スーパー耐久

第5戦鈴鹿決勝 ST-XのDENSO LEXUS RC F GT3が今季初優勝 小山美姫も女性で初優勝

総合・ST-Xクラス優勝は31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)

 ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第5戦「SUZUKA S耐」は29日、鈴鹿サーキットで決勝を行い、ポールポジションからスタートしたST-XクラスのDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)が総合優勝を飾った。

 決勝は、午前11時45分にローリングラップが始まった。直前に行われたピットウォーク中に降り続いていた雨は上がったが、路面はまだウェット状態。ST-Xクラスではジェントルマンをスタートドライバーとした23号車TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)のDAISUKE、33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(ジェフリー・リー/太田格之進/チェン・ディーン/リアン・ジャトン)のリーが安全のためかウェットタイヤを、同クラス他車はドライタイヤを選択した。他クラスでも多くのマシンがドライタイヤを選択している。セーフティーカー先導で1周を回りスタートが切られた。

5時間先のゴールを目指してスタートが切られた

5時間先のゴールを目指してスタートが切られた

 総合優勝を争うST-Xクラスは5台が参加。スタートでは、ポールポジション(PP)、31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)の小高がトップで1コーナーへ向かう。2位には予選2位、1号車中升ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也)のアレジが続くが、ウエットタイヤを履く33号車リーと23号車DAISUKEがアレジをかわして2位、3位に上がってきた。アレジは4位に落ちた。最後尾は81号車DAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月)の藤波だ。

 1周目のシケイン立ち上がりでは、23号車DAISUKEが、33号車リーをかわして2位に浮上。2周目の1コーナーでトップの31号車小高に迫る。小高はスライドするマシンを懸命に操りDAISUKEを押さえ込む。そのDAISUKEはヘアピン立ち上がりでリーに、さらに1号車アレジにもかわされ4位に落ちた。

 ここでST-5クラスのマシンが最終コーナーでクラッシュしたため1回目のフルコースイエロー(FCY)が宣言される。

 路面は序盤から意外に早くドライアップが進む。FCYが開けると、33号車リーと、23号車DAISUKEはペースが上がらず順位を落とすと、DAISUKEが6周目に、リーが8周目にたまらずピットイン。ドライタイヤに交換して、ドライバーをそれぞれ、元嶋、ジャトンに交代した。

 この間、トップの31号車小高は2位に上がった1号車アレジとの差を徐々に開き始める。14周目には12秒、20周目には20秒と独走態勢に持ち込む。2位アレジと、3位81号車藤波は接近戦となる。

 21周目にはついに81号車藤波が1号車アレジを捉えて2位に上がった。

 32周目、開始から1時間20分あたり、31号車小高がピットインして永井に交代。35周目には81号車藤波と、1号車アレジが同時にピットイン。それぞれ坂口と片岡に交代して、そのままの順位でピットアウトした。これで、31号車永井が再びトップに立った。

 トップに立った31号車永井だったが、2位の81号車坂口がときに3秒ほど速いペースで永井を追い詰める。48周目にはその差は6秒となった。その4秒後ろには1号車片岡が、44周目に元嶋から中山に交代した23号車がさらに85秒差で続く。33号車はラップダウンとなった。

 54周目、ついにトップ31号車永井、2位81号車坂口、3位1号車片岡の3台はテールトゥノーズとなる。55周目のスプーンでは片岡が坂口をパスして2位に上がる。ジェントルマンながら鈴鹿が得意の永井は、懸命に2位片岡を抑えていたが、ついに57周目には、スプーン立ち上がりで永井に並びかけた片岡が130Rで永井をパス、トップに立った。58周目にはダンロップ立ち上がりからデグナーの間で坂口が永井をパス。坂口は2位に上がり、永井は3位まで落ちた。

 62周目、31号車永井がピットインして嵯峨に交代。70周目には2位を3秒9離して1号車片岡がピットイン、71周目には81号車と23号車がピットインして、ドライバーをそれぞれ鵜飼、今田、再びDAISUKEに交代した。

 ここでピットアウトしたばかりの81号車今田が130Rでコースアウトしてクラッシュパッドにヒット。4度目のFCYが宣言されるも今田は自力でコースに復帰し、FCYは解除された。

 73周目、これでトップに立ったのは1号車鵜飼、0秒4差で2位の31号車嵯峨が続く。3位の23号車DAISUKEはその後方93秒差だ。

 75周目、31号車嵯峨が、2位1号車鵜飼をパスしてトップに立つ。鵜飼は2位に落ちた。ここからトップ嵯峨は、2位鵜飼を徐々にリード、82周目にはその差を7秒5、86周目には14秒、95周目には30秒まで広げた。

 96周目、31号車嵯峨が、2位1号車鵜飼を32秒離してピットイン。ドライバーをアンカーの小山に交代した。

 103周目3位の81号車今田が、104周目、31号車のピットインでトップに立っていた1号車鵜飼がピットイン。それぞれドライバーをアンカーの藤波、蒲生に交代した。

 これで再びトップに立ったのは31号車小山、2位に47秒差で1号車蒲生が続く。その後ろ23号車元嶋は80秒差なので、優勝争いは31号車と1号車に絞られた。

 105周目、4位の81号車藤波がクラッチトラブルでピットイン。再び走り出すもコースサイドにクルマを止めた。これで5回目のFCYが宣言された。

 トップに立った31号車小山だが、2位の1号車蒲生と遜色ないタイムでラップ。蒲生は40秒ほどまでタイムを詰めるが、小山には到底届かない。

 レースは5時間が経過。チェッカーが振られ、39秒差で31号車が今季初優勝、1号車は2位に入った。3位には1周遅れで23号車が、4位にはさらに1周遅れて33号車が入った。

 ST-Xクラスで女性ドライバーが総合優勝するのは初。前身のN1スーパー耐久レースを含め、長い歴史を誇るスーパー耐久の最上位クラスで女性が総合優勝するのも恐らく初だ。小山は、2022年のフォーミュラリージョナルジャパンでチャンピオンを獲得し、FIAの管轄するフォーミュラで世界初の女性チャンピオンに輝いた実力派だ。

 ランキングでは3位に入った23号車が113ポイントまで伸ばし、2位に上がった1号車89.5ポイントとの差を23.5ポイントと広げた。優勝した31号車が89ポイントで続いている。

ST-Zクラス優勝は22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凜太郎/山野直也/岩澤優吾)

 ST-Zクラスは13台が参加。ポールポジションからスタートした52号車埼玉GB GR Supra GT4(山崎学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太)だったが、クラス最大重量の70キロのウエートハンディーははやり厳しかったか徐々に順位を落とす。代わってトップに立ったのが34号車TECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき)だった。

 34号車は、2位に上がってきた25号車raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 (植松忠雄/松田次生/佐藤公哉/名取鉄平)と接近戦となるが、徐々に抜け出すとトップを快走。しかし、中盤以降はは予選4位から追い上げて来た22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凜太郎/山野直也/岩澤優吾)が2位に浮上。34号車が最後3回目のピット作業を行うと、先にピット作業を行っていた22号車がトップに浮上し、今季初優勝を飾った。2位には34号車が、3位には25号車が入った。

 ランキングでは4位に入った52号車が111ポイントまで伸ばしトップを堅持。2位には優勝した22号車が74ポイントで上がってきたがその差は37ポイント。3位には885号車が72.5ポイントで続いている。次戦の岡山で52号車のチャンピオンが決まるかも知れない。

ST-TCRクラス優勝は98号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(KIZUNA/リジョンウ/山本聖渚)

 ST-TCRクラスは3台が参加。レースは僚友のシビック同士の争いとなった。PPの97号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(遠藤光博/中野信治/辻本始温/桝本隆介)に先行して98号車Racerホンダカーズ桶川CIVIC(KIZUNA/リジョンウ/山本聖渚)がリードしてレースは始まる。レースは終盤、97号車が98号車をパスしてトップに立つが、残り7分、114周目のS字コーナーで98号車が97号車をパスしてトップを奪い返すと、そのまま逃げ切り今季初優勝を飾った。3位には430号車エヴァRT初号機Audi RS3 LMS(藤原能成/霜野誠友/西村元希/田ヶ原章蔵)が入った。

 ランキングでは、98号車が75ポイントでトップを堅守。2位に97号車が58ポイントで、3位に430号車が48ポイントで続いている。

ST-1クラス優勝は2号車シンティアムアップルKTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)

 ST-1クラスは1台のみ、2号車シンティアムアップルKTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)が参加。120周を回り優勝、総合でも9位に入った。

ST-2クラス優勝は225号車KTMS GR YARIS(一條拳吾/奥本隼士/小林利徠斗)

 ST-2クラスは8台が参加。序盤から予選4位の95号車SPOONリジカラCIVIC(山田英二/小出峻/ピストン・西沢/三井優介)がトップを快走。しかし、中盤過ぎでトラブルのため後退すると、1周目にAドライバーハンディーを消化し、下位から追い上げて来た225号車KTMS GR YARIS(一條拳吾/奥本隼士/小林利徠斗)がトップに浮上。そのまま逃げ切り今季3勝目を飾った。2位争いは終盤白熱し、72号車OHLINS CIVIC NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉)と13号車ENDLESS GRヤリス(花里祐弥/石坂瑞基/伊東黎明/岡田整)がテールトゥノーズの攻防となったが、決め手がなく2位27号車、3位13号車の順でゴールした。

 ランキングでは優勝した225車が100ポイントとし、トップに浮上。2位に13号車が95.5ポイントで、3位に72号車が78.5ポイントで続いている。

ST-3クラス優勝は39号車エアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/冨林勇佑)

 ST-3クラスは4台が参加。PPの38号車TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS(小村明生/石森聖生/庄司雄磨/眞田拓海)のリードで始まるが、序盤に15号車岡部自動車Z34(前嶋秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥)がトップに浮上。中盤前には僚友の16号車岡部自動車Z34(小松一臣/田中徹/田中哲也/甲野将哉)がトップに浮上するも、追い上げて来た38号車TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS(小村明生/石森聖生/庄司雄磨/眞田拓海)、39号車エアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/冨林勇佑)のトレーシースポーツ勢にかわされ3位に後退。15号車もトラブルでストップしたため、39号車が今季2勝目、2位には38号車が入り、16号車は3位でレースを終えた。

 ランキングでは優勝した39号車がポイントを108と伸ばし、2位に入り96ポイントとなった38号車とのリードを12ポイントと広げた。3位に16号車が71ポイントで続いている。

ST-5クラス優勝は65号車odula TONE制動屋ROADSTER(太田達也/外園秋一郎/黒沼聖那/池田拓馬)

 最大勢力となったST-5クラスは15台が参加。序盤から予選2位の88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平)がトップを快走。スティント毎にリードを広げるも、終盤にホイールナットが緩みピットインし後退。これでトップに立った17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦)と、Aドライバーハンディを1周目に消化し、下位から追い上げて来た65号車odula TONE制動屋ROADSTER(太田達也/外園秋一郎/黒沼聖那/池田拓馬)との争いとなが、最終ラップに17号車をかわした65号車が劇的な今季初優勝を飾った。3位には88号車が入った。

 ランキングでは2位に入り102ポイントとした17号車が88号車を逆転してトップに浮上。2位には3点差の99ポイントで88号車が続き、3位は優勝した65号車が88.5ポイントとなっている。

ST-Qクラス優勝は92号車GR Supra Racing Concept(加藤恵三/河野駿佑/松井孝允/山下健太)

 開発クラスのST-Qは7台がエントリーしたが、28号車がトラブルでスタートできず、6台での争いとなった。優勝したのは他のマシンを圧倒し、総合でも7位に入った92号車GR Supra Racing Concept(加藤恵三/河野駿佑/松井孝允/山下健太)、2位には271号車Honda CIVIC TYPE R CNF-R(大津弘樹/荒尾創大/桂伸一)が、3位には61号車SUBARU High PerformanceX Future Concept(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史)が入った。

 第6戦は、岡山国際サーキットに舞台を移し、10月27日に決勝が行われる。次回は全クラスが参加、2グループに分けられ、それぞれ3時間レースとして争われる。

ST-Xクラスの表彰式

ST-Zクラスの表彰式

ST-TCRクラスの表彰式

ST-1クラスの表彰式

ST-2クラスの表彰式

ST-3クラスの表彰式

ST-5クラスの表彰式

ST-Qクラスの表彰式

Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA


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