Formula 4

第1戦もてぎ決勝 佐々木孝太が万全のレース運びでポール・ツー・ウイン、激戦の2位争いは最終ラップに決着

12周の決勝がスタートした

 JAF-F4地方選手権シリーズ開幕戦決勝は3月6日(日)にモビリティリゾートもてぎで開催され、ポールポジションからスタートした佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)がルーキー佐藤樹(佐藤製作所KKZS★TOMEI)とのスタート直後の大バトルを制すると、以降は危なげない走りで24年ぶりの優勝を飾った。

 午前中の予選から気温、路面温度ともに低いままで、午後1時にフォーメーションラップを開始。共にトラブルで予選を走れなかった石川賢志(HMRハンマーR☆ハヤテ)、黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)の両名も決勝出場が認められ、マシンの修復もなってグリッド最後列に並んだ一方で、予選11番手だった川原悠生(ファーストガレージ&Sウインズ)はドライブシャフトが折れているのが見つかりグリッドにつけず、ファーストガレージ勢の中で明暗が分かれた。

 全車きれいにスタートし先陣を争う中でダッシュに成功したのが5番グリッドから発進の金井亮忠(チームNATS・正義・001)で、前方3番グリッドから出た宮下源都(佐藤製作所★TOMEI★ミスト)をかわすと車速を伸ばし、2番手スタートの佐藤樹(佐藤製作所KKZS★TOMEI)に並びかけるように1コーナーに進入、佐藤はしっかりインを守り、金井は3位に収まった。一方で6番グリッドからスタートの三浦勝(CMS NUTECルノー)は1コーナーでハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)と接触しスピン、そのままリタイヤとなった。

 ホールショットを奪ったのはポールポジションから飛び出した佐々木で、先頭で1コーナー~2コーナーとクリアして行ったが、佐藤がテールに食らいつきプレッシャーをかけると、5コーナー入口で佐々木のインを突いて並走のままファーストアンダーブリッジを通過、S字コーナーの二つ目で遂に佐藤が前に出る。

 しかし佐々木もすかさず逆襲、V字コーナーの立ち上がりで佐藤の右側にラインを取ると、続くヘアピンの進入でインを奪い佐藤の前に出てトップを奪回。ダウンヒルストレートを駆け降りる。

 90度コーナーに向けたブレーキングで佐藤は再度佐々木の前を狙いインを突き、佐藤のノーズが僅かに佐々木の前に出るが、佐々木も負けじと並走のままセカンドアンダーブリッジを通過。トンネルを抜けた緩やかな左コーナーで佐藤を突き放して最終ビクトリーコーナーへと飛び込んだ。

 佐々木と佐藤は0.421秒のギャップで1周目のコントロールラインを通過、二人の攻防を見守っていた3位金井も佐藤に0.321秒差で続き、虎視眈々とチャンスを狙う。その後ろには宮下~伊澤~新倉涼介(ファーストガレージ&Sウインズ)の順で続く。

 2周めに入りトップ佐々木から5位伊澤までがほぼ等間隔になり、佐藤も1周目のような猛チャージは見せられず、むしろジワジワと佐々木に引き離されているように見える。ダウンヒルストレートでは金井が佐藤の背後につけて、隙あらば抜くという姿勢を見せる。佐藤は防戦に追われて佐々木との間隔がさらに拡がっていき、コントロールライン上で佐々木は2.6秒まで佐藤とのギャップを築き、佐藤の背後には0.49秒差で金井~宮下~伊澤と続いている。

 佐々木はさらに佐藤を突き放し、3周め2.965秒、4周め3.301秒とその差は拡がり、佐藤と金井のギャップは0.6秒前後で膠着状態になる。そんな中で金井に焦りが出たのか翌5周めの3コーナーへのブレーキングでタイヤをロックアップさせてオーバーラン。これを見逃す宮下ではなく、すかざず3位のポジションを取り返す。

 5周め、6周めと佐々木はファステストラップを連発、佐藤との差を4.464秒まで拡げ独走態勢を築く。その佐藤の背後には金井に代わって宮下が接近。5周めに1.569秒あったギャプが7周めには0.554秒まで縮まる。

 また、最後尾からスタートした黒沼はラップごとに順位を上げて、7周めまでに7位まで進出し、6位新倉を0.403秒差で攻め立てている。

 8周め、佐藤対宮下の2位争いは0.563秒差、そこから4秒ほど間があるが金井と伊澤の4位争いも0.336秒差。若手同士、ベテラン同士の熾烈な順位争いが展開する。その後方では黒沼が新倉の攻略に成功し6位にポジションをあげた。

 9周め、5コーナ-で伊澤が金井をパス、4位に浮上。金井はトラブルなのかペースが上がらず伊澤から引き離されていく。

 10周め、佐々木はダメ押しのようにファステストラップを連発。自身の予選タイムより速い1分55秒615をマーク。7秒後方では佐藤対宮下のマッチアップが激しさを増し、ダウンヒルストレートを並走。続く90度コーナーは佐藤が抑えるが、そのままテール・ツー・ノーズ状態になり0.263秒差でコントロールラインを通過。11周め、再びダウンヒルストレートで並走して宮下がインを取るが、今度も佐藤がアウトから抑えきる。昨年のスーパーFJもてぎ菅生シリーズチャンピオンの佐藤は、90度コーナーへの飛び込みに絶対の自信があるのか、ここでは宮下を寄せ付けない。その後方では4位を単独で走っていた伊澤がヘアピンでコースアウト。1周目の接触でトラブルが出ていたステアリングの破損との事。

 ファイナルラップ、トップ佐々木は7秒の差をつけて余裕の走り。後方2位争いは依然テール・ツー・ノーズ状態。宮下がどこでチャンスを見出すかに注目が集まる。

 そのチャンスが訪れたのはS字コーナーの入り口。ここでついに宮下が佐藤を攻略、前に出る。佐藤は必死に食い下がるがダウンヒルストレートの伸びは宮下に分がありジワリと差が拡がる。優勝の佐々木に続いて2台はビクトリーコーナーを立ち上がってフィニッシュラインを通過。2位宮下、3位佐藤という結果になった。4位金井、5位には最後尾スタートから13台抜きを演じた黒沼が入ったが、トラブルを抱えていたのかチェッカー後にピットロード出口の先でストップ。佐藤と同じく初のJAF-F4レースだった新倉が6位となった。

 ジェントルマンクラスは優勝が佐々木、2位が総合7位の安井和明(NAVY★RK-01)、3位が総合8位の河野靖喜(ハンマーレーシング☆RISING)という結果になった。

スタート直後のアクシデント

佐藤樹と宮下源都の2位争い

優勝は佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

決勝2位は宮下源都(佐藤製作所★TOMEI★ミスト)

決勝3位は佐藤樹(佐藤製作所KKZS★TOMEI)

決勝4位は金井亮忠(チームNATS・正義・001)

決勝5位は黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

決勝6位は新倉涼介(ファーストガレージ&Sウインズ)

■決勝後のコメント

優勝 6号車・佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

優勝した佐々木孝太(スーパーウインズ&ISP)

 「(序盤の佐藤選手との攻防は?)自分のクルマのセットアップなのか僕自身のせいなのか分からないが、1周目は遅くてタイヤが発動しない中で、若い子は勢いが凄いからちょっとやられそうになった。あっさり行かせるのも嫌なので、出来るだけ粘れるトコは粘ろうと思った。行かれたら仕方ないが、ついて行って別の箇所で勝負しようというつもりだったが、何とか抑えられた。その後はタイヤのグリップも来たので、離していけた。自分がこのレース自体(長い事)乗っていなかった中で、若い子が僕ぐらいをやっつけていかないと、上に行っても通用しないぞ、という評価基準としてや、僕のチームの若い子たちが出る時に(僕の)ロガーデータとか車載動画とか見て、成長材料に使って貰えたらな、と思う」

2位 13号車・宮下源都(佐藤製作所★TOMEI★ミスト)

決勝2位の宮下源都(佐藤製作所★TOMEI★ミスト)

 「佐々木選手すごい速いなぁ、というレースだった。(佐藤選手との攻防は?)向うがトラブルかシフトミスか分からないが、そうした部分が(接戦の要因に)あると思う。それがあっても正直ついて行くだけでいっぱいいっぱいだった。これもレースだと思う。予選をしくじってしまっていたので、結果2位になれたのはよかった」

3位 12号車・佐藤樹(佐藤製作所KKZS★TOMEI)

決勝3位の佐藤樹(佐藤製作所KKZS★TOMEI)

 「全然ペースが上がらなくてダメだった。(宮下選手との攻防は?)ちょっとシフトが入らないことがあって、それで追いつかれて抜かれてしまった。それにしてもペースが遅かった」

4位 72号車・金井亮忠(チームNATS・正義・001)

決勝4位の金井亮忠(チームNATS・正義・001)

 「スタートはすごくよくて2位に並ぶくらいまで行けた。序盤タイヤのグリップ感がないのを改善する為にセッティングを変えていったら、前半タイヤが暖まるまではいい感じで付いていけたのだが、そこからは今週ずっと問題だった箇所が出てきてしまってペースが落ちてしまった。(9周めにラップタイムが5秒近く落ちたが?)ハンマーさんにインを差されて並んで行ったら行き場がなくてコースアウトした。向うはたぶんトラブルが出ていたんだと思う。(次戦からは新しい生徒とのレースになるが?)またイチから教育しながらクルマの課題も原因を見つけて、次のレースに臨みたい」

5位 92号車・黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

決勝5位の黒沼聖那(ファーストガレージ&Sウインズ)

 「(チェッカー後止まったのは?)KAMIKAZEさん(7周めにトラブルでストップ)を迎えに行った訳ではなくて(笑)、終盤水温が上がってしまって(壊れるのが)怖かったので止めた。スタートは決まって、ゴチャゴチャしていたのをうまく抜けられて順位を上げられた。ペースもよかった。それだけに予選がちょっと悔やまれるが、この調子を次回も維持して表彰台とかトップ争いとかに絡んでいきたい」

6位 3号車・新倉涼介(ファーストガレージ&Sウインズ)

決勝6位の新倉涼介(ファーストガレージ&Sウインズ)

 「荒れた展開の中で何とか回避はできたが、ぶっつけ本番でのレース参戦は大変だった。ちゃんと練習しないと通用しないことを金曜日からひしひしと感じた。スーパーFJと違ってもっとクルマの事をよく知らないと速く走れないカテゴリーだということはすごくよくわかった。どこかで次のチャンスがあったら、表彰台を目指したい」

12位 19号車・ハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)

決勝12位のハンマー伊澤(弁アルカディア☆ハンマーR疾風)

 「ヘアピンで止まった原因はステアリングの破損。1周目の三浦選手との接触で壊れていた。ヘアピンで曲がらなくて真っすぐ行ってしまった」

 JAF-F4次戦は5月14-15日。スポーツランド菅生で第2戦、第3戦が行われる。

表彰式

ジェントルマンクラスの表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Asako SHIMA


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