SUPER GT

第3戦鈴鹿決勝 奇跡の大逆転劇!! 大クラッシュから甦ったNo. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Zが今季初優勝を達成

 2022オートバックス スーパーGT第3戦「たかのこのホテル 鈴鹿GT300kmレース」の決勝が5月29日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われ、GT500クラスは予選3番手のNo. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が序盤トップに立ち、そのまま逃げ切って今季初優勝。GT300クラスもポールポジションのNo. 7 Studie BMW M4(荒聖治/近藤翼)が後続を寄せつけない圧巻の速さで同じく今季初優勝を達成した。

 第3戦決勝はスタート進行の前に行われたウォームアップ走行からいきなりの波乱に見舞われる。コースオープンから12分が経過したところでGT300クラスのNo. 20 シェイドレーシングGR86 GT(平中克幸/清水英志郎)が立体交差下でクラッシュしてしまったのだ。このため、ウォームアップ走行は残り8分を残して赤旗終了となった。

 ドライブしていた平中に怪我はなかったものの、20号車のダメージは大きく、到底スタートには間に合わない状態。加えてガードレールの破損を修復する必要もあったため、スタート進行と並行してコースマーシャルに夜懸命の作業が行われた。 

 この影響でレースはは当初の予定より10分遅れの午後2時40分にフォーメーション開始。気温32℃、路面温度は47℃と真夏を思わせる暑さの中、52周の白熱のバトルの火蓋が切って落とされた。

 GT500クラスはウォームアップ走行でも一番時計を叩き出した千代勝正(CRAFTSPORTS MOTUL Z)がスタート直後の1コーナーで予選2番手のサッシャ・フェネストラズ(KeePer TOM'S GR Supra)をインから抜き去ると、同じ周の130R手前で国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)のインに飛び込み、あっという間にトップに躍り出た。

 フェネストラズもシケインで国本をアウトから仕留め、2位に浮上してコントロールラインに戻ってきた。

 2周目に入ると、予選5番手の松下信治(Astemo NSX-GT)が1コーナーでアウトから笹原右京(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)を抜き去ると、シケインでもアウトから19号車を抜いて3位に浮上する。

 ところがその後方でベルトラン・バゲット(カルソニックIMPUL Z)がいきなりトラブルに見舞われてスローダウン。逆バンクでストップしてしまった。これにより競技団は直ちにフルコースイエロー(FCY)を宣言。車両排除ののちトップが4周目に入ったところでFCYは解除となった。

 すかさず3号車の千代はペースを上げて後続を突き放しにかかり、5周目に2秒235、6周目には2秒768のリードを築くが、10周目に入ったところで今度は立川祐路(ZENT CERUMO GR Supra)がトラブルによりS字でストップ。さらにその後方ではGT300クラスの太田格之進(UPGARAGE NSX GT3)がスピンアウトしてしまったため、再びFCYが宣言され、12周目からこの日最初のセーフティーカーが導入された。

 レースは15周目にリスタートとなり、規定周回数の3分の1となる17周を消化したあたりからピット作業を行うチームが出始める。2位を走行していた37号車も19周目にピットイン。フェネストラズから宮田莉朋に交代してコースに戻っていく。

 3位の17号車も20周目にピットイン。松下から塚越広大に交代。そしてトップの3号車も21周目に千代から高星明誠に交代した。この結果、17号車は37号車の前に出ることに成功、最後までコースに留まっていた関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)が27周目にピットストップを行ったことで高星の駆る3号車が再びトップに立つ。この間に2位の17号車とは15秒以上の大差がついていた。

 その後も着実にリードを広げていく高星だったが、後方でタイヤに不安を抱えているのか、33周目、37周目とイレギュラーなピットイン、アウトを繰り返していた大湯都史樹(Red Bull MOTUL MUGEN NSX GT)がアウトラップとなる38周目のヘアピン手前でGT300の三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)に追突。2台揃ってコース脇にストップするアクシデントにより、この日3度目のFCYが宣言され、41周目に再びセーフティーカーが導入された。これにより3号車の築き上げたリードは再び失われてしまう。

 しかしこの日の3号車は速かった。

 44周目にレースがリスタートとなると、すかさず高星は後続を突き放しにかかり、この周だけで塚越広大(Astemo NSX-GT)に2秒815の差をつけると、46周目には4秒148、48周目には4秒512そして51周目には5.496秒差と後続を全く寄せ付けない走りで52周を走りきり、No. 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は第2戦富士でのクラッシュからわずか3週間後に初優勝を遂げるという、まさに奇跡の復活劇を演じてみせた。またこれにより日産とミシュランタイヤは2020年の第3戦、第6戦そして2021年の第3戦鈴鹿に続いて鈴鹿4連勝を達成した。

 2位にはNo. 17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)が入り、No.37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)は今季初ポイントを3位表彰台という形でものにした。

 GT300クラスはポールポジションの荒聖治(Studie BMW M4)がスタートからトップを快走。2位に新田守男(K-tunes RC F GT3)、藤波清斗(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)が3位で新田を追い上げる展開に。予選5番手の坂口夏月(Bamboo AirwaysランボルギーニGT3)は3周目に織戸学(apr GR86 GT )を捉えて4位に上がってきたが、9周目にリヤタイヤのバーストに見舞われて後退を余儀なくされる。

 何度も新田に仕掛ける藤波だったが、新田も簡単にはポジションを譲らない。

 9周目に最初のFCYが宣言されると、ここで後続のチームが動く。

 11周目に片岡龍也(グッドスマイル初音ミクAMG)、川合孝汰(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)、佐藤公哉(HACHI-ICHI GR Supra GT)、井田太陽(植毛ケーズフロンティアGT-R)がピットイン。ドライバー交代時の給油時間を短縮するため、ここで最初の給油を行ったのだ。同時に4号車はタイヤ4本交換を行ったが、2台のスープラはタイヤ無交換作戦を採った。

 続いて13周目に松井孝允(HOPPY Schatz GR Supra)がピットイン。給油とタイヤ4本交換を行った。

 16周目には井口卓人(SUBARU BRZ R&D SPORT)、加藤寛規(muta Racing GR86 GT)、冨林勇佑(マッハ車検エアバスターMC86マッハ号)、篠原拓朗(LEON PYRAMID AMG)がピットイン。この4台はドライバー交代を伴うルーティンの作業だ。61号車はタイヤ4本交換を行った。

 FCY時に最初のピット作業を行った52号車、244号車、そしてタイヤバーストで予定外のピットインを強いられた87号車も16周目にドライバー交代を行なった。

 上位陣では新田守男(K-tunes RC F GT3)が19周目、トップの荒聖治(Studie BMW M4)が20周目、そして藤波清斗(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)が23周目、織戸学(apr GR86 GT )が25周目にピットイン。

 この結果、トップは近藤翼(Studie BMW M4)で変わらないものの、2位には吉田広樹(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が浮上、平木玲次(マッハ車検エアバスターMC86マッハ号)が3位、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)が4位、そして三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)が5位に浮上することになる。

 しかし34周目に入ったところで244号車にGT500が追突するアクシデントが発生。これで244号車はレースから脱落してしまう。

 さらに40周目には吉田がシケインをオーバーシュート。これにより52号車は5位に後退してしまう。

 これで2位に浮上した平木玲次(マッハ車検エアバスターMC86マッハ号)をジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R)は激しく攻め立てるが、開きは最後までオリベイラを押さえ続けた。

 この間にトップの近藤は着実にリードを広げ、No. 7 BMW Team Studie × CSL(荒聖治/近藤翼)が2位に9秒612差をつけて今季初勝利を挙げた。

 2位はNo. 5 マッハ車検エアバスターMC86マッハ号(冨林勇佑/平木玲次)、そしてポイントリーダーのNo. 56 リアライズ 日産メカニックチャレンジGT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が3位表彰台を得る結果となった。

 次戦の舞台は今季2度目の富士スピードウェイ。8月7日に第4戦決勝が450kmで行われる。

Text:Kazuhisa SUEHIRO


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