。佐藤は第1ヘアピンの進入で前を行く澤井良太朗(R.S studio with MGRS)のインを差し6位へ、さらには10番手スタートだったベテラン内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)も第1ヘアピンで相田のインを突いて前に出る。これで内藤8位、相田9位。
スタートに失敗で5位に落ちた酒井だが、第2ヘアピンからの立ち上がりで秋山の背後につけると、バックストレートで右サイドに並びかけて最終コーナーのイン側からオーバーテイク、4位に上がる。
オープニングラップを終えてトップ津田は2位切替に早くも1.004秒の差。3位畠山、4位酒井、5位秋山、6位佐藤と続く。2周目に津田と切替の差は1.518秒となり、早くも津田が突き放しにかかる。一方3位グループは接近戦。切替から2秒近く離された畠山のペースがやや悪く、4位酒井が0.103秒差、5位秋山も酒井と0.209秒差と3台が連なった状態で3周目、酒井はS字を畠山とサイド・バイ・サイドで通過すると第1ヘアピンでオーバーテイク。3位にポジションを戻すが、2位切替とはすでに3.159秒の差がついている。4位に落ちた畠山に今度は秋山がプレッシャーをかけて0.149秒差でチャンスをうかがう。
4周目、津田は58秒871とここまでの最速タイムで切替に1.876秒の差。さらに5周目、6周目、7周目と毎ラップ最速タイムを更新する勢いでリードを2.038秒まで拡大する。切替も58秒台で追随しているが、100分の数秒ずつ引き離されていく。3位に戻った酒井はこの2台のペースについて行けず、4秒以上遅れている。いつもの酒井らしからぬ走りの原因はエンジンがたまにパラつくことだと予選後に話していたが、決勝でも症状が改善していないのか? それでも4位畠山を1.478秒離して走行。その畠山を追うのが同じマスターズクラスの秋山だが、4周目に0.373秒差まで接近したものの、そこからじわじわ畠山が逃げて7周目には0.704秒の差。6位佐藤、7位澤井と続き8位にはスタート失敗で1周目に9位まで順位を落とした相田が内藤を仕留めてポジションアップ。
9周を終えてレースは後半戦に。7周目までに津田から2秒以上離された切替だがそこから踏ん張り、9周目には58秒689という津田と同タイムの最速ラップで2.1秒差を守る。しかしここから津田はスパート、11周目58秒673の最速タイムで切替に2.430秒差とする。緊張が増しているのが佐藤を先頭にした6位争いで、11周目に0.208秒差で澤井、そこから0.419秒差で相田と接近してきている。そしていったんは0.9秒まで広がった畠山と秋山の差も秋山が再度接近。12周目0.511秒差と間合いを削り取ると、13周目には0.140秒とテール・ツー・ノーズ状態に。秋山のKKS2は最高速が10台の中で最も速い。しかしマスターズクラスのトップの差は譲らないという気迫で畠山が再度リードを拡げだす。 6位争いも佐藤~澤井~相田が0.5秒以内の差で連なっていたが、14周目に相田が澤井を仕留めて7位浮上、さらにコントロールライン上で佐藤とサイド・バイ・サイドとなりその差は0.000秒で15周目へ入るとオーバーテイクを完了。相田~佐藤~澤井の順に。
後続の争いをよそにトップ津田は切替との差をじわじわと拡大。15周目でその差が2.745秒。3位酒井は切替から6.204秒差と2台に完全に置いて行かれて単独走行。4位畠山は秋山とのギャップを0.626秒まで戻している。 それぞれ勝負あった、という感じの終盤戦の中で気合が入ったのが8位の澤井で、15周目0.471秒差の7位佐藤が16周目にミスがあった模様で一気に0.176秒差に接近する。しかし佐藤は続く17周目にペースを取り戻し0.273秒と引き離して寄せ付けない。
トップ津田は17周目に本日のファステストラップとなる58秒668を叩き出してダメを押すとファイナルラップを走り切ってチェカードフラッグを受けて優勝。切替は津田攻略のチャンスを掴めずに2.842秒差の2位に終わった。3位は酒井、本調子ではないマシンをなだめつつの単独走行となったがしっかり表彰台は獲得した。4位畠山はマスターズクラス優勝、念願だった打倒秋山を成し遂げた。秋山は0.367秒差の5位でマスターズクラス2位。そして6位にはスタートの失敗を挽回した相田が入賞した。
暫定表彰式ではファーストガレージ勢の3人がそろって表彰台に上がり、チームの面々にシャンパンシャワーを浴びせた。
S-FJ筑波/富士第4戦は6月29日(日)に舞台を富士スピードウエイに移して行われる。筑波とは打って変わって高速サーキットの富士で、ここまで3戦3勝とシリーズを制圧しつつあるファーストガレージ勢に一矢報いる者が現れるか、注目だ。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE