全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が、8月24、25日に栃木県のモビリティーリゾートもてぎで行われた。岩佐歩夢(Red Bull MOTUL MUGEN SF23)は24日の予選でQ1敗退、25日の決勝では予選13位から追い上げ7位でフィニッシュした。
岩佐は第4戦まで、すべてノックアウト予選Q1を突破してきた。第1戦の鈴鹿サーキットこそ予選11位で終わったが、第2戦オートポリスでポールポジション、第3戦スポーツランドSUGO、第4戦富士スピードウェイとも2位と上位で通過してきた。ここもてぎでも上位進出は確実と思われていたが、24日に行われたノックアウト予選では、なんとわずか千分の2秒差でQ1落ちという結果となった。いったい何が起こったのか? レース後岩佐に聞いた。
「Q2に進めなかったというのは問題じゃなくて、あの時点でトップからコンマ7秒差があったのが大問題でした。乗り味としては悪くなかったんですが、フロントもリアもグリップがなくて、単純に他車と違ってタイヤが路面を捉えていないという状況でした。オンボード映像をみると明らかに違っているのが分かります」
確かにオンボードの映像ではクルマが暴れているのが、素人目にもわかった。
翌25日、決勝日の朝に行われたフリー走行でも岩佐はトップから1.241秒遅れの17位と低迷する。しかし、この走行でセットアップの方向は見いだせたようだ。
「フリー走行は昨日と変わらず、グリップ感がないところから始まりました。ここで行った変更がはまって、完璧じゃなかったんですが、方向性が見えました」
そして迎えた決勝。岩佐は前戦の冨士ではスタートで大きく順位を落とし、スタートに課題があると語っていた。
「課題としていたスタートはチームとして修正ができ、いいスタートを切れ4~5台は抜いています。1コーナーでの位置取りでラインを失ったところもあって、そこは反省点です」
岩佐はスタートポジションの13位から一つポジションを上げただけで、1周目を12位で戻ってきた。そしてこのポジションのままミニマムの10周でピットインし、タイヤ交換を行った。マシンは復調し、ここから追い上げを開始した。
「レース中のペースとタイヤマネジメントはすごくよかったです。自分も走ってて、いけているのはわかっていましたし、チームからもいいよという無線が入ってました。ただ、アウトラップの坪井選手や、木村選手を一発で仕留められなかったのは反省点です。本来のパフォーマンスを100%生かし切れませんでしたが、追い上げるレースで、後ろはまったく気にしなくてよかったので、楽しかったです」
レースは結局7位でフィニッシュし、選手権ポイント4を獲得し合計35.5ポイントとした。しかし、ランキングは4位から5位に落ちてしまった。しかし岩佐はまだまだ諦めない。力強い言葉で残り2大会4戦に向けての抱負を語った。
「チーム力でマシンを大きく改善することができ、自分たちのポテンシャルを再確認できたと思います。チャンピオンの可能性を失っているわけじゃないので、あきらめずに、チャンスがある限りは全力プッシュで目の前のレースを勝っていくことを目指します。残りの全戦優勝を目指します」
次戦冨士大会は10月13、14日に第6、第7戦が行われる。ここで大量ポイントを稼げば、大きくチャンスは広がるはずだ。
Text: Yoshiori OHNISHIPhoto: Yoshinori OHNISHI
Atsushi BESSHO